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吸血鬼(決闘、敗北、告白)

完全に前台本の続きです。

ねえ、強情を張るのは諦めてくれない? いくら私でもせっかく手に入れた大事な眷属を一週間もこんな地下牢に閉じ込めておくのは期待通りじゃないわ。もっと眷属らしく振る舞ってよ。


え? 眷属になったつもりなんてない? 


馬鹿じゃないの? 死にかけの貴方に血を与えて眷属にしてあげたじゃない。


確かに、貴方のお腹に穴を空けて他の選択肢を奪ったのは私だけど、そもそも殺し合いの中のことなのだから、敗者の貴方にとやかく言われる筋合いはないわ。


ふーん、そう。脱獄してやる、討伐してやる、ね。


うふふっ。いいわ、その反骨心。嗜虐心がそそられるわ。人間を辞めさせられても抵抗する貴方は愛らしいし、そんな貴方を屈服させて私への愛を囁かさせるのも素敵。本当に最高だわ。


何? ふふ、そうよ化け物よ。貴方たち人間には理解できない、倒せない化け物。まあ、貴方は良い線までいってたわよ? だからこそ眷属化させるときに貴方が元々持っていた魔力は少し奪って弱体化させたのだけど。

抵抗してくれるのは退屈凌ぎになるから嬉くもあるけど、私だって眠ったり貴方から目を離す瞬間はあるわ、その時に拘束して置けないほど元気だと困っちゃうからね。


そう、それでもめげないの? 諦めないの? ここで人間としての生き方を遺棄して、諦観に沈んで仕舞えば楽なのにそれは嫌なの?


あははっ、面白いわ。それならチャンスをあげる。明日の夜、私ともう一度戦いましょう?

魔力も武器も返してあげるわ、それが戻れば人間の頃よりも強靭な体になった分有利でしょ?


それで私を殺せれば貴方は自由に、私が勝てば今度こそ力を奪って、本気で僅かな隙も無く貴方を私のモノに変えてあげるわ。


ね? 良い提案でしょう?


あはははっ。受けて立つのね? いいわ、面白い。


ああ、明日が楽しみね?



ふふっ、どう?体の調子は? そう、絶好調なら良かったわ。

私はこの屋敷の庭から逃げも隠れもしないわ。


さあ、尋常に勝負を、いつでもかかってくると良いわ。


あはっ、やっばり早いわね? 避けるのが大変。どう? 吸血鬼もなかなか悪くないでしょ?


ちょっとなによその変な顔。自分の体に違和感があるなんて今気付いたの? 初めて動かすのだから当たり前でしょ? 

それでも勝負を受けたのは貴方、優しいルールと約束なのだから守ってもらうわよッ!


あーあ、ちょっと蹴っただけでゴム毬みたいに飛んで行っちゃって、大袈裟なんだから。


いくら手足が傷ついても、胴体が切れても、僅かな時間で再生するでしょう?


そうそう、立てて偉い偉い。


あはっ、もう限界? いいえ、まだでしょッ!?


ちょっとそんなに喚かないでよ、ちょっと腕がもげただけじゃない? ほら、傷口を意識して、体内の血を集める様なイメージを…、いい感じね。


そこでもう一回、こう、ブチッと。


あははははッッッ!! 痛い? 苦しい? 許されたい?


でもまだダメ。せっかくタフな体になったのだものもう少し楽しみましょ?



あー、満足。楽しかったわ、こんな爽快感久しぶりよ。ありがとね。


ん? 許して許して許して? 


ふふっ、そんなに何度も言わなくても大丈夫よ。流石の私も、剣が折れて、手足を無くしたまま再生できなくなった眷属をいたぶるかほど悪魔じゃないわ。吸血鬼だもの


それで、どう? 貴方がまだ私に反抗的ならここから更に仕込みをしないといけないんだけど……、貴方より強い私をご主人様として迎え入れられる栄誉が欲しい? 私に尽くしてくれる? 人間性を捨てて、私だけを愛してくれる?





………えっ? そう、屋敷で眷属として仕えるのは我慢するけど、人間としての自覚は捨てられない?


あは、はは、ははははっ!!!


本ッ当に最高! ここまで強情な人間は初めてだわ。こんなに楽しませてくれたのに、更に私を喜ばせてくれるなんて!


そうで無くても及第点ではあったけど、決めたわ。誓って、必ず、絶対に貴方を私のモノにする。

どれだけ貴方が苦しんでも、恨まれても関係ない。

私と同じ吸血鬼になって私を愛してくれるまで許してあげないから。


さあ、地下室に戻りましょう? 貴方が私のモノになるまで、ニ度と日の目を、いえ、月の目を見ることはないわよ。


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