幽鬼と鬼灯 3
お待たせしました～。
結構少な目薄味物語でーす
「うおぉぉぉぉがんばれ俺の〔察知〕！」
目を覚ましたキョウジュウロウの二刀流は、ハッキリ言って別物だ。何重にも流れを変える刀達。まず間違いなく何かの流派の刀だ(ああいうスキルあるのかな)。眼だけでは追いつけないので、〔察知〕をフルに活用して全力で相手をする。とはいえ、単純に考えて二倍の攻撃量だ。体格の差があまり無いにしろ、レベルの差がありすぎる。このままだと、押しきられる。
「っならぁっ！」
片腕でスライドを操作する。出すのは旅人の短剣。一時的に距離を取りながらそれを左腕にまわす。右の剣を前に、左の短剣をやや左に下げて構える。呼吸を深く、深く吸い込むように集中力を高める。両肩にかかる圧力が増していく。間違いなく、こいつは今まで闘ってきた敵のなかでも上位に入る。クソみたいな要素が有るわけではない。スペックだけでここまでの奴は本当に少ない。ああ、本当に凄いな、このゲームは。でも、まだ足りないな。ああ、足りない。
「、、〔迅、雷〕」
「マジかぁ」
どうやら奴さんはまだまだ強くなるようだ。
多分、キョウジュウロウというこの幽鬼は、一人で闘うような奴ではないのだろう。今すぐに帰ってチャットでもして何人かのチームで戦うのが正解なのだろう。でも、それは違う。そんな闘いは
「ロマンがねぇな」
その一言が引き金となったのだろうか、その一瞬で、俺とキョウジュウロウは弾けるように踏み出した。
最初に仕掛けたのはキョウジュウロウだ。どれだけテンションが上がろうとこのレベル差を埋めるのとはない。
多撃を使う時には主に二つのやり方がある。
一つ目は同時に繰り出す方法だ。この場合、相手が必ず受け止めきれないように切らねばならない。
二つ目は波状攻撃だ。連続して相手を切り刻む方法。相手よりも多い手数を利用した攻撃。これが完成したら本当にヤバい。大抵の場合必殺を決められる。
「うおぉぉぉぉ！」
奴が行ったのは後者だ。雷を纏った刀が俺を切らんと迫ってくる。先程よりもキレが増し、更に速くなった刀は掠りでもしたらアウトだと教えてくれる。
「ど！ん！だ！け！は！や！く！な！る！ん！だ！よ！」
言葉を話すことすらままならない。そんなことに神経を使うべきではないかもしれないが、叫ばすにはいられなかった。後悔はしていない。
剣と短剣が少し軋む。相手の刀は古く汚れ錆びているとはいえ、少し見える刃の部分は明らかな業物だ。武器破壊は狙えない。若干ずるいと思う。
「うえっとっ！」
顔を真っ二つにせんと迫ってきた刀を左腕の短剣でそらす。その間にも次の手が迫ってくる。はっやきっも(心の声)！
「しぃっ！」
嵐の中を掻い潜るように攻撃を加える。頬のすぐ横を刀が通り抜ける。それでも踏み込むことを止めない。
二刀流は一刀流ほど刀を自由に振り回せない。よって、間合いに踏み込み自由を消す！どうせ下がってもすぐに追いつかれるならインファイトだ！燃え上がれマイsoul！持ってくれよ旅人の剣、旅人の短剣！
実家とクソゲーによって叩き上げ磨き上げられた動きとセンスがフルで動く。一秒の間に二十を超える剣撃を繰り返し、確かに奴にダメージを与えていく。
こちとら食らえば終了の命懸けだ！一対一とはもともと不平等なものだが、ここまで不平等なものはあって良いのだろうか？今ここまで死んでいないことは自分でも凄いと思う。
圧倒的なVITの差を感じながらも、攻撃は続く。社の境内に、爆風が駆け抜ける。その瞬間でも、ホオヅキの口角は上がっていた。
この前友人たちと話したけど、この物語はハーレム展開、ゲーム内ラブロマンスはありません。
苦手な方は、ブラウザバック推奨です。
