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空色空想ネスト  作者: グレーミー
Chapter1「傭兵」
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舵を失った沈没者2

___コーバスシティー グラディオ領域付近



「準備はいいか?」「いつでもいいぜ!」「リユも準備できた」


全員の準備が一通り終わり、作戦領域近くのセーフハウスまで移動してみんなで最後の確認をする。


「よし、じゃあ依頼の再確認だ。リユにはまだ伝えてなかったからね」

「今回の依頼主はグラディオ。伝えられた依頼内容は、研究所内で作られた極秘サンプルの抹消。……らしい」

「らしい……?」


自信がなさそうに依頼内容を伝えるフユタ。自然と口が開き、質問を問いかけたのはわたし。


「うん……実は詳細は伝えられてないんだ。一見(いっけん)ただの殲滅戦のようだけど、もしかしたら予定通りには事が進まない可能性があるのは、はっきり言って否めない」

「まー、グラディオはこんなのが日常茶飯事だから俺らからすればあまり驚くことじゃないぜ?」

「そう、なの……?」


カイの付け足しにフユタは「まぁね」と言った後、不安が解消されないようなわたしに気付いたのか、頭に手を乗っけて「不安だと思うけど安心して、ね?」といつもの優しい笑顔で心配してくれた。

わたしが「がんばる」と伝えると「ありがとね」と言って頭を撫でて話の続きを始めた。


「さて、装備についてはアサルトライフル『AK-47』を各一丁ずつだけど、予備弾薬を多めに持ってく。アタッチメントは外部に目立たないようにサイレンサー。俺とカイは暗視スコープと拡張マガジンも装備する。あとは……」

「どこから入っていくの?」

「あぁ、そだった。偉いなリユ」

「おっ、これならすぐにでも一人前になれるぜリユ?へへっ」


「うぅーー……」

いくらなんでも子ども扱いしすぎーと顔を膨らませていると二人はごめんごめんと笑った。

二人ともおもしろがりすぎだよ……もー……。


「はは…と、さあさあ、侵入経路だ」


「これについては依頼者とBSF以外には極秘だ。だからグラディオに侵入するところからがミッションになるわけだ。もちろん正面からの侵入はムリってことになるから指定区域に一番近くて警備が比較的低い西側の隔壁から侵入する」

「詳しいポイントは施設西側にあるコーバスダム周辺だ。少なからず水を排出しているはずだから音を消せるはずだ。そして目標を排除した後、問題がなければ侵入時と同じ場所から脱出する…こんな感じだね」

「よし、バッチリ頭に入ってるぜ」


説明が一通り終わり、ちょっとでも分かったかな?とフユタに聞かれ、分かりやすかったとうなずき返した。フユタは良かったと言い、作戦のリードは俺とコイツでしていくから安心してほしいと続けて言われて、安心と不安が一層高まったような気がした。

イヤな予感がする……とてもイヤな予感………


「じゃ、出発だな。行こうぜ」

「よーし、あ、リユ。トイレちゃんとしたか?作戦中に……」

「いっ…!だいじょぶだもんっ!!カイのバカ!」


また二人に笑われてフユタがすぐに「ほらほら」とカイを促してわたしに手を差し伸べる。


「さ、行こ?」


手袋越しにフユタの手の温かさを感じながら、わたしたちはセーフハウスを後にした。





______グラディオ領域内 西側隔壁外周



「もうすぐだ」

「お、重い……」

「やっぱり重たかったかな?結構軽くしたんだけど……」

「うぬぬ…がんばる」


慣れない武装と重たさ。使い方を一通り教えてもらったおかげで扱いには戸惑いはないものの、重たさだけは解消されない。たしかフユタは4kgって言ってたっけ。カイは片手でブンブン振り回してたけど、わたしのは改造してもらって少し軽いらしいけどそれでも重たい……


「ん?ありゃなんだ??」


先導するカイが動きを止め後方にいるわたしたちにも停止を呼びかける。

カイが指をさした方を見ると真っ暗なはずの施設隔壁付近で白衣姿の人が自分を照らしながらライトでこちら側に点滅させていた。


「グラディオの研究員か?依頼主かもしれない、行ってみよう」


警戒しながら今度はフユタが先導してライトの光る方へと近づいていく。


「待っていました」


歳は若い、少し急いだ様子で研究員の人は言った。


「貴方は依頼主ですか?」


フユタの質問に研究員の人は首を横に振った。

「いえ、私は依頼主の代理です。施設への侵入を手助けしろと」

「依頼主もなかなか頭が回るようだな?」


カイがフユタに言いかける。わたしも疑問だった。侵入経路は依頼者に伝えていないのにピンポイントで仲介人を配置させた。

話がうますぎるような気がしてならない。やっぱり……この依頼………


「依頼者は目標に一番近い所から侵入すると読んだだけです。それより早速ですが、依頼の方をお願いします。すでに除去戦闘が始まっています」

「……?他にも参加してるやつがいるのか?」

「えぇ、こちらの研究員が多数。ですが火力が足りません。そこであなたたちの出番というわけです」

「なるほどね、さっきから僅かに発砲音が聞こえるのはこれか……」


たしかに、よく耳を澄ますとサイレンサーで消し切れていない音が聞こえてくる。


「だったら急ごう」

「こちらです」


研究員の人が案内する方へ続く。周囲を警戒しながら隔壁沿いに歩いていくとカードロックが付けられた扉があり、首にぶら下げたIDカードのようなものをかざすとロックが解除され、中へ進む。

次にガラスでできた壁が現れた。中は真っ暗で見えない。いや…見えないようにしている?


「マジックミラーか……」


フユタがガラスの壁を見て特殊ガラスだと推測する。

研究員の人はさっきと同じようにガラス壁のロックを解除し、「この先です」と言われた。

なぜか急に怖くなりフユタにくっつきながらカイの先導で『領域』へと踏み入れた。



そこは作戦を行う仕事場というより、死刑場に近かった。


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