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小話1

なかなか更新出来ない状況が続いてて....すみません(;;)

なので今回は活動報告に掲載していた感謝小話3話と、ぷらすあるふぁ小話「悪魔と天使」です。続きの更新はもう少し先になりますが、お待ちいただけると嬉しいです。

 ー*ー*ー*黒猫のお風呂*ー*ー*ー



 現在、真っ黒子猫ちゃんはおとなしく私の脚の間で泡につつまれている。今は背中や手を洗ってあげている。

 嫌がるかな、と思っていたけれど相変わらずトロ〜ンとしてるみたい。


「猫〜この石鹸のにおいいい香りでしょ?」

「んみゅ」


 浴室にはローズマリー、レモンバームやオリーブなどブレンドされたハーブの優しい香りが漂っている。キツい香りではない上に自然派無添加なので、これは動物にもいけると判断し猫を泡だらけにした。う〜む、だいぶ汚れているな。


 しばらくして真由子は「よっ」とつぶやき猫をこちら側へ向かい合うように向けた。すると猫はビックリして何だかおちつかなく視線をうろうろさせた後、またおとなしくなった。


 なんだろうと思いつつもお腹を洗おうとしたが、真由子はあることに気付き猫を抱き上げた。



「あ、男の子なんだね、にゃんこ様は」


 真由子は猫の下半身辺りを見ていた。

 猫は胴体をぶら下げ、目をぱっちりと見開き少しだけ舌が出ている状態で固まった。まるで見習い魔女と赤いリボンの黒猫が出る某有名アニメ映画のぬいぐるみだ。



 お腹を洗いだすと猫は覚醒したみたいだが、なぜだか肉球で胸のあたりをむにむにと触ってきた。たまに触れられたりたたかれたりするとくすぐったいとこも触られたけど、子猫のお遊びとして放っておくか「こぉら、やめなさい」と軽く払いのける程度にしておいた。



 真由子は猫の泡を洗い流して洗面器にはったお湯の中に入れて、今度は泡をたっぷりつけたスポンジで自分の身体を鼻歌まじりで洗い始めた。


 ......その様子を猫がジーっと見ていたことを真由子はしらない.....






 ー*ー*ー*真由子に会うまでと会ってからのかまぼこ*ー*ー*ー



 んみゅう....にゃうー(お腹減った....)


 そこは馬小屋のような小さな小屋の隅っこ。小さな子猫が鳴いている。



 異世界渡りをしてみたものの、人間の姿でうろうろしていたらケイサツカンという人達に捕まって根掘り葉掘り聞かれそうになった。何だあの無礼者たちは!そう憤り彼らが目を離した一瞬で猫になり脱走した。


 魔術は見つかったら大変だ。まぁそん時は相手が勝手に消えるから放っとけばいいけど。




 なぁあう(寒い)

 にゃぅん、うにゃっ(いい加減帰るかなー。でもまだまだ)


 あー温かい食事が食べたいなどとぼやいいると、うるさいと言われた。

 怒鳴った女の人の前に出てみたのはいいが何だか泣きそうな顔だ。ケイサツカンじゃないよな?少し警戒してしまう。その人は僕らの国では高級輸入品である魚の練り物「かまぼこ」を取り出した。ふむ。僕にくれるには悪くないチョイスだ。調理されてないのは猫だから大目に見よう。


 どうやら真由子さんというらしいが美人に拾われてラッキー。だけどネームングセンスはひどいもんだ。



 仕事から帰った真由子さんに「にゃーん」と言うとご飯をくれる。城内でいつも食べている「食事」ではなく温かい「ご飯」。


 ミルク粥、蒸し鶏や蒸し野菜、いろんなスープに白米をいれてくれるのが定番なんだけどどれも手作りで素朴な味がする。たまに真由子さんの皿から御馳走を盗む。猫だからこれはダメ!って怒られるけど僕人間だから大丈夫だしね。いつも甘えさせてくれるしたまに怒られる。




 これなら、この人ならアイツも....


 ある人物が浮かんだが、真由子さんがくれたジューシーな唐揚げに夢中になってしまった。でも真由子さんが食べてる香辛料の香るやつがいいな......。ジッと見てるとダメ!といつも通り怒られ耳が垂れてしまった。


 一緒に眠ると熟睡出来るし変な名前だけどかまぼこと呼ばれるのも大好きになった。でも真由子さんはたまに悲しそうな顔したり少し泣くんだ。僕はそんな時、静かに寝た振りをする。この存在だけは消したりしたくない....側にいたいから。



 数日後、もう一匹の猫がやっぱりやって来た。きっとテレビとかのカデンセイヒンに驚いたり、真由子のお風呂や抱っこの洗礼を受けるであろうことを想像しニャフッニャフッと床を叩いて笑ってしまった。


 そんな僕を真由子さんが見て気味悪がっていた。ガーン





 ー*ー*ー*電子レンジ*ー*ー*ー



 餃子を作るにあたりひき肉をレンジで解凍する。


 かまぼこは社長に「うにゃ、なふんっ」と話しかけブーン、と音をたてる冷蔵庫の上の電子レンジの前に連れてきた。何とも滑稽な光景だ。社長は不思議そうにまわるひき肉を見ていた。


 あーあーニヤニヤしてる。絶対にあの低レベルないたずらする気だ。



「チーン!!」


「!」

 びっくぅぅぅぅぅっ!

 社長は軽く飛び上がり、紫の目は見開きシャンパンゴールドの毛はライオンのごとく逆立っている。


「うぅんにゃにゃにゃにゃ」

 笑う猫はすでに冷蔵庫から降りてソファへ向かっている。まるで驚いている猫をバカにしたように。





 しかし忘れる事なかれ。


 かまぼこはレンジを初めて見た時に、高く飛び上がっただけでなく「んにゃあぁぁぁ!」と叫びつつ冷蔵庫から転げ落ちかしかし床を蹴り、大ジャンプして私の胸に飛び込んでプルプル震えていたのだった......






 ー*ー*ー*悪魔と天使*ー*ー*ー(書き下ろし)



 俺は王立騎士団第4隊長、スミス。ちなみに、第3隊長はオルベルト殿下だが、現在は公務が忙しいから変わり者の副隊長が代行している。その副隊長ってのも個性的なんだよなー



 殿下とは魔術学校からの知り合いだし殿下兄弟とは昔からまぁ何かと縁があり仲が良いと思う。うん。(注・実際はいじられているだけ)


 そんなオルベルト殿下は謎の存在だ。

 第3隊長の地位は公に対する肩書きにすぎないようにみえる。つまり、国を短時間で動かすには肩書きが多く必要だと考えているのではないか。なら政治の重要なポジションへ就けばいいのに就かないまま、老いぼれ敏腕宰相の補助ばかりしている。(ちなみに宰相は国一番の個性的だと俺は思う...)


 まぁ薄々予測はついてはいるが、一体なぜそこまで、と思うこともある。



 *


「ホエー!」

 ふわふわと何かが飛んできた。


 本来なら植物の水やりに飛び回る手のひらサイズのジョウロクジラが、頭から水をまき散らしながら俺の頭の上に降り立ち口をパクパク開けながら伝言を伝える。

「スミス!いいもの見せてやる。すぐに来い」


 頭から水を滴らせ、またか、という嫌な予感に肩を落とした。


「俺は植物じゃないのにジョウロクジラって。全く、何でもかんでも魔術を吹き込めるのは天才なのかバカなのか、ただの楽しみなのか何も考えていないのか....」


 真由子様がこの国の知識をつめこんでいる間は、別の護衛が部屋の外で警護しているので比較的隊長として騎士団へ戻ることが多くあった。そんな中、あの悪魔が伝書クジラを飛ばしてきたのだ。思わず下を向いて背中をポリポリと掻き歩き出す。


「どうせ絶対良いことじゃないな....」

 その呟きはため息と共に、頭上のホエー!ホエー!という鳴き声にかき消されてしまった。




 騎士宿舎から城の入り口の庭にさしかかった時、優しいアルトの声が響いた。


「あら?こんにちは。その格好はどうなされたのですか?」

 風で周囲の花々がふんわりと揺れ、それと一緒に揺れる栗色の髪をした天使に俺は目を奪われた。慌ててキリッと気を引き締めたのは男の見栄だ。


「どうも、ミリアさん。まぁこの格好は.....なんでもありません」

 ほんと悲しきカナ。見栄をはった所で今の自分は濡れ鼠。水がしたたってきて思わず手で髪をかき上げる。


「そうですか。困ったものですわねぇ」

 水を全て吐き終わったのか、頭に偉そうに鎮座しているクジラ(追い払っても頭上に来る)を見て何でこんなことになっているか分かったかのようだ。口に小さな片手をあててクスクスと笑っている。その揺れる華奢な身体を抱きしめてしまいたい衝動を拳を握りグッと押さえる。


「これどうぞ。先ほど真由子様の部屋に飾る花をとってきたんです。その時に包んでいたタオルなのですが、よければ使ってください。風邪ひいちゃいますよ?」


「え....?」

 頭の上にいい香りの桃色の柔らかい布がかぶせられる。

 面白そうに笑っているが少しだけ心配そうに下から覗き込んでくる天使に、興奮するなと言う方がおかしいだろう!だってずっと前から気になっていたんだ!しかしあまりの突然の接近に固まってしまった。ミリアさんは精一杯背伸びをして髪や肩など濡れている所を拭き取ってくれていた。


 少し下を向いていた俺の目に飛び込んできたのは、柔らかそうな首もとと胸元。慌てて現実に引っ張られる。


「もっ、もももう大丈夫ですからっ!」


 動揺のあまり脱兎のごとく逃げてしまった。その胸や腰を掴んで思いっきり上や下から......なんて考えてしまった自分に自己嫌悪。騎士としてあるまじきことだ!


 何があったのか分からずポカンとしているミリアは「?? 不思議な人ねぇ」と、のほほんと呟き抱えた花を抱き直し城へ入って行った。






 城の中にいたエリック様の元に行くと、すでにソファに前屈みぎみに座り目の前のテーブルに置かれた四角い物体をみていた。近づき何かと聞いてみると、それはどうやら異界の「てれび」というものらしい。内部はよくわからないから適当だが魔術を込めれば映像が映し出せるように技術者に作ってもらったらしい。なにが面白いのかクククッと笑いながら侍女にお茶を頼んでいる。



「ここに座りなよ。異界でのあいつが見れるぞ」


「はぁ。じゃあ失礼します。異界でってことは真由子様の家に滞在していた時のことですよね?」


「そ。傑作なんだこれが。魔術で変化した兄さんも珍しいけど」

 自分の隣り、てれびの画面が見えるような位置に促され腰を下ろす。そしてエリック様は侍女が運んできた飲み物を若干口がにやけたまま一口飲む。


「らしいですねぇ。変化したんですよねぇ。あのオルベルト殿下が....」



 置こうとしていたカップがガチャンと音を立てた。

 魔力が強い者は必要に応じ猫に変化することが出来る。ただ、好き好んで変化する者は少ない。面前のエリック様は遊びでよく猫になっているが、男だと変化した可愛らしい姿を見られたくないと感じるやつは多い。


「まぁ見てのお楽しみ」


 そう言ってれびのちゃんねるのボタンを手を押した。

 するとブンッ、っと言う音と共に真由子様と猫姿のエリック様が食事をとっている所が映った。箱から映像や声が聞こえるという不思議な技術に目を丸くしてしまう。



 小さなテーブルの上には、牛肉とニンジンとタマネギとじゃがいものシチュー、それとバケットとサラダが置いてあった。

『にゃぁーう』


『あら、催促コール?待ってねー。かまぼこ用に玉ねぎとかが入ってないの作ったから』

 そう言って映像の中の真由子様は、食べやすいよう砕いた野菜入りシチューの小さい皿にバケットを入れふやかし、黒猫にそっと差し出した。その間もずっと黒猫は真由子様の足下でスリスリしていた。


『さ、どうぞ。バターと牛乳から作るシチューは手間がかかるけど美味しいのよねー。おいし?』

 はぐはぐ食べている猫に向かって屈託なくにっこりと笑う。


『んにゃふ!ふにゃ!』

 皿に顔を突っ込んだまま、しっぽを振り猫は喜びをあらわにしている。



「おっと、これじゃない。ちゃんねる操作はむずかしいな。これか?」

 そうぶつぶつ言ってエリック様は違うボタンを押したりしている。


 猫に変化することを嫌がるオルベルト殿下の気持ちは分かるけど、ここまで猫になりきっているエリック様は恥ずかしくないんだろうか?.....恥ずかしくないんだろうな。殿下だけど「殿下と呼ぶな!立場が相手にすぐバレるじゃないか!」ってくらいだし。



『きゃー!暴れちゃだめ!』


『フーッ!!』


『かまぼこは見守ってくれてるだけなのに....』


『にゃっふん』


 てれびの画面には真由子様が浴室と思われる場所で泡だらけで水のせいでショボーンと小さくなった成猫のオルベルト殿下を洗っていた。それを近くで眺めるかまぼこ、もといエリック様。


 思わず「ブハッ!」と吹いてしまった!


「笑いものだろ?あの兄さんが猫の姿で女に身体洗われてんだぞ」


「くっ、これがあの仕事人間で色男と噂されるオルベルト殿下の御姿!ダメだ....わ、笑いが、ギャハハハ!す、すみません!でも笑い、がとま、り、ません!」


 真由子様と向かい合って挙動不審になる猫を観て、さらにソファの上で腹を抱えて爆笑してしまった。


 エリック様は「だろうだろう」と頷き自分の撮った映像に大満足して見入っていた。ある意味悪魔だ。



 ちなみに真由子様の姿はエリック様の魔術により、よく見えないように白いもやが立ちこめていた。うぅん、残念。俺的にもあのスレンダーで色白のプロポーションはグッとくるものがある。ま、やっぱり穏やかに笑う優しくって肌も柔らかそうミリアさんが一番だけどっ。



 その後、朝起きて真由子様の胸元に収まりおだやかに眠る猫を観てまた笑い、起きた猫が部屋の隅で若干恥ずかしそうにしている所でまた大爆笑スパイラルへ落ちた。



 そしてしばらくの間、オルベルト殿下をみるとにやけそうになっていた。




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