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修羅場を越えたら現実世界の隠れ属性がカンストした件 〜お人好しのダメ男の元に、なぜかワケありな人が集まってくるんです(泣)〜  作者: 黒潮かんしゃ


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甥弟編:恋の相談と、智兄ちゃんの青春

中学2年生になった甥弟に、どうやら好きな子ができたらしい。同級生で同じクラスの女子とのこと。


私は聞く。「弟君は学内ヒエラルキーのどの辺?」それから「学校で女子に嫌がらせしたり、悪ふざけで上履きの匂いを嗅いだりとかした事はあるのか?」


甥兄の影響でギターが弾けるのでヒエラルキーは上の方らしい。マニアックな行動は無いとの返事。


「それであれば、もう君は勝ちパターンに乗っかっている!」と伝える。喜ぶ弟君。女子に変態的な事をしていなければ、それだけでF1レースで言うところのポールポジションに位置していることを告げる。


弟君が「では、どのように告白すればいいか」と訊ねてくる。私はしばし考えて返答する。「『好きな子の姿を見たり、考えたりすると胸が熱くなる、だから付き合ってください!』って言えばいいんじゃねーの?」


「そんな簡単な事でいいの?」と疑問を返す弟君。「それでいいんだよ、ド直球150キロど真ん中だ!余計な事は考えるな!」と励ます。


◇


数日後。


告白は見事に玉砕したらしく、甥弟は布団の中でうずくまって唸っていた。甥兄から「おじさんの言う通りにしたけどダメだった。クソ!みたいなことを言っているからフォローしてくれ」と頼まれる。


仕方なくカップアイスを餌に私の部屋に呼び出す。甥兄・甥弟・私の3人でカップアイスを食べながら。弟君は瞼が腫れていた。その顔を見たら私は思わず笑ってしまった。弟君は怒る怒る色んなことを言ってくる。


一通り文句を出させたら、私のターン。まずは謝罪。失敗した案を提出した事と、顔を見て笑った事。弟君は怒りながらも許してくれた。


そして私は話を続ける。中学生の心はお豆腐メンタルなんだよ、と説明。弟君にも言えるし、告白された女の子だって同じこと。特に、田舎の学生は純真だから、繊細であると同時に最初の一撃は効く。弟君が怒りまくるのは、恥ずかしかっただけなんだろう。お断りされたのは、勇気を出したのに結果が出なくて、八つ当たりしたとも言える。


「考え方を変えろ。弟君が受けた強烈な痛みと同じくらい、好きな女子にもダメージが入っているとしたら?」と投げかける。甥兄は少し感づいて頷き、同調している。


「レースで言ったら第一コーナーをトップで曲がった有利な展開だ。憧れの女子は、鳥の現象、羽化した時に初めて見た物を親と認識してしまう、あれだよあれ!そう、弟君は大好きな女の子の豆腐メンタルにインプリンティング!成功したんだよ!」


さらに続ける。「ゲームのキャラにボーナスステージってあるだろ、自動車ぶっ壊して得点になるステージ。あれって、自動車を一撃で倒したら面白くないんだよ。攻撃連打するじゃない。要するに、それと同じこと。好きな子は、もう弟君を意識せずにはいられない状況に入ってしまったんだよ!」弟君の目の輝きが戻る。「君の勇気ある一撃に、恥ずかしくて拒否るしかなかったんだよ!って考えたら?」


「一度断られたくらいで、その子を嫌いになった?」弟君「いや全然嫌いにはならない、けど、もう会えない、恥ずかしくて」


私は続ける。恥ずかしいし同級生の視線もいたたまれないのも解る。だけど、一度告白をされた後に君の事を気になってしまって、憧れの子は君を友達よりも特別な人になっているかもしれない。もしかしたら、もう一度チャンスが来るのを待っているかもしれない。同級生は、笑うどころか、弟君を骨のある漢、格好イイと思うかもしれない。


「男なら、どうする。時期を見て、遅くならない程度にて、もう一度アタックすれば良いんじゃないか?文化祭前とか」弟君が少し立ち直る。


◇


私は弟君に問いかける。「イメージしてみよう!告白だけがアプローチではない。例えば、ノートの切れ端に近況の報告的な事を書いて、授業中に渡してもらうとか。強烈な一撃でなくてもいいんだよ!『ジャスコで何回かガチャガチャ回したら同じものが出てきたから、余ってるから今度あげるね!』的な事でいいんだよ。ちょっとづつ距離を縮めればいいんだよ。」


すると甥兄が自分のターンとばかりに「智兄ちゃんは学生時代どうだったの?」と質問してきた。私も恥ずかしがっていられないので、全部話した。


中学2年生の時、転校生女子が隣のクラスにやってきた。垢ぬけない子だったので、特に話題にならなかった。隣のクラスの男子友人に会いに行ったら、見慣れない子が机に突っ伏してイラストを描いていた。ちょっと見えてしまった。衝撃だった。優しい筆圧の、私の大好き系のイラストだったのだ。その瞬間に惚れた。ちょっと話をして「イラスト凄く良いよ」と言ったら、ピンク色フレームの眼鏡越しにニコッと笑ってくれた。電気が走った。


と言ったら、甥達は「そんなんで!?」と首をかしげた。


文字とかイラストって心の内面が出るじゃないですか。特にイラストは描いてる人の内面が表れている鏡のようなものと思っていたのだ。


それからは気になって気になって、何か口実をつけて会いに行った。少し仲良くなったので、体育授業の前に紅白の鉢巻きを忘れたので貸してくださいとか言って親睦を深めた。


甥達は「へー」とか言いながら、ちょっと引いていた。悔しいので、もっと明確に伝えた。「図書委員風の子が眼鏡かけて、ニコッと笑って、鉢巻き貸してくれるんだぞ!もう、悶え死にするよ!」また引かれた。


甥兄が「それから、どうなったの?」と質問を続ける。大好きだった香織ちゃんは、中学卒業ちょっと前に転校して行った。その後連絡は取れず。私は当時、踏み込む勇気が無かった。


だから弟君には勇気を出してほしい。一度ぐらい躓いたって何と言う事はない、男を上げるチャンスと考えた方が良い。「まぁ、3機のうち1機やられた程度、まだまだ、ゲームは続けられるよ!」


◇


この時期、私はぬくおと一緒にスナック(お酒を出すところ)に、ちょいちょい行っていた。いわゆる紳士道を磨くため。中山美穂似のお姉さんに話しかけたくて、「1万円のボトルを入れて、5分しか話せない」という状況を甥達に説明した。「そんな不利な"無理ゲー"状態に喜んで行くのが紳士道を磨くもの!」と格好つけて語った。


続けて弟君に問う。「弟君は今の状況はどうですか?無理ゲーですか?それともイージーモードですか?」


「スナックの姫はね、心のメンタルは、、超硬いフランスパンで出来ている感じかな。硬さは、、、松井秀喜がバット代わりにそのフランスパンを持ち、打った打球はドームの天井を突き破るほどの硬さぐらい。その位硬い。イメージな!」


「智兄ちゃん、例えが長い」とツッコまれる。


それでも続ける。「心の壁が厚くなっている時より、薄い壁の時にアプローチする方が確率が上がる。タイムマシンがあれば、やり直したいよ。あの時、勇気があれば、未来は大きく変わったかもしれない。香織ちゃんは私のお嫁さんになっていて、公務員旦那を持つ奥さまになってたかもしれないよね。タラレバの話だけど、後悔してもやり直しは効かない。だから、勇気を出してね弟君!未来は、向いている方に進むから。」


甥達は、私の地雷を踏んだことに気づき、「アイスご馳走様」と言って部屋から逃げた。


終わり。


【ステータス更新】

励ましていたはずが、自分の方が古傷でボロボロになっているなんて……尊いというか、切なくて拝みたくなりますわ。

隠れ属性「ブーメラン成分」耐性、上昇。これが"光"ですわ……。

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