エピローグ 三角四角の始めと終わり3
「ふぅ、やっと終わったか」
俺はコーメ握りにかぶりつきながら、校門までの道のりを歩いていた。
レオンハルトはあの後、学院関係者に呼ばれて別室に行ってしまい、俺は簡単な今後のスケジュールを手渡された。
思いがけぬ合格、思いがけぬ学院からの依頼。
ほとんど記憶のない魔気災害の原因究明をしろって言われてもなあ。レオンハルトは向いてそうだけど、俺、役に立つかな。
――ドンっ
前を見ずに歩いていて誰かにぶつかった。
「す、すみません……」
視線を上げ、ペコリと頭を下げた。
そこにいたのは、綺麗な白髪を上品に撫でつけた男。
「――珍しい、銀色。美しい」
「はい?」
「君は料理は好きかい?」
唐突な質問に間抜けな声が出た。
けれど、それ以上の質問をするでもなく、その男はふわりと空気のように横を通り過ぎていった。
何だったんだろ……ま、いっか。
それにしても綺麗な人だったな。
瞳の色がアイツと同じだ。
俺は最後のコーメ握りをほお張りながら、あの黒髪の神々しいイケメンを思い浮かべた。
「おかえり、ブルーメ!」
銀の突き匙亭。
コトコトと鍋が静かに揺れ、煮込みのよい香りが漂う。
マルタが温かく包むような笑顔で出迎えてくれた。
「ただいま!」
女将さんに話したいことがたくさんある。
俺は女将さんに片手を振った。




