トーナメント
私がこの学校に転校して来てから1ヶ月たったある日
「…なんか今日うるさくない?」
そう。いつにも増して外がガヤガヤしている
時々悲鳴に近い声が聞こえてくることもあった
「あ〜…トーナメントもうしてるのか」
「トーナメント?……何それ」
「青龍高校の大イベントだけど知らないのか?」
「…全く聞いたことない」
詳しく聞いてみたところ、俊が言うトーナメントとは喧嘩大会で “姫” という立場の女子生徒がいるグループに出場権利があるらしい
出場するチームのリーダーがくじを引いてトーナメントを作っていく
チーム人数は決まっている
男・4人
女・1人
そしててっぺんに立っているグループと最後まで勝ち残ったグループで戦い、てっぺんのグループに勝ったらそのグループが新たなてっぺんとして君臨することが出来る
グループで戦うと言ってもほぼグループは関係ない
1人ずつ戦って勝った数が多い方が勝ちらしい
もちろん姫は見ているだけではない
姫は姫同士で戦う
姫は最後に戦う
リーダーは姫の前に戦う
後のメンバーは適当な順番でOKらしい
前の3人が勝った所でリーダーと姫が勝負しないということはない
どちらにしよ全員勝負するらしい
「それが今行われてるってわけね」
「そうだな。蒼たちは会場に行ってるけど行くか?」
「…別にいいや。あんまり興味無いし」
「…お前俺の話聞いてたか?」
「えぇ。」
「じゃあ分かってるよな?明日お前も出るんだぞ」
「……えぇ」
「お前なら大丈夫だろうけど頑張れよ」
「分かってるわよ」
「守ってやりたいけど今回ばかりはそうはいかねぇからな…」
「大丈夫よ。安心して」
そしてついに私たちが戦う時が来た
「よしっ!行くぞ!」
俊の一言で私たちはステージに上がった
私たちが出てきた瞬間歓声が上がった
もう相手はステージにいてこちらを睨んでいる
俊たちの相手は知らないけど私の相手はあの裏表が激しいぶりっ子ちゃんである瑞希さんだった
藍人・蒼・洸大・俊・私の順番だ
さすが…と言うべきか
私以外のメンバーは楽々と敵に勝った
拳一つも貰わないで勝った
仲間…なんだろうけど素直に喜べない
だって面白みがない
楽々と勝つのはいい事なんだけど、数分で勝ってしまうので私の番が回ってくるのが早いこと早いこと
「ほら、琴心の番。
……まぁ相手はあのぶりっ子だから負けることはないと思うけど」
「さぁ?どうだろうね?まぁやれるだけのことはやるわよ」
こうして私と瑞希さんの勝負が始まろうとしていた
私は気づかなかった
向こうで瑞希さんが悪い笑みを浮かべていることに
そして私がこれから酷い目に遭うなんて考えもしなかった