反対する者と歓迎してくれる者
集会が終わり私たちは “BlueTiger” が集まる部屋へ移動した
教室へ入るとさっきまで廊下まで聞こえてきていた声が一切聞こえなくなりみんなの視線が私に集中しているのが分かる
…姫を探していたって言ってたから女子はいないものだと思っていたけど普通にいるじゃん
……あれ?確か藍人が “女をチームに入れるつもりはなかった” って言ってたよね?
…じゃあこの人たちは誰?
「…琴心さんでしたわよね?あなたのお名前」
「……はい」
この人、どこかで見たことあるんだけどなぁ…
誰だっけ。見た感じこの女子たちのリーダーみたいだろうけど
「私、瑞希と申しますわ。失礼ですけれど俊様たちを誑かさないで下さいませんこと?私見ていて腹が立ちますの。俊様たちのことを一番知っているのはこの私ですわっ!貴方みたいな小娘が姫になるのに納得できませんっ!」
集会では自分のことを “瑞希” と呼んでいたのに今は “ワタクシ” と呼んでいる
……ぶりっ子か
1番面倒臭いタイプじゃんー…
「……さっきから聞いていればさぁ、何勝手なこと言ってくれてるの?そもそもアンタ誰?」
「瑞希のこと知らないんですか?!」
藍人がキレ気味で発した言葉に瑞希さんの取り巻きの中の1人がびっくりしていた
「当たり前だろ。何で俺らがお前らなんかの事を知ってないといけないんだよ。邪魔だから帰ってくれ」
俊がそう言うと瑞希さんの顔がどんどんくもっていった。
そしてとうとう泣きそうな顔になり走って教室から出ていった
「……いいの?あんな言い方して」
「別にいいんじゃなーい??琴姫が気にすることじゃないよー」
それから少し話をしているとふと洸大が思い出したように言った
「あ、自己紹介」
「え?あ……ごめんなさい。えーと実渕琴心です。高2です。よろしくです」
私が自己紹介をするとさっきまで静かだった教室が嘘のように盛り上がった
色々な人が “よろしく” と笑顔で言ってくれたから少し安心した
いくら幹部の4人が私を姫にするといってもグループのメンバー全員が反対したりでもしたら流石に私は姫になれなくなる
私は別に姫じゃなくなってもいいと思っているけど、またあのつまらない日常を送るって考えると寒気がする
私がそんな心配をしていたのにも関わらずアイツらは “自分たちが認めた女なんだから認めて当たり前” という顔をしていた
少し…イヤ、結構腹が立った
だから軽く近くにあった足を蹴った
「イタっ!!」
やべ…洸大蹴っちゃった…
俊か藍人を狙ったつもりだったんだけどなぁ…
まぁいいや。
私たちがじゃれあっていると私の所に紙飛行機が飛んできた
紙飛行機を広げると中にカタカナが書いてあった。しかもご丁寧に定規で
“ホウカゴタイイクカンウラニコイ”
…転入そうそう呼び出しですか…
今でもこんなことする人っているんだね
まぁ、私がそんなことに動じたりしないけど
もちろん言う事なんて聞くわけないしね
こんな面倒臭いことをするってことはそれだけ度胸がないってこと
呼び出すのといじめる勇気はあるくせに他の人にバレるのが怖い意気地無し
こういう中途半端なやつ大っ嫌い
私は気に入らないけど俊たちに虐めてるのを知られたくないってところでしょ。
あー、面倒臭い!
でもこのことをあの4人に言ったらもっと面倒臭いことになる
何かあったら報告しろって言われたけどいちいちそんなことしないし
第一、私は守ってもらうつもりなんてさらさらない
自分のことは自分で解決する。
それが普通でしょ?
_私に仲間なんて必要ない
__私は1人でも充分生きていけるんだ
___今までも、これからも__
「……」
私はこの時気づかなかった
_蒼がこっちを見て怪訝そうな顔をして見ているなんて