春名:なんで!?
改めて言われて、うん、としか言えない。
春臣よりは低いけど、吉成君も身長高い方だと思う。
目の前の鏡には、吉成君の喉元までしか映らない。
「腕とか細いし、手とか小さいし」
「そうかな」
「ほんと小さいよ。子供の手みたいじゃん」
そのまま手を、上にあげさせられる。
何となく吐息がかかった気がして、嫌な感じがする。
振りほどきたいけど、同級生だし──
「ちょっとピン止めたいから、離してもらってもいい?」
「頭も小さいし、人形みたいだよな」
「……吉成君?」
振り返ろうとして──痛い。
掴まれた腕を捻るみたいになって、思わず顔をしかめる。
「あれ、ケガしてるの?」
「この間転んじゃって。離してもらえる?」
「へえ、腕だけ?」
「足もだけど……」
そろそろ時間無いから、そう言おうとした途端。
「あっ」
頭を抑えていた腕も、つかまれた。
そのせいで髪の毛がばさっと肩に落ちる。
「ちょっと──って、何っ?」
「うわー、片手で両方の手首つかめるんだ」
「急いでるんだけどっ」
「うん、それはいいからさ」
両方の手首をつかまれて、両腕をまっすぐあげさせられた。
全部ほどいたら、もう一回縛りなおさなくちゃいけない。
まだ浴衣乾かしてもないのに、時間に遅れちゃう。
「ねえ、吉成君っ?」
「じっとしててねー」
「……何、してるのっ!?」
手首に、違和感。
ぎゅっとつかまれていたと思ったら、そのまま何かを巻かれてるような──タオル?
振り返りたいけど、振り返れない。
鏡でも、近すぎて見えない。
……やだ、なんだか怖い。
「さて、何でしょう」
「タオル──?」
「正解でーす。それじゃ、もう一つ」
不意に両手首から手を離される。
「何、──痛っ」
もがいていた勢いで両手を鏡の上にぶつけちゃって、顔をしかめた途端、息苦しくなった。
鏡を見ると、あたしの鼻と口の上にはタオル──って、何で!?
そのままぎゅうっと締め付けられる。
「んんんっ!」
「ああ、ごめんごめん。苦しい?」
もう一度、手首をつかまれる。
そのまま吉成君があたしの前に立つと、鼻に被っていたタオルを下におろした。
おかげで息苦しさは改善されたけど、どういう事!?




