春名:挟まれて、一回、目があった。
「何を?」
「……上唇っ」
「きゃー! 藤田君ってば!」
電話の向こうで三津屋がやるなあって言う声がする。
キスは、何回かした事ある。
でも、今日みたいに唇で挟まれたのは、初めて。
凄いびっくりしたし、一気に顔が熱くなった。
「それからっ?」
「も、もっかい、ちゅって……された」
「うわー、あたしまでドキドキしてきたよー!」
「あたしだって凄くしたもんっ!」
「それで? それで?」
普通にキスして、……挟まれて、一回、目があった。
その後もう一回ちゅってされて、頭撫でられて、──好きですよ、って。
「……思い出すだけで、顔が赤くなっちゃう」
「わかるよー! そういうのって凄くドキドキするし、嬉しいよね」
「うん……」
でも思い出すたびに、あたし唇カサカサしてなかったかとか、変な顔してなかったかとか、凄く色々気になる。
ドキドキして、記憶飛んじゃうくらい緊張した。
目が合って、春臣の顔がすぐ目の前にあって。
ゆっくり目を閉じるのが見えて、──あたしも、目を閉じた。
その間中ずっと、自分の心臓の音が聞こえてて、息が苦しくて、どうやって呼吸したらいいかわからなくなって。
……でも、好きだって言ってくれて、凄く嬉しかったんだ。
「それで、どうしたのっ?」
「あ、あたしも好きだって言いたかったけど、緊張しちゃって」
「うんうん」
「──転びそうになって、支えられた」
「あははは、いいじゃないっ?」
「びっくりしたんだもんっ!」
「うんうん、するよね?」
体勢崩して、ひっくり返りそうになった。
そしたら、春臣が支えてくれて。
腕、力強くて、またドキドキした。
ちゃんと好きって言いたかったのに、恥ずかしくて、上手く言えなくて。
それで、ぎゅうって春臣の手を握ったんだ。
「大丈夫、ちゃんと藤田君はわかってくれてるよ」
「かなあ……」
「うん。大丈夫」
「ありがとう。三津屋これから彼氏の家でしょ?」
「うん」
「三津屋も緊張してるんじゃない? 大丈夫? あたしの話ばっかり聞いてもらっちゃってごめん」
「春名の話聞いてたら、緊張とけてきたもん。嬉しいよー? ありがとっ」
「そ、そうっ?」
「うん。……あ、彼氏来た! それじゃ、がんばってくる!」
「うん、ありがと! がんばってね!」
そう言って、電話を切る。
三津屋はこれから彼氏の家。
この時間からって事は、晩御飯一緒に食べるのかな?
もう付き合いは長いって聞いてるけど、初めて彼氏の家に行くってやっぱり緊張するよね。
でもきっと、三津屋なら大丈夫だって思える。
優しいし、可愛いし、きっとおうちの人だって喜んでくれる。
うまくいきますようにってスマホに祈って、枕元に置く。
春臣もあたしの家に始めてきた時、緊張したのかな?
あの時はお姉ちゃんしか居なかった。
でも、特にいつもとあんまり変わらなかったし、緊張してなかったのかな?
──今度、春臣の家に行く時、って考えただけであたし、凄く緊張する。
どんな感じなんだろう?
……皆身長高いのかな?




