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STAND BY YOU!  作者: ぬこ@nuko_nuko


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11/11

春臣:明日の僕も、幸せです。




 「9800円になります」

 「1万円でお願いします」

 「え、春臣っ?」

 

 

 一万円を出した所で、財布を出していた春名さんが顔を上げました。

 

 

 「これは、プレゼントさせてください」

 「なんでっ!?」

 「お詫びになるとは思っていませんが、それでも、このくらいはさせてほしいんです」

 「そんな──だって」


 

 あたしが悪かったのに、と言いかける春名さん。

 いいえ、と言葉を制すると、でも、と首を振ります。

 サラサラと春名さんの髪が揺れるのが、とても可愛くて、やっぱり好きだなと思います。

 

 それなのに先日、僕の不甲斐なさのせいで春名さんを傷つけてしまいました。

 一緒に映画に行く約束を守れず、ケガをさせ、──春名さんを泣かせてしまったんです。


 

「お願いします、これは僕から春名さんに贈らせてください」

「そんなの悪いよ、じゃああたしも春臣に浴衣を買う!」

「ありがとうございます。でも僕はもう浴衣を持っているし、春名さんに浴衣を贈るのは僕のためでもあるんです」

「春臣のため……?」

「はい」


 

 これは、嘘ではありません。

 春名さんのために何かできるのはとてもうれしいです。

 それに何より、春名さんの浴衣姿を見るのが初めてで、楽しみなんです。


 

 「ですから、これを着て、明日一緒に花火大会に行ってくださいね」


 

 可愛らしい金魚の柄で、紺色の浴衣。

 僕のも紺色なので、同じ色になります。

 

 二人で一緒に浴衣を来て、露店を見て歩いたり花火を見る事を想像しただけで、思わず顔が緩んでしまいました。

 

 

 「……本当にいいの?」

 「もちろんです」

 「春臣、ありがとう」


 

 笑顔で頷き、春名さんが出していたお金をしまって貰います。

 それから店員さんに1万円を渡して会計を済ませました。

 持ちやすいように包装して、店員さんが春名さんに笑顔で手渡してくれます。


 

 「優しい彼氏ですね」

 「えっ、あっ、あ、は、はいっ!」


 

 嬉しそうに浴衣を受け取る春名さんに店員さんが声をかけました。

 途端に真っ赤になって頷く春名さん。


 

「彼氏さん、彼女さんのこと大好きなんですね」

「はい、とても大切で、大好きです」

 


 春名さんは、僕の大切な彼女です。

 そして僕は、春名さんの彼氏です。


 ……それが改めてとてもうれしくて、またこうして一緒にいられることを幸せに思います。

 

 明日は春名さんの浴衣姿を見ることができるのですから、明日の僕はもっと幸せだと感じているかもしれませんね。

 

 天気予報では晴れだと言っていたので、心配は無いでしょう。

 店員さんにお礼を言って、二人で売り場を後にしました。


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