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すみません。テイマリアン・サーガを読みたくて  作者: きっと小春
第三章 静かなる狂者の間引き
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鮭熊が来た

その第一報は、わたしが朝食の後片付けを終えた直後だった。


「鮭熊が来たぞっ!!」”三日月の砂浜”で狩りをしていたギツァとシフォが大慌てで村に戻ってきました。


「な、なんだと!? 例年よりも一週間も早いじゃないか!!」村人は大混乱。


鮭熊は、西の”青い湖”で生まれ、長い年月をかけて”三日月の砂浜”に戻ってくるのだ。砂浜に上陸した鮭熊は、なぜか? この村を経由(襲って)して、西の”青い湖”へ産卵しに行くのです。


村長のバルベルデが、村の広場で指揮を取る。


「いつもより早いのは、火山の影響かも知れん。だが、来てしまったものは仕方ない。重要なのは、村を守ることだ。しかし去年に引き続き、村の守衛の数が足りない。しかも今年はイーノーベがいないため誘導魔法が期待できない。騎士たちが来てくれる手はずだが、恐らく一週間後だろう」


村長のバルベルデの推理通り、鮭熊は夏頃から”三日月の砂浜”の沖合を回遊して、秋の初めに流れ込む暖流を合図に上陸するのだが、海底火山の噴火で暖められた海水を、それと勘違いしたのだった。


暗い顔のバルベルデだが、思い切り深呼吸して、最後に叫ぶ。


「だが、諦めるなっ! 少しでも村の被害を抑えるべく、全員で立ち向かのだ!!」


”三日月の砂浜”から村まで、どんなに急いでも到着するのは、明日の昼過ぎだ。村人は、バリケードを作り、武器をかき集め、鮭熊の襲来に備えた。


「お父さん、鮭熊が肉をドロップしたら売れるかな?」


「鮭熊は、肉をドロップしないぞ。それにドロップアイテムは、村で山分けだ」


***** ***** ***** ***** ***** 


村の西側。わたしは村の誰よりも先頭に立つ。いっそのこと、メタフォビームで全滅させてしまうか? と、グラセルに相談したのだが、「あんなの地上で放ったら何が起こるかわからん。村が消滅する可能性もある」と怒られてしまったのだ。


ドドドドドドッドッ と、地鳴りのような音が聞こえ始める。


うん? 百や二百って数じゃないぞ? 何千単位? はうっ!? や、やっぱりメタフォビームが正解じゃなかった!? これも村長のバルベルデの計算違いだった。例年はイーノーベの誘導魔法により、70%以上の鮭熊が村を見つけることが出来ず、そのまま西の”青い湖”を目指していたのである。


わたしは短剣を抜く。うさ角とメタフォに合図を送り、村を飲み込もうとする鮭熊の集団へ突撃したが、あっという間に鮭熊に飲み込まれた。


しかし村長のバルベルデも、イーノーべも、村の老人でさえ知らなかった鮭熊の習性があった。それは鮭熊は、強者を見過ごすことが出来ないということ。好敵手を見つけた鮭熊たちは、それが一体VS数千という戦いにもならないアンフェアな条件を無視し、ただ目の前の戦いに酔いしれていた。


踊るように短剣を振り、次々と仲間を倒していく小さな少女に、鮭熊の本能が荒ぶる。村まで2,500mの場所で、ベネツィオが鮭熊の侵攻を止めたのだ。


村長のバルベルデは、村へ鮭熊が雪崩込むのを防ぐためにも、あの位置で戦うのがベストだと判断する。「男ども!! 突撃だ!!」村長自らロングソード片手に、数千にもおよぶ鮭熊の集団に決死の突撃をしかけると、村の男全員がテイマーであるため、守衛は勿論、商人も生産者も戦いに参加する。


そして地鳴りのような音は、”夜の森”と”凍てつく山脈”のある北側からも聞こえてきたのだが、村人は誰も気が付かなかった。


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