初めての旅
盗賊との接触を優先したため、食料や補給の馬車は半日遅れの深夜に到着した。それまでは村の広場で簡易的な野営状態になり、わたしは騎士の見張りのもと、毛布に包まれて寝てしまう。
騎士団は、夜明けとともに出発する。町までの日程は、村から夜の森の中間まで、夜の森の中間から凍てつく山脈の麓まで、凍てつく山脈の麓から遺跡のトンネルの中間まで、遺跡のトンネルの中間から出口まで、出口から山岳地帯を抜け荒れ地まで、荒れ地から草原の中間まで、草原から農地を抜け町へ。全行程七日かかるらしいです。
100名の騎士団全員が固まって町へ帰還するわけではなく、南、西、東に分かれて、盗賊の残党狩りをしながら帰還するとのこと。私たちは騎士20名と幌馬車1台で北へ向かう。
「君は、馬車は初めてかい? 慣れてないなら、この毛布をお尻に敷くといい。それと途中寒い場所も通る、もう一枚毛布を渡すから風邪を引かないように」と親切にされる。
ダンモフは更にお尻が痛くならないように、モフモフっとクッションを作ってくれた。うさ角は膝に乗っけた毛布の上で、気持ちよさそうに寝ている。
町へ連行されるのは、わたしと、護衛役でありテイマーのオーゼンさん、鍛冶屋のブリッドさんの三人だ。一応、手縄で自由を奪われていて、騎士が二人見張りについていた。
緊張感がだんだんと解かれていくと、馬車の揺れで酔ってきた。青い髪の毛のわたしが青白い顔をしていると余計に目立つのだろうか? 「ほら、これは魔法の薬だ。すぐに状態が良くなる。美味しくはないけど、がまんして飲むんだ」と騎士の一人が渡してくれた。
「ありがとうございます」黄色の薬…。薬には苦い思い出があるけど、これなら大丈夫だろう。と手縄で固定されているが、器用にグビグビ飲む。か、辛いっ!!!! ん〜〜〜〜〜っともがく。騎士もオーゼンさんもブリッドさんも笑い出す。ひどいっ!! でも、本当に、気分がスッキリした。
「すごいですね。これ。すごくスッキリしました」とニッコリして感想を言うと、なぜか騎士の二人は顔を赤らめた。
幌馬車には窓がないため風景が後方しか見えないが、ブリタルアと来た場所は、既に過ぎていたみたいだ。馬車って早いな。それに20名の騎士団なので盗賊が来ても怖くはないね。順調に一日目の目的地である夜の森の中間地点に到着したみたい。
「あ、あの…トイレ行っていいですか?」と騎士に声をかけると、一応…任務の関係で監視しなければならないと言われた。「えっ!? み、見られるの!?」と驚くと、「うっ、あ、そ、そこの木の陰でしなさい」と指示された。
あっ!? そうか…。村人のオーゼンさん、ブリッドさんは、わたしのことを男の子と認識してるけど、騎士団は、女の子だと思ってるのか!! という事は、初対面だと、わたし…女の子に見えるんだ…。女の子なんだけど…。
「お、お待たせしました」とお礼を言い騎士団に合流する。
お湯みたいな薄い塩味の謎のスープと、硬いパン、燻製肉だけの質素な食事を終えると、就寝タイムとなる。騎士はわたしの扱いに困っているらしく、何処で寝かせればと悩んでいた。「オーゼンさん、ブリッドさんと一緒でおねがいします」と提案するが、「で、でも…」と判断に迷っていたので、強めに「お願いします。村人と一緒のほうが安心するので」と押し切る。オーゼンさんとブリッドさんからすれば、どういうことなんだと? 困惑した顔で、わたしと騎士の会話を聞いていた。
夜でも、そこそこ冷えるが、ダンモフのモフモフと、うさ角の火炎角弱火で、ぬくぬくできて快適だった。うんうん、わたしの魔物たちは優秀だね。冒険に出ても大丈夫だね。
そして朝早く起きた騎士と一緒に、馬車の外に出させてもらった。「少し体を動かしたいのですが、問題ありますか?」と騎士に尋ねる。
「見える範囲にいるなら許可しよう」と許可が下りる。「メタフォ! 30連撃の勝負です!!」とフードから寝起きのメタフォを下ろす。




