死線を越えて
ベッドで寝ていたメタフォがバサリと起きる。慌てたように、ダンモフを咥えると、魔法陣に飛び込んだ。砂浜の小屋を飛び出すと、鋼色のメタフォは、砂浜に降り注ぐ太陽光を反射しながら、砂浜を疾走する。
砂浜に横たわるうさ角と主…。メタフォの感覚は怒りに支配された。己の尻尾を鋼の剣に変え、海猿まで800mの距離を跳び、敵をロングソードごと斬り伏せた。そして咥えていたダンモフを仰向けに寝かせた主の上に置く。
ダンモフは、触覚の新芽を傷口に当てると、器用にお腹から出てしまった内蔵を元の位置に戻し、新芽の生命力を主に流し込み始めた。
メタフォは主を守れなかった、うさ角を斬りつけようとしていた。
「おやめ。守れなかったのは、お前も同じじゃないかい? それよりも、今は主だろ?」とイーノーベ老婆が厳しい口調で言った。
メタフォ、とうさ角、イーノーベ老婆は、倒れたベネツィオの容態を確認する。
ダンモフのダンゴムシから生えたモフモフした部分は消え去り、新芽も枯れ果てていた。どうやら力を使い果たしてしまったようだ。だがベネツィオの切り裂かれた腹は完治していた。
「傷は塞がったか。内臓の損傷も治したのかい?」ダンモフに尋ねると「モプー…」と頷く。
「そうかい。でも失った血は戻らないんだろう? ほら、帰るよ」
あれだけの怪我、いくら優秀な治癒能力を持つ魔物でも、完治できるもんじゃない。もしかして、副作用として光の眷属になるってのが、役に立ったのかね?
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目が覚めるとベッドの上にいた。わたしの記憶は死ぬ間際で固定されていたため、慌ててお腹を押さえるが、傷跡一つ無いお腹を見て、また驚く。
「起きたのかい?」お婆ちゃんに事の顛末を聞き、一緒に寝ていた三匹の魔物を撫でる。うさ角は怪我をしていて、ダンモフは…ただの大きなダンゴムシだった。
「体内に残ったばい菌を殺すため、失われた血を元に戻すため、しばらくベッドの上で大人しくしているんだよ」
小さく「はい」と返事をして、また眠りにつく。
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目が覚めると、違和感がある。魔物たちがいない…。下着姿のままベッドから下りて、家の中を探す。
「お婆ちゃん、魔物がいないの!」
「あぁ…三匹で、砂浜に行ってるよ。ほら、ベッドにお戻り、また熱が出るよ」
テイマーが、その場にいなくても…。命令がなくても…。そんなことが可能なのかな? テイマーの意味って…。それに…。
「うさ角…」あの臆病なうさ角が戦いを諦めていないなんて…。
「おや? どうしたんだい? お前さんは、戦うことが怖くなってしまったかい? それは仕方ないことだよ。何せ、死にかけたんだからね」
うん。怖い。怖くてたまらないよ。でも…テイマリアン・サーガに出てくるよな…そんなテイマーになるのが夢だから…。




