第10話 おたくはやめられない
アニメ。
子供が夢見るものから、大人たちの喜ぶものまで、千差万別。
たくさんの宝石箱。
誰だって、見ていい不思議な世界。
大人たちが考えるフィクション。
それを、追いかける視聴者。
アニメファン。
アニメおたく。
色々、専門用語も飛び交うけれど。
アニメは、楽しむためにある。
小田雄太。
通称・オタ。
オタは、アニメが、大好きだ。
葉原。
葉原には、電気店がある。
オタの、おたく仲間・男樹は、そこでいつもゲームを買っている。
「…入荷するまで、もう少し時間がかかるらしいぞ」
「そうなんだ〜」
男樹と合流した、オタたちは、電気店の前のベンチ周辺で休んでいた。
男樹が欲しいゲーム。
『アースクエスト7』
10年以上前のレトロゲームだ。
人気RPGシリーズの第7弾。
広大な大地を旅する、冒険もの。
そのリメイク版が、今日、発売する。
第10話 おたくはやめられない
「男樹の欲しいゲームは、行列できないんだね〜」
「いいや。店内で、行列ができているぞ」
「ならばないの?男樹〜」
「ああ。奥さんが、代わりにならんでいるぞ」
「え!男樹の奥さん〜?あの美人な奥さんか〜」
オタは、男樹の奥さんにも、何度か葉原で会っている。
お洒落な奥さんで、いつも紫外線を気にしている、白肌美人である。
「オ、オタ!その美人な奥さんのことが好きなのか?ワタシが、お前の将来の嫁なんだぞ!」
ライラが、オタの腕に手をまわす。
「買えたわー!」
男樹の奥さんが、満面の笑みで、電気店から出てきた。
ミニトートバッグの中には、お目当てのゲームが入っている。
「良かったぞ」
「わざわざ、葉原に来たかいがあったわ」
男樹夫婦は、うれしそうに微笑み合う。
それは、オタもうれしいところなのだ。
しかし、自分のことを思い出すと、あまりうれしくない。
欲しいプラモデルが、買えなかった…。
「…パーフェクトファンダム欲しいよ~」
「ああ、電気店のレジ横にあったわよ。オタ君」
男樹の奥さんが教えてくれる。
「え〜!本当?」
「臨時入荷したんですって。最近のプラモデルは人気高いわよね」
「…ファンダム〜!」
オタは、駆け足で、電気店に突入した。
「買えた〜!」
プラモデルの入った紙袋を抱きしめて、オタは、大空に向かってほえた。
欲しかった『パーフェクトファンダム』のプラモデルが手に入ったのだ。
「良かったですね。師匠」
「良かったデス。オタ様」
「いえ~い!ありがとう、弟子たち〜」
弟子二人に、ピースサインを送るオタ。
上機嫌になったオタは、笑顔に満ちあふれている。
「幸せになれましたか?」
ヲタク2号は、安室博士の声が聞こえた気がした。
ヲタク28号も、聞こえた様子で、アンドロイド女の娘は、見つめ合う。
その次に、二人でオタを見つめる。
葉原のオタは、幸せそうだ。
「ボクの好きなのは、アニメのプラモデル〜」
オタ。
「ワタシが好きなのは、オタだ」
ライラ。
「私が好きなのは、ファンダム様」
ヲタク2号。
「私が好きなのは、ニューファンダム様」
ヲタク28号。
オタは、すぐ帰宅して、買ってきたプラモデルを組み立てる。
まさに、パーフェクト。
パーフェクトファンダムだ。
…うれしい。
これだから、おたくはやめられないのだ。




