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第1話 葉原のオタ

葉原。

アニメとゲームの街。

そこには、心からアニメを愛する“おたく”が集まる。

オタも、その一人。

本名・小田雄太。16歳。

通称、オタ。

肩まで伸びるオカッパ黒髪。

くもり眼鏡。

自分が、一番かっこいいと思う、おたくスタイルを追求している。オーソドックスな少年である。

一番好きなアニメは、


“機能戦士ファンダム”


陸戦用ロボット兵器ファンダムの戦いは、走って、撃って、勝ち続けるもの。

ゲーム化もされ、シリーズ化もされ、大人気のロボットアニメだ。

「アレをつまらないと思うヤツとは、友達になれないね」

オタ、激オシのアニメ大作なのだ。

ロボットは、もちろん、カッコいい。登場する美少女キャラも可愛い。

アニメは、基本、箱推し。

それが、オタの美学だ。


第1話 葉原のオタ


おたくには、アニメのことを熱く語り合う、友達が必要不可欠である。

オタには、葉原で知り合った仲間がいる。

男樹竜助。35歳。

機能戦士ファンダムの初期作を、リアルタイムで見てきた熱血漢である。

オタとの年齢は離れているが、アニメ愛を同じくする永遠の仲間だ。

オタと男樹は、ファンダムのアニメの最新作の話で盛り上がっていた。

「男樹〜。パーフェクトファンダム見たか?」

「見たぞ。あれは、本当に完璧だったぞ」

「プラモデル化するか、チェック、チェック〜」

オタは、スマホをぽちぽちして、ネットで情報を探す。

「いいや、オタ。放送されて、すぐには、プラモデル化されないと思うぞ」

「え〜。欲しいのに〜」

スマホを胸ポケットにしまう。

今度は、愛用のリュックサックの横ポケットから、ペットボトルの天然水を取る。

「ここは、水分補給して、待機だね」

葉原の大通りのイスに腰かけて、天然水をごくごく。

「オレは、奥さんの作ってくれた麦茶を飲むぞ」

男樹も、隣に腰かけて、ごくごく。


ゴロゴロゴロゴロ…


突然、葉原の街の空が、くもりになった。

遠くで、不穏な音がする。

「あれ〜?雨予報あったっけ、今日」

すぐ、胸ポケットのスマホを手にする。

お天気アプリを開く。

…いや、開けない。

そもそも、スマホの電源がつかない。

「何故じゃ〜」

オタは、両足をじたばたさせる。


「…あの〜。あなたを師匠とお呼びしたいのですが、良いですか?」


ピンク色のオカッパ髪の、可愛い美少女が、声をかけてきた。

「はあ?何ヤツじゃ?」

「あなたの弟子志願者です」

「…ああ、男樹の娘か〜」

ひじ鉄で、男樹をつつくオタ。

「いいや。オレの娘は、まだ幼稚園児だぞ」

「あ~、そうだっけ」

オタは、「キミ、誰じゃ?」と、聞く。

「私は、ヲタク2号。カミナリでタイムワープしてきた、未来のアニメファンです」

「へ〜。そういう設定の女の娘ね。了解で〜す」

オタは、敬礼してみせた。

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