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派遣、恋に落ちる  作者: 竹子


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第22話 : ambition

神城は、今日はいつも以上に落ち着きがなかった。なぜなら、明日がクリスマス・イブ(12月24日)だからだ。

(いよいよ明日だ。この機会になんとしてでも凛ちゃんを落とさねぇと!)

神城はカウンターを拭きながら、心の中で闘志を燃やす。

「凛ちゃんを絶対にデートに誘ってみせる!」


同じく、凛もまた、どこかそわそわしていた。皿洗いの手を動かしながら、その視線はキッチンの奥で調理をする石田に釘付けだ。

「石田くんを絶対にデートに誘ってみせる」

二人の頭の中は、「クリスマスデートに誘う」ことでいっぱいだった。


だが、一歩踏み出す前には、いつものように不安が頭をよぎる。

神城は、皿が割れないように、慎重に力を込める。

(けど、凛ちゃん、彼氏いる可能性もあるよなー。前に「好きな人がいる」とか言ってたらしいし、もし明日、彼氏と予定があったら…)


同じ頃、凛もカウンター越しに石田の後ろ姿を見つめていた。

(けど、石田くん、彼女とかいたらどうしよー。大学生って学校内で付き合うとか多いよねー。環奈も『石田くんイケメンだから危ない』って言ってたし…)


どちらも、相手に恋人がいる可能性を恐れ、直接誘う勇気が持てずにいた。


そんな時、神城の頭の中に、神がかった閃きが走った。

「そうだ!クリスマスパーティーを開けばいいんだ!」

(凛ちゃんに彼氏がいれば、「その日は来れない」って言うはずだしな!もし来れたら、彼氏がいないか、いても遠慮する程度の仲ってことだ!)


同じく、凛の頭の中にも、全く同じ妙案が舞い降りた。

「そうだ!クリスマスパーティーを開いちゃえばいいんだ!」

(石田くんに彼女がいたら、「その日は来れない」って言うはずだしね!もし来れたら、彼女がいないか、いても私たちが優先されるってことだ!)


二人は、自分の素晴らしい発想に、興奮を抑えきれずに顔を上げる。

そこに、店長が、貼り紙を持ってやってきた。

店長は静かに口を開く。

店長「みんなに業務連絡だ。クリスマスの日は、今年は特に忙しかったから、店はおやす……」

「「ならクリスマスパーティーをやりましょう!!」」

店長の最後の言葉が言い終わるよりも早く、凛と神城は、同じセリフを、同じタイミングで、しかも最高のガッツポーズをシンクロさせながら叫んでいた。

2人は「ん?」と間の抜けた声を出し、お互いの目を見合わせた。

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