四話 検証と挑戦とイレギュラー
———そうは言ってもまず、君は自分の能力についてもっと知るべきだ。今の君では到底デッドエンドに行くのは無理だし、ボスを倒すことも一苦労だろう。だから当面の目標は、仲間を増やすこと、そして、君の能力をもっと引き出すことだ。
確かに、レティアの言う通り、僕の能力は未だに不可解な点が多い。特に、生命に対して封印は適用可能なのかどうかという点だ。対照的に能力のわかっていることは、
・封印状態の時は自分のステータスに永久的なデバフがかかる
・封印は生命以外なら武器でも付与することができる
・封印解放をすることでステータスのデバフは解除される
大きく分けてこの三つだ。
この中でも封印解放ができることが分かったため、今までは後方支援しかできなかった僕が自分自身でモンスターと戦うことが可能になった。これ以上は実験をしてみるしかない。
僕、いや僕たちは、ダンジョン中層まで戻ってきていた。
「下層よりもモンスターが弱いし、実験にはもってこいかな」
———そうだね。今の君なら大丈夫だ。色々試してみなよ
ちなみに、レティアは一度パスが繋がれば繋げ続けることができたらしく、下層じゃなくても話すことが可能になった。
少し歩いていると、ゴブリン四匹が襲ってきた。僕は疑問に思っていたことを試してみた。
「能力 封印!」
ゴブリンに向けて能力を使ってみた。しかし、ゴブリンが止まる気配はなく、そのまま襲ってきた。
「! ‥‥やっぱり全然止まらない!!」
仕方なく、そのまま刀を抜いてゴブリンを切った。清々しいほど綺麗に切れる。残りのゴブリンたちにも能力を使ってみたが結果は変わらず、誰にも能力は効かなかった。
「やっぱり、封印は生命には効かないのか?」
———‥‥やはり、そのようだね。まぁ、生命に使えていたら君が死にかけることは無かったけどね
レティアのデリカシーの欠けらもない言葉をスルーしつつ、刀を鞘に収めた。
———能力の検証はひとまず置いておいて、当面の目標を決めよう。最終的なものは私の封印を解くことだが、君には、いろんなことがまだまだ必要だ。まず、仲間。これは言わずもがなだが、君には少なくとも2人以上の味方が必要だ。そして装備と経験だ。だから一度ダンジョンを出て仲間を増やすことを提案するよ
「うーん、仲間を増やすのには賛成なんですけど、多分僕は外では死んだことになってると思うんですよね。だからあまり外には出れないと思うんですよ。」
そう、問題はそこなのだ。今頃外では蒼丸達が、僕は事故で死んだとでも言っていることであろう。だから、今外に出ると騒ぎになる。今ここで騒ぎになって、目立つのは避けたかった。
———それならば、モンスターから装備を奪えば良いじゃないか。確か、オーガが御面を装備していたはずだ。あれなら顔を隠せるしちょうど良いじゃないか
「オーガですか‥‥」
オーガは別名 鬼人と呼ばれるモンスターで、筋骨隆々とした体赤い皮膚を持ち、体長もニメートル近くあり、中層の中でもトップレベルの実力を持っていた。
———君の実力ならば、大丈夫だろう。それに、その程度すら倒せなければ、私の封印を解くなんて夢のまた夢だぞ?
「それなら、頑張ってみます」
———謙虚なのは良いことだ。だが、君の場合は自分にもっと自信を持った方がいい。他人に舐められないようにするためにもね。
「はぁ、、まぁ頑張ります」
———全く、、君というものは‥‥。‥‥まぁ良い、とりあえずオーガに挑戦しよう
中層を歩くこと既に三時間、僕たちは全くオーガを見つけることができないでいた。
「やっぱり、物欲センサーっていうのはあるものなんですね‥‥」
———ここまでオーガと遭遇しないとなると、もはや意図的なものすら感じるな
そんな会話をしていると右側から兎のモンスターが飛び出してきた。しかし、僕たちをスルーしていった。まるで、何かから逃げ出しているかのようだった。
———何か来るぞ!!!! 気を引き締めろ!
「はい!!」
そう言って刀に封印を施して、刀を構えた。
「グオオオオオオオォッッッツ!!!!!!!」
そう叫びながら、茂みの中から出てきたのは真っ黒に染まった皮膚で、異様なオーラを纏ったオーガであった。
変異種
モンスターの中にまれに起こる現象。今までに何件も確認されているが、何故変異種が発生するのかはわかっていない。本来のモンスターよりも数倍高い能力を有しており、ゴブリンであったらオーガレベルまで能力の上昇が確認されている。基本的に突然種の力はそのモンスターがいる階層の一つ下の階層のモンスターと同じくらいの力となる。




