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三話 最下層と過去と笑み



———君は()()()()()()()というものを聞いたことがあるかな?

「え?ああ、はい。知ってます。ダンジョンのボス部屋の先にもう一つのダンジョンがあるものですよね。でもそれって確か、世界に片手で数えるほどしか無いはずですよね」


———‥‥まぁ、今はその認識で大丈夫だ。そう、二重ダンジョンは世界でも数件しか発見されていない。しかし、見つかっていないだけで他にもあるんだ。例えばここのダンジョンもそうだ。ここには下層よりももっと下、()()()()()()と呼ばれる階層がある。そこがこのダンジョンの本当の姿だ。


そんなことは、いや、このダンジョンは既にボスは倒されているのに、ダンジョンが崩壊しないのもそれならば全て納得がいく。


「でもなんでレティアさん‥‥? が知っているんですか?」


———レティアでいい。何、簡単なことだ。私の本体はデッドエンドにいるからだ。


「ヘ? でもレティアは死んだとも教わったのですが」


———いや、いると言うと少し言葉足らずだった。正確には、封印されているんだ。私の封印を解くには封印の能力である君の力が必要なんだ。


「!! 何かやばいって事だけは分かりました。‥‥でも、何でそんなところにレティアは封印されているんですか? というか、何故、封印のことをあなたはそんなに知っているんですか?」


———少し長くなるが、昔話をしようか。


私は、このダンジョンに仲間と調査のために来ていた。

普通のダンジョンならば、ボスを倒せばすぐに、ダンジョンは消失する。ここは消失しなかったために調査の依頼が来ていた。

私たちは順調にボスを倒し、地上へと戻ろうとした。その時、ボス部屋の崩落が起きてしまった。薄々、気づいてはいたが、このダンジョンが二重ダンジョンである事を悟った。

そして、デッドエンドに落ちた私達をモンスターが襲ってきた。そのモンスターは今までに見たこともない化け物で、私達ですらまったく歯が立たなかった。

何とかその場からは逃げることができたが、私を含め全員が既に瀕死の状態だった。その時、一人が私に提案をしてきた。


「‥‥死なない方法はある。なぁ、レティア。お前は長い年月の間誰にも見つからなくても一人で耐えることができるか?」


息を切らしながら、髭の生えた男がレティアに向かってそう言った。

腹を押さえ、その場所からは血が滲んでいた。顔に浮かんだ脂汗からも、その男が致命傷に近い傷を負っている事は明白だった。


「お前は、何を‥‥言ってるんだ? 一人ってどういう意味だ?」


「そのままの意味だ。孤独に耐えられるかっていう事」


「そうじゃ無い! そんな言い方はまるで、まるで‥‥、今から自分が死ぬとでも言おうとしているじゃないか!」


「‥‥‥‥」


男はその言葉に何も応えず、苦痛を無理やり抑え込んで、ただ笑った。


「お前も死なない方法があるんだろう!?笑っていない答えろ!!」


レティアは怒ったかのように男にそう叫んだ。隠れていると言うことを忘れるほど、レティアは焦っていた。


「‥‥そこまで元気なら大丈夫だな。‥‥キツイことをお前に強いてしまってすまないな。‥‥じゃあな!」


聞く耳を持っていなかった。一方的に、男は話し続けた。男はレティアを説得するのが難しいことを知っていた。だからこそ、レティアに有無を言わさなかった。


「能力 ()()!!」


「頼むから待っ———!」


涙目で、レティアは男へと腕を伸ばした。けれど、その腕は二度と届く事は無かった。



そこで私の意識は途絶えた。そして、私の身体は大きな水晶のものの中に入っていて、モンスターが手出しできない状態になっていた。

けれど、外から影響を受けないという事は中からも何も出来ない。私はそこから動くこともできず、ずっと誰かが来てくれることを待っていた。そしてそのまま、長い時間が過ぎた。そんな時、私の意識を共有することができる存在がいた。それが君だったというわけだ。


「ちょっと待ってください!!レティアの弟子が僕と同じ能力を持っていた!?それに生命に対して封印を使った?本当に何なんだ!!そして何故僕にだけ意識の共有ができたんですか?!!」


———最後の疑問だけは推測だが、封印を施されている私と封印の能力である君との間にパスが繋がれているのだと思う。しかし、今まで、繋がらなかったことを考えると、下層でデッドエンドに近づいたためにパスがやっと繋がったんだと思う。


「‥‥僕の封印は、一体何なんだ‥‥?」


———‥‥‥すまないがそこまではわからない。ただ、彼が昔、封印について喋ってくれた。だから少しだけではあるが封印についても知っていただけなんだ。


僕はこの能力に少し恐怖を覚えた。同時に、僕の能力の力をもっと知りたいとも思った。不可解なことはたくさんあるが、ただレティアを救うことは僕にとって何か重要なことであると()()()に感じた。そして、もう既に戻れないところまで来てしまっているような気がした。


「わかりました。僕なんかがそんなところまで行けるかどうかはわかりませんが、協力します」


———そうか!それはありがたい、私もできる限りのことはサポートをしよう。


「はい!」


———そう言えば、まだ君の名前を聞いていなかったな


「ああ、 僕の名前は刻藤 歩です。レティアも僕を歩って呼んでください」


———そうか、歩か。 良い名だな


「ありがとうございます。ちょっとむず痒いですけど」


()は、今でも思う。この時この提案に乗らなかったら人並みの人生を歩めていたのだろうかと。不安じゃなかったと言ったら嘘になる。けれど、ここで逃げたら()は二度と前に進めなくなってしまうと思った。だから、危ないことは分かってる。だけど、この提案に乗ってみるのも悪くないと思ってしまった。







同時刻,

‥‥ダンジョン最下層・デッドエンド

想像すらもできないような強さであろうモンスターがひしめきあう中、その水晶はそこにあった。

中に封印されている美女の口角が僅かに上がったように見えた。




ダンジョンのランク

ダンジョンにはランクが存在し、そのダンジョンの難易度や危険度によって定められている。下から、(ホワイト)(ブルー)(グリーン)(レッド)(シルバー)(ゴールド)(ブラック)難易度不明(アンノウン)の8種類がある。歩達のいるダンジョンは緑と赤の間くらいのダンジョンである。

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