十九話 黒との邂逅
———新宿
僕達はヘファイストスへ行った後、電車を使って新宿に来ていた。それも、レナが連絡してくれた僕の修行をしてくれる人に会うためだった。新宿は駅ですら人が多く、沢山の人たちが慌ただしく動いていた。それは駅を出ても変わらず、外でなお、大勢の人が動き回っていた。
——やっぱり新宿はすごいな。府中に慣れていたから、ここまで人が多いと少しびっくりするな
(「まぁそうですよね。僕もそれは同感です)
「やっぱ新宿は人が多いね。まだ朝の九時半だってのに」
「そうだね〜。でもここに住んでるうちに私は慣れたけど」
レナは新宿に住んでいた。さっき、レナから聞かされたが、レナは一人で住んでいる家があると言う。しかも、マンションやアパートとかではなく、一軒家だと言う。こういう事を聞かされると、冒険者が儲かるという事を再認識させられる。冒険者の年収は、金級にもなると、余裕で五千万を超える。冒険者はランクが高ければ高いほどお金持ちが多いのだ。ちなみに、ダンジョンが現れてから、日本には財閥が復活しており、今現在四つの財閥が存在している。
「それで、レナ。さっきから、僕の修行をつけてくれる人のことを全然教えてくれないけど、どんな人なの?」
「まぁまぁ、それは会ってからのお楽しみって事で! でも、一つだけ言うとすっごく強いよ〜」
「それはレナよりも?」
「さぁ? どうだろうね〜。とにかく、その人がいる所に向かおっか」
そう言ってレナは僕の質問を適当にはぐらかした。僕は、どんな人なのかと色々考えていたが全く予想がつかなかった。レナの事だから、ガチムチの筋肉を持った人とか、どこぞの世紀末みたいな人とかを思い浮かべたけれど、結局よく分からなかった。そんな事を頭の中で考えていると、新宿駅から離れ、高層ビルが立ち並ぶ所に来ていた。新宿にはさっき話した財閥の一つの本社がある。この高層ビル群はほとんどがその財閥によって作られたものであった。レナは、高層ビル群を抜け、その近くにある、どこかこの場所には似つかわしくない道場のような場所の前で立ち止まった。
「さぁ、着いたよ!! ここがゼロ君の修行をしてくれる人がいる場所だよ!」
「本当に、こんな所にいるんですか?」
その建物は木造で、大きさはかなり小さく、加えて道場自体はだいぶ古びていた。見た目だけで言えば、もっと田舎で個人が趣味でやっているような見た目をしていた。
「確かに見た目は古びてるけど、中は凄いんだよ! ほら、とりあえず中に入ろう!」
レナにそう言われて、僕達は一緒にその道場の中へ入った。農場の中は 、一つのエレベーターと、その近くに、おばあさんが座っているだけだった。座っていたおばあさんレナに話しかけた。
「おや、レナじゃないか! 今日はどんな用で来たんだい?」
「今日は私じゃなくて、私のパートナーの用事で来たんだよ」
そう言ってレナは僕は振り返った。おばあさんも僕の方は視線をやってきたので、僕はペコリとお辞儀をした。
「こりゃ驚いた。あのレナが仲間と一緒に来るとはね」
「じゃあエレベーター使わせてもらうね?」
「はいよ。いってらっしゃい。そこの君もね」
「あっ、はい」
おばあさんにもう一度軽くお辞儀をして、僕達はエレベーターに乗った。エレベーターに乗ると、レナが僕に言ってきた。
「驚いた? これで地下へ行くんだよ〜」
「地下?」
「そう。ここは地下があるんだよ。むしろ地下が本当の場所だね」
そう言うと、レナがエレベーターの地下三階のボタンを押した。ボタンを押すと、エレベーターの扉が閉じ、下へ降りていく。しばらくして、チーンという音と共に扉が開いた。扉の向こう側は、まるで旅館のような場所であった。入り口と思われる場所は自動ドアであった。全体的に、和で統一されており、中々に風情が感じられる場所だった。
「すごいね、ここ」
「でしょでしょ〜。なんてったってここはとある財閥が作った場所だからね〜」
そして、僕達は自動ドアの向こう側へと行った。自動ドアが開くと、手前に受付のような場所と、ゲートがあり、奥は個室のような場所が何個も連なってあった。個室と言っても漫画喫茶などのようなものではなく、学校の一クラスくらいの大きさの個室だった。僕達が、受付に行くとレナが受付の人に言った。
「111号室は空いてる?」
レナがそう言うと、受付の人は少し驚いたような表情をしたが、すぐに元の表情に戻った。
「! 貴女のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「始動 レナ」
「始動 レナ様ですね。それとこちらの方は?」
「こっちは、私の仲間で、パーティーメンバーの無明 ゼロ 」
「了解いたしました。始動 レナ様、無明 ゼロ様、どうぞこちらへ」
そう言われ、僕達は受付の近くにあるゲートに案内された。
「それでは、行ってらっしゃいませ」
受付の人が頭を下げて、僕達の見送りをした。僕達はゲートをくぐって、さっき奥に見えた個室がある場所へとやって来た。
「じゃあゼロ君、111号室へ行こっか」
そう言われて、ゲートの隣にあったエレベーターを使って、地下一階まで上がった。地下一階では、先ほどまでとは違い、個室は一つしかなかった。加えて、大きさは先ほどまでの個室とは比べ物にならないほどの大きさだった。
「着いたよ〜。この部屋にあの人はいるよ」
「‥‥」
この部屋を前にして、僕は激しい緊張に襲われていた。そんな僕を見て、レナが僕に声をかけて来た。
「もしかしてゼロ君緊張してる? そんなに緊張しなくて大丈夫だよ。いつも通りでいいんだよいつも通りで」
「わ、わかってるよ」
そんな僕の姿を見て、レナは少し微笑んでいた。
「じゃあ開けるよ」
そして、レナが先ほど受付だ渡された鍵をこの部屋のドアに差した。ガチャリと言う音と共に鍵が開くと、レナはドアを開けた。中に入ると、中は白一色の殺風景で、広さは外見通りのとても広い場所だった。そして、そんな殺風景な場所に一人、誰かが佇んでいた。
「やっと来たか。遅いぞ、レナ」
「でもまだ十時だよ? 早い方でしょ」
「まぁいい。して、そっちがお前の言っていた無明 ゼロという奴か?」
「そうだよ〜。ほら、ゼロ君、あの人が君の修行をつけてくれる人だよ」
その人は、和服を着ていて体格は大きく、180センチくらいある男の人で腰には二本の刀が差さっていた。しかし、全体的に体の線細く、初めてレナと会った時のような威圧的なオーラも無かった。だから、ぱっと見の第一印象としてはそこまで強そうな印象では無かった。
「無明 ゼロです。よろしくお願いします」
そう言って、僕が頭を下げると、その男の人が僕に声をかけて来た。
「挨拶がちゃんとできるのは感心だな。自己紹介の前にとりあえず、刀を抜け。まずはお前の力がどれくらいかを確かめる」
そう言って、その人は、刀を一本だけ抜いて、構えた。すると、レナがうんざりしたような顔をして、僕に耳元で囁いて来た。
「うわー、やっぱいきなり勝負するかぁ。ゼロ君、あの人がなんも言わないから言うけど、あの人は正真正銘黒級の冒険者だよ。殺すつもりでいかないととんでもない目に合うからね。気をつけて」
「!!!!!! まじか」
そう、今僕の目の前にいるこの人は、今三人しかいない黒級の冒険者の一人であった。そして、目の前の人が少し、口角を上げて言った。
「さぁ、かかって来い!」
更新遅れてすみません。次回は今週中には更新するつもりです
第二章開幕です!! 第一章は少し長めのプロローグのようなものと考えていただければ幸いです。やっと、黒級の新キャラ出せました。コイツは最初からずっと出したかったキャラなので嬉しいです。次回で色々するんでご期待下さい!
感想やコメントなどお待ちしてますのでよろしくお願いします!




