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十話 嘘と真実と嘘

「さあ、話してもらおうか。 何があったのかを」


そう言ってレナさんが僕へ詰め寄ってくる。僕は、動揺を隠しながら、必死にどう答えるのが正解なのかを考える。当たり障りのないことを言うべきか、それとも、真実を言うべきか。そして、僕が出した結論は、


「どうも何も、アレは僕が、能力で倒しましたよ。かなり苦戦はしましたけどね」


真実と嘘を混ぜて話すことだった。バレにくい嘘は真実に嘘を挟み込むことだ。真実の部分を強調することで、嘘の部分も自然なものにする。そして僕が冒険者である限り、アドバンテージを持っていた。この時、重要なのは、嘘をついているように見せかけないことだ。だから、出来るだけ自信満々に、そして堂々と僕は言葉を紡いでいった。


「まず、僕がアレと遭遇したのは中層でした。他の冒険者は居らず、僕一人でした」


「逃げようとは思わなかったのか?」


「思いましたよ。でも、放置したら、多くの犠牲者が出ると思ったため、討伐を決心しました」


「じゃあ、変異種は、どんな個体だった?」


「アレは、戦いの最中に、成長を行なっていました。攻撃が(かわ)されたら、修正を行うなどと言うことです。間違いなく、知性がありました。加えて、再生の能力も持っていました。片腕を切り落としても、また生えてくるレベルです」


「なら、どうやって君は変異種を倒したのかな?」


「首を切り落としました。それをしたら、流石に動かなくなったので」


「じゃあ、君の能力を教えてくれる?」


「それは、出来ません。金級のあなたなら、当然知っていると思いますが、『ダンジョン組合に登録をしている人は、パーティーメンバー以外の他人に能力の開示を行わなくて良い』って言う規則がありますよね?」


僕の持っているアドバンテージとはこのことだった。この規則は、冒険者一人一人を守るために、ダンジョン組合が作られた時に同時に作られたものだ。ダンジョン攻略は能力の強さによって、成り立っていると言っても過言ではない。だから、自分の能力を他人に言うと、弱点やそもそもの能力の欠陥が不必要に他人にバレる可能性がある。そのため、強制的な、能力の開示を禁止したのだ。しかし、一部の冒険者は自分の能力を開示している。例えば蒼丸達は、その能力の強さ故に、自らで開示を行なっている。


「その規則を使うかぁ。君なかなかいい性格してるね。まぁ、いいや。じゃあ質問を変えるね。白級の冒険者が何故、あのダンジョンにいたのかな?」


「!!!!」


完全に失念していた。今、僕は白級の冒険者だ。そもそも、白級の冒険者で、ソロというのは基本あり得ない。 能力が強力であっても、ダンジョンをソロで挑めるのは、ランクで言えば、赤以上だ。それぐらいの力がなければ知識や経験というものが足りていないため、不可能なのだ。僕がダンジョンを出てから、ダンジョン組合へ行ったことが仇となった。それ以前に、レナさんがこの情報を知っていた時点で、僕が何を言おうとも、信憑性(しんぴょうせい)が無かったのだ。


「それは‥‥」


僕が口籠(くちご)もって、質問に答えられないでいると、レナさんがさらに畳み掛けるように言ってきた。


「そして、君の名前だけど、無明 ゼロっていうんだね。私は君について少し調べたんだ。そしたらさぁ、無明 ゼロっていう名前の戸籍は存在しなかったんだ。これについても説明してくれるかな?」


「ッッ!!!!」


僕の一番バレてはいけないことまでも既に知られていた。僕は、自分の考えが甘すぎたことを悔やんだ。まさか、そこまで知られていると一ミリとして考慮しなかったことを。


——どうする?歩。 ここまでバレているんなら、ここから何を言っても意味がない!


レティアの言う通りだった。もう既に事態は手遅れであった。ここからどんな弁解をしようともそれは意味を持たなくなっていた。ここから逃げ出せれば、この状況を脱せると思ったが、そもそも、レナさんから逃げる事は不可能だと認めたくなくても認めてしまっていた。もう、僕が取れる選択は、真実を言うという一つしか無くなってしまっていた。いや、真実を言ったとしても、信じてもらえるかどうかも怪しくなってきていた。


「ほら、早く答えて?」


レナさんは、顔こそ笑っているが、さっきよりもプレッシャーを強めて言ってきた。僕は、溜息(ためいき)を一つついて、覚悟をして、言った。


「そこまで知っているのに、質問をしてくるなんて性格悪いですね」


「冒険者なんてこんなもんさ。それで、真実を言ってくれる気になった?」


「覚悟は出来ました」


「じゃあ話してもらおうか」


「いえ、僕がした覚悟は、ここから逃げるために、貴方と戦うっていう事です!!」


僕はレナさんから目を逸らさずに、はっきりと言った。レナさんは、僕が言ったことに、驚いた顔をして、すぐに、真剣な顔へ変わった。


「へぇー、私を倒すんだ。もう、さっき私に手も足も出せなかったことを忘れたのかな?」


そう言うと、今までとは比べ物にならないほどのプレッシャーをかけてきたそれでも、僕は恐れずに言った。


「忘れてませんよ。それでも、貴女に歯向かうことが僕に今出来る最善ですから」


「そっか。じゃあ戦おうか」


レナさんは鋭い目つきで僕へとそう言ってきたのだった。

謝罪


この前、後書きで、この小説の一話の文字数について言いましたが、全然守れてないです。すみません。あんなこと言ったけど、守れる気がしない‥‥。多分これからもバラついてしまうと思いますが、近いうちに、大体は統一するのでご了承ください。


次回、レナとの決着が着きます。

次回は明日中に更新いたします。多分‥‥。

感想やコメントなどお待ちしておりますので是非よろしくお願いします!


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