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15-必ずしも超越者が聖人君子とは限らないどころか、無法者の誹りを受ける事もあるのでしょう。結局は利害で推し量るが世の理なのかも知れません(跳梁跋扈)

 どうにか試練を乗り越え、お茶の時間がやって来ました。

 流石に今度は、居間の方に上げて貰い、ちゃぶ台前の座布団に座ってるわけですが、何だろうかまだ朝のはずなのに凄く疲れたんですが。

 もう帰ってふて寝したい気分・・・ぁ、そっか今後はここが僕のマイホームになるんだよね。。。

 ふと気づいた辛い現実から逃げ出すように、脱走したら従魔じゅうま契約ってどうなるんだろうと、何と無く無理だろうなって思いつつも、考えられずに居られないとばかりに思い耽る中、ちゃぶ台を挟んだ真向いから声がかかりました。


「・・・ちなみにだけど、従魔契約した魔物が一定の距離を離れたら、その魔物の主人が任意に、強制的に、呼び出す事が出来るからね」


 ビクッ!?そ、そうだった、リーファは読心術の使い手でした!?

 た、多分だけど、全部が全部思ってる事は分からないと思う(思いたい)けど、これは下手な事を思い浮かべれないぞ・・・ッ、どうにか対策出来ないだろうか?

 ハッ!ここは定番の違う事を思い浮かべながら、思考すると言う高難易度テクニックを披露する場面では!?

 ・・・リーファはかわいい、リーファはぷ、ぷりてぃ、リーファはれれレディ、リーファは性格ガぃE・・・だ、ダメだ。これ以上リーファを褒めようとしたら、拒否反応が凄くて、僕の精神衛生上多大なる負荷がかかるみたいだから、この案は破棄したいと思います。

 それよりもやっぱり脱走も無理か・・・まぁそうだよね。正直何と無く分かってた。あれでしょ?某RPG鉄板ネタの、


『幼女様からは逃げられない!?』


 魔王が初期パーティに居るのはどういう事でしょうか?体力ゲージは減りませんが、SAN値がゴリゴリ削られるんですが・・・終盤で僕が名付し難い何かになる未来しか見えませぬ。

 もう僕の未来は幼女様の采配次第なんやと絶望に浸って、ちゃぶ台に顔を突っ伏して居ると、目の前にパンケーキぽぃのが置かれました。


「これ、お口直しにどうぞ。先程はごめんなさいねぇ。リーファもそこまで悪気があった訳じゃ無いと思うの・・・」


 フンとバツが悪そうに顔をそむけるリーファ・・・本当に悪気が無かったのかは少しと言うかかなり疑問だけど、まぁでも次からはちゃんと一緒に食事を出してくれるみたいだし、今回の事は不問にしても良いかな。寛大な僕に感謝してよね!


「ありがとうございます、メルさん。それではいただきますね」


 ちょっと行儀が悪いかもだけど、フォークとかは持てないから直接手で鷲掴みにして食べてみた。

 んー柑橘系の甘みが口いっぱいに広がって凄く美味しい♪やっぱりメルさんは料理上手だね!


「凄く美味しいです!もぐもぐ・・・」


「あらあら、お上手ねぇ。少し飲みにくいかもだけど、湯呑にお茶を入れたから、此方も良かったら飲んでみて」


「何から何までありがとうございます」


「ふふっ。本当にお行儀が良いのねぇ。でもあまり畏まらないでねぇ?これからは家族の一員ですものぉ」



 ううっ、メルさんの優しさが骨身に沁みまする。しかも家族の一員だなんて、そんな事言われたら嬉しくて泣いちゃうよ!

 見てリーファ!これが本物のレディだよ!!ちゃんと見て学ぶんだよ!?とメルさんの気遣いに感動しつつ、リーファの様子を見てみると、


「・・・私があとで言おうとしてたのに・・・ぶぅー」


 何か言ったみたいですが、独り言だったみたいで聞き取れませんでした。それに何故かぶうたれてるしで、よく分からん幼女様です。


「ごくごくっ・・・ふーっ、ご馳走様でした。それで、神様の話って何かな?」


 一息ついて、なかなかリーファから話を切り出そうとしないので、僕から聞いてみる事に。


「・・・どうしてこうなったのかしら?まぁでもドライな関係も稼ぎ頭として育てるには必要なのかも?でもこのままだと・・・」


「あのーリーファ?どうしたの?神様の話しないの??」


 何やら上の空なのかぶつくさ言ってるのですが・・・しかも稼ぎ頭とか育てるとか不穏なワードが出てきてるんだけど、これ絶対止めた方が良いよね!?


「り、リーファさん?ほ、ほら神様の話しよう!僕知りたいなぁ~この世界の神様の事!!」


 どうにかこの幼女様の謀略を阻むためにも、思索の道筋を崩さなければいけません!!ノット従魔じゅうま虐待!?


「ん?そ、そうね。確かに色々と考える前に神の説明を先にしないとね。メル、もし私が間違った事言ってたら、訂正お願いできるかしら?」


「はい任されました。まぁでもリーファなら大丈夫だと思うわよぉ」


「ありがとう、メル・・・それじゃ説明するからちゃんと聞くのよ?」


 と講師の様に指を立てて、順序良く説明するリーファ先生(笑)によると下記の内容になるみたい。


 一つ、この世界には色んな神様が結構居て、割と頻繁に下界に降りてくる・・・ってか普通に町とかに住んでるらしい。ちなみにだけど、下界とか言ってるけど、別に天上に座してるとかじゃなくて、神々が個々で作ってるらしい異空間に引き籠ってるのが普通らしい・・・ポチたんもきっとその部類に入るのかもね。


 二つ、本当に色んな神様が居て、流石に世界をおびやかす事を仕出かす存在は、他の神々が許さないから今は居ないらしいけど、ただし、違った意味で世界を脅かすと言うかはた迷惑な神様は、結構居るらしい。

 リーファ曰く「代表的なのが、神『ギルシュッメア』ね。この神は黄金が好きで、一昔前からこの世界の通貨を管理してるのよ。その神の眷属で『リストバンク』ってのが居るんだけど、お店でメルにおこらr・・ゴホン。お店でメルが人形みたいなのを持ってきてたでしょ?アレが『リストバンク』って言うんだけど、基本この世界の通貨はその眷属に預ける事になってるの。少額は革袋とか財布で持てるんだけど、大きい額を所持しているとね・・・来るのよ、その神が・・・


『そこのアナタ!その持ってる大金は何?もしかして後ろめたいお金じゃ無くて?ぇえきっとそうでしょうね!私の眷属に預けるのでしたら見逃しても良いのですけど?あら?そう預けないの・・・分かったわ。じゃ不正所有の現行犯で財産没収とします!ぇっ何?先祖代々から引き継いだ財産ですって?それを証明する何か証拠があるの?無いわね?まぁあっても無いわね??じゃイタダキマス!!』


 ・・・ってな具合で、神ギルシュッメアがこの世界の通貨を管理し始めた頃、貴族を始めとした富裕層とで一悶着があったみたいよ。それで没落した貴族も多く居ると聞くわ・・・」


 Σ(ナニソレ酷ッ!?


 それ以外の神々もなかなかの曲者揃いで、やれ食事が不味いだのと言って、その国の料理事情を根本的に変えて、料理人の聖地と言わしめるほどにその国を繁栄に導いたり、その逆に独裁国家の在り方が面白くないとか言って、一度その国を滅ぼしたかと思ったら、稀に見るリゾート都市国家になって、その前より生活が豊かになり、元首脳部の面々はホクホク顔だったらしい・・・って生きてるんかい!

 あれ?でも待って。結局はどこも繁栄したりして結果オーライじゃない?そう思って聞いたら、結果はそうだけど、それまでに至る過程がそりゃもう筆舌に尽くしがたいほど、酷い有様だったらしい・・・場合によっては本当に滅んだ国もあったみたい。ぇーそれもう完全に神様ってか魔王様じゃなイカ?


 そして最後に、この世界で共通の認識と言うか暗黙の了解があるらしい。


 『触らぬ神に祟りなし』


 ・・・この世界では本当にその格言通り、一度神様に目を付けられたら、スッポン先輩も呆れるほど憑いて離れず、その神様が飽きるまで、その人、国、物、文化、文明を引っ掻き回すらしい・・・この世界の神様・・ってかもう敬称要らないよね?


 神が俗物過ぎてツライ!?


 さっきからリーファが神の話をする時、全然その神々を敬ってる様には見えなくて、この世界の神々がだいぶ変人って言うか変神揃いなのは分かった・・・あれ?そう言えばポチたんも神だから・・・ないないポチたんは良妻賢母の嫁ポジだから何の問題も無いにゃ!


「まぁこんなところかしら・・・どうメル、間違って無い?」


「んーそうねぇ。大体はそんな感じじゃない?ぁ、あと他に付け足すとしたら、もし神たちに目を付けられたら、取り合えずは目立った反抗はすべきじゃないわねぇ?下手に反抗すると更に面白がっちゃって、神本人もどうしょうも無い、予想外な事態に陥らないとも限らないわぁ」


 ぇっ、神本人さえもどうしようも無い予想外な事って何?!自分がする事は責任を持って行動しようよ!?

 思ってた以上にこの世界の神は、はた迷惑な存在らしい・・・神ってなんでしたっけ?もう新しい種族的な感覚な気がしてきました。

 ってな事を呟いてたら、


「ん?新しい種族・・・確かにそれも間違って無いかもね。どっちかと言うと、各種族の上位存在って感じだけどね」


「ぇ?それってどういう事??」


「言葉通りよ?んーそうねぇ私達『ヒューマン』を始めとして、他種族代表格の『エルフ』とか『ドワーフ』とか、それに元神の使いとか言われてる翼のある者達の『エンジェル』、獣の姿に近い人達を総じて言う獣人族の『アニマルン』、他にも色々と居るらしいんだけど、とにかくそう言った種族が、位階値を上げて神に至る事が多いのよ。もちろん元々から神だった方々も居るけど、旧神の多くは一昔前の世界大戦で存在を維持できなくなって滅んだり、この世界から離れたりして、少ないらしいんだけどね」


 ・・・まぁ私が生まれる前の事らしいから詳しくは知らないわと、リーファの弁でありました。

 な、なるほど・・・ってかエルフ居るの!?

 あの種族総じて美形種のエルフ・・・お耳ピコピコしてたら甘噛みしても良い関係まで親密にならねば!この身だったらもしかしたら、メルさんの時みたいな感じで自然に出来るかも知れないし・・・ぐふふっ。


「・・・アンタね、なんで今の話で邪な事を考えられるわけ?なんだか真面目に説明してるのが馬鹿らしくなるから止めてくれない?」


 ビクッ!?もうヤメテよね!心読むのぉ!!少しぐらい心休まる一時ひとときを下さい!?


「うふふふっ。まぁ良いじゃないのリーファ。こんな話をしてるのに怯えるんじゃなくて、他の事も考える事が出来る余裕があるんだからぁ・・・ふふふっ、この子大物かも知れないわねぇ」


「ただ馬鹿なだけだと思うわよ、私は・・・取り合えず!そう言う事だから、元異世界人だとか魔物なのに変態だとかそんな変わりだねのアンタだったら、確実に神に目を付けられるから、気を付けなさいよって話よ!!」


 あの、今さらっと聞き捨てならないワード出ませんでした?誰が変態か!?こんな紳士的な対応が出来る仔竜ベビードラゴンなんて、この世界広しと云えども僕だけだと思うよ?だって魔物が喋るのも珍しいみたいだし、絶対そうに違いないね!ムフン!!


「ハァ~もう良いわホント・・・何だか心配するだけ無駄な気がしてきたし。最悪、神に高く売りつければ良いでしょ」


「ぇっ!?さ、流石にそれは酷いんじゃ無いかしらぁリーファ・・・」


 ビクンッ!?そ、それはあんまりなんじゃ・・・と、眼をうるうると潤ませながら、見捨てないでケロぉと某カエル系宇宙人の特技を発動してみる。


「じょ、冗談よ!・・・だ、だからそんな眼で見るんじゃないわよ!!・・・ッ、止めないなら、『おいたわ・・・」


「スンマセン!それはマジで勘弁してください!!」


 ズシャーと即座に土下座に入る僕の明日はどっちだ・・・・・ッ!!?

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