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14-食べ物を粗末にするのはいけません!絶対です!!一粒のお米には七人の・・・(天罰覿面・・・幼女さんに届くかは分かりません)

 皆さん、おはようございます。

 本日も快晴のようで、窓から射す日差しが心地よく、過ごしやすい一日を送れそうです。

 僕は今、元居た世界から遠く離れた異世界のとある町の、とある魔導具店兼住居にある台所にて、朝食を頂こうとしています。

 ですが、今、僕は元人間の矜持を捨てられるかどうかの瀬戸際の中で、葛藤という人生の岐路で味わうはずの気持ちを何故か朝食前に抱いています。

 何故そのような境地に居るかと言いますと、それはほんの少し前の出来事を振り返らないといけません・・・回想へGO!!



 二階から一階にあるらしい台所に向かう道すがら、幼女様ことリーファに出来るだけ従魔じゅうま調教スキルはヤメテくれまいか?と懇願しても、暖簾のれんに腕押し、馬耳東風ってな具合に、ぷりちなぁ仔竜ベビードラゴンの話を歯牙にも掛けてくれません!こんな可愛らしくよちよちと階段を下りているのに!!(幼女様の厳命で自力で下りています)

 しかもですよ?余りにしつこくしていると、あのワードが聞こえてくるのです・・・これ完全に虐待です、ありがとうございました。

 あぁもう僕は、こんな年端もいかない子に生殺与奪を握られちゃってるんだ・・・あははっ、こんな状況でも「我々の業界ではご褒美です!」とか言う変態紳士も居るんでしょうけどね。。。


 じゃあ代わってよ!さぁ今すぐ代わって!!代わってよぉおおおおおおお!?


 と暴君如しな幼女様の代わりに、脳内仮想空間で変態紳士達を責め立てていると、何処からともなく美味しそうな、そして懐かしくも日頃から嗅いでた・・・あれ?ここ異世界だよね?なんであの匂いがするの?と疑問符を浮かべながら、台所と思われる場所に到着するとそこには・・・


 古き良き日本の食卓が並んでいました。。。


 突然ですが、本日の献立をご紹介したいと思います。

 まず主食の方を見てみましょう。

 白雪しらゆきの様な真っ白い艶のある表面で、無造作に箸をつけるには、まるで新雪を踏み荒らすような戸惑いを抱かせる中、その身を捧げるかの様に香ばしい匂いを漂わせて、食欲をそそらすその姿は、献身なる純白な乙女の様な輝きが垣間見え・・・ぁ、はいお米こと、日本国民の代表的主食の白米さんでした・・・なして?

 ゴホン。さて気を取り直して、次は主菜を見てみたいと思います。

 残念ながらお魚の方は定番のサンマとは行かなかったみたいです。ですが、そのどこか深海生物を思い浮かばすグロテスクな見た目に反して、香ばしくも食欲を掻き立てる匂いを放ち、少し焦げ付いた焼き色がちょうど良く火を通しているだろうとわかるさまは、その見た目を気にする必要が無い事はお分かり頂けるでしょう。さらに醤油があれば最高なんですが・・・ってあれ?備え付けのように置かれてるあの小瓶はまさか・・・いやいやいや。

 オッホン。・・・では次は副菜と行きましょう。

 湯気を立て、先程から懐かしくも日頃から嗅ぎ慣れている匂いを引き出し、その茶色いスープの中に色とりどりの具材が入っていて・・・ってもうそろそろ食レポめんどぃのでこの辺で!


 ばんかばぁーん♪

 はぃ、正解はお味噌汁でしたぁ~♪♪


 ・・・ってなんでやねん!!

 可笑しいやん、ここ異世界やで?何故に異世界に焼き魚定食があるねん・・・ぁ、よく見たらお漬物もある・・・可笑しいやろ!!

 と思わずエセ関西人が「呼びはったぁ?」と顔を出すぐらいには衝撃を受けたのですがこれ如何に!?

 ぁ、ちなみにですが、何故仔竜(ベビードラゴン)の小さい身で食卓の上が分かるかって言いますと、台所と居間と思われる場所が隣り合ってまして、その問題の居間がですね・・・


 畳敷きでちゃぶ台が標準装備されています・・・。


 思わず、秘技!昔の親父は雷親父!?(訳:ちゃぶ台返し)を発動するとこでしたよ・・・危ない危ない。折角メルさんが用意してくれたのに台無しにするところだった。

 んむぅこれは一体どうしたと言うのか・・・と知らないフリをしたいと思います!

 絶対どっかの元女勇者がやらかしたんだと推測出来るけど、できるけど、知らないもんはしらないもん!!

 いやもしかしたら元々あった文化かも知れないし、それか他の異世界人がもたらしたものかも知れないし、取り合えず僕には一切関係がありませんので追及はしません!これが大人の対応です!!(良い子のみんなはこんな大人になったらダメだよ?)


 さ、さぁ~て気にしないでご飯を食べようかなぁ~流石はメルさんだよね!

 見慣れたものばかりのはずなのに(魚以外)、新鮮な気持ちを味わえるぐらい凄く美味しそうなんだもん♪

 本当にどれも美味しそうでどれから手を付けたら良いか分からないよ!やっぱり日本人のソウルフードMISOスープから行っちゃう?

 とワクワクしながら食卓に向かおうとしたら、暴君幼女ことリーファが、


「ん?駄目じゃないメル!コイツのご飯ちゃんと用意してないじゃないの!!」


 とおっしゃって、台所にある食器棚ぽぃとこに向かわれました・・・。


「あらぁ?でも三人分ちゃんと食事は用意したわよ・・・」


 メルさんの言う通り確かに三人分の同じ内容の食事が並んでますが・・・ぇっ?なに?もしかしてドラゴンが食べちゃダメなやつとかあるの??一応僕、アレルギーとか無いし、好き嫌いも特にないけど、食卓にあるもので問題になりそうなのは・・・ん、お魚以外特に無いかな(結構キツイ見た目だお?)。


「違うわよ!コイツの手先見てよ!その手じゃ箸も使えないじゃない!!ちゃんと食べられるようにしてあげないとダメでしょ?」


「ま、まぁ優しいのねぇリーファ・・・そうねぇ、確かに気付かなかったわぁ・・・ごめんなさいねぇアキクン」


 何と言う事でしょう・・・あの暴君な幼女様が僕に対してこんな配慮をして頂けるとは・・・これ最後の晩餐とかじゃないよね?

 と割と本気でそう思って戦慄していると、やっとデレたらしい(まだ懸念は拭えず)リーファが持ってきたのは・・・


 銀色の眩しい光沢で、お盆よりはひと回り小さいぐらいのタライの様な・・・ってかまんまタライさんを持ってきました。


「はい、じゃアンタはここで食べて。ご飯はそうね・・・ほら私がよそってあげるわ」


 とリーファがそう言うと、タライを居間の前の地面こと台所との境界にあたる段差前に置いたかと思ったら、そのタライの中に今まで美味しそうにお椀やお皿に盛り付けられたご飯たちを不意に・・ドバドバボタボタ・・・とまとめてタライに入れ始めました・・・。


 ・・・・・ゴメン。今何が行われているのかフリーズした僕には分からないんだけど、これ何してるの?分析班が居たら詳細に解析してくれない?僕には難解過ぎて、このアルゴリズムを理解することが出来ないんだ・・・もう少しちゃんと勉強してたら解けたのかな?


「り、リーファ何をしているのぉ!?」


 メルさんの驚愕する声でハッと我に返った僕・・・ホント何してくれちゃってるの!?


「な、何って食べやすいようにしてあげてるのよ?」


 小首を傾げ、どうしてそんな事を声を荒げて聞くのかと不思議そうに聞くリーファ・・・ぇっ?本気で言ってるの??



「た、食べやすいようにって・・・幾らなんでもそれは余りにも酷いんじゃないかしら!?」


「酷い?ぇっ、でも町で魔物ペット飼ってる人を見たけど、みんなこうして食事を上げてたわよ?」


 自身の正当性を外で見聞きした事で語る姿は、どこかその幼さと相俟って、小さい子が時々犯す失敗を見てるようで実に微笑ましく・・・思えません!少なくとも僕には無理!!



「た、確かにそうだけど。この子の場合は、意思疎通も出来るし、元は人間って話だから食事の仕方は分かるんじゃないのぉ?ねぇ、アキクンどう?」


「は、はい。食事の仕方は分かりますし、食卓にある食事も前の世界と似たような感じなので、テーブルマナーも問題無いかと存じ上げます」


 と余りの事に業務連絡の様に語る僕はそろそろ精神的疾患を患いそうです。。。

 そうかこれがパワハラなんですね。その程度でと今まで軽く思ってた事を此処に深くお詫び申し上げたいと思います。



「そ、そうなの?・・・そ、そう言う事は早く言ってよね!まぁでもせっかく私がよそってあげたんだし、このまま食べて頂戴。あとメルが作ったものだし、捨てるなんて勿体ないでしょう?分かったらさっさと食べなさいよ」


 ・・・・まるで感謝しなさいとばかりに語り、あの暴挙をお椀やお皿に盛ったような感覚で居る幼女様の考え方が僕には分かりません。

 子供は時にして残酷な事をその純粋な眼で行うと聞いた事がありますが・・・これがそうですか?僕はそれを受け止めないといけないんですか?これが大人になるって事ですか??


 それなら僕大人になんてなりたくなぃいいいいいいいいい!?


 子供怖い幼女怖いと今までの事とこれからの事を考えて、僕の未来は決して明るく無いと突き付けられた気がして、発狂しそうな心を繋ぎ止める為、幼児退行に向けて走り出そうとしていたら、我が心のオアシスことメルさんが助け船をだしてくれました。


「わ、私の事は気にしなくて良いのよぉ?流石にそれはあんまりじゃないかしら?もう一食ぐらい、少し時間が掛かるけど作り直すわぁ」


 と優しくリーファをそう諭すように言ってくれる、メルさんのその姿は後光が射して見えました。比喩じゃないよ?本当だよ??(殉教者再び)

 分かってはいるけど、抑えられないこの信仰心をどう変換したら良いのか・・・畏れ多いとは思うけど、もういっその事、恋心に変えちゃっても良いんじゃないかと思えて来ました。

 僕の想いが届かなくても、片思いだけで十分だから、この気持ちを大切にしたいと思います。

 そっか、これが恋なんだね・・・と自己陶酔していると、暴君幼女様ことリーファが、そのメルさんに抱く恋心を試すかのように、悪魔の囁きを発しました。


「んーそうねぇ・・・ねぇアンタはどう思う?メルはそう言ってくれてるけど、せっかく、一生懸命に、朝早くから起きて作ってくれた、メルの手料理・・・アンタ捨てたい?」


 誰が一体このざんぱn・・惨事作ったと思ってるの!!

 マジで何なの?!僕に恨みでもあるの!!僕そんなに酷い事した覚えないんだけど!?


「り、リーファ?私、本当に気にしてないわぁ・・・アキクン、リーファがそう言ってるけど気にしないでね?」


「ぇっ・・ぁ、いや・・・僕は別に気にして・・・・」


 と僕が言いよどんでいると、畳みかけるように紅い悪魔が、


「・・・それで、食べるの?食べないの??」




 お久しぶりです。冒頭に戻って参りました。昨今の回想シーンって悪い事ばかりな気がするのは僕だけでしょうか?

 それはさて置きまして。今、僕が置かれている現状が回想を通じて理解出来たかと思いますが・・・皆さんはこの境地をどうされるのでしょうか?

 僕はですね・・・僕は・・・・


「はぃ、食べます・・・食べさせて頂きます!!」


 だって!だってぇえ!!メルさんがせっかく作ってくれた朝食を無下に出来るはずがあろうか!?

 そんな事、今さっきこの恋心に気づいた僕には、無理だよぉおおお!!


「あ、アキクン?無理しなくて良いのよぉ?本当の本当に私、気にしてないからぁ」


「いえ、僕が食べたいだけですので、メルさんこそ気にしないで下さい。大丈夫です。今からこんな事ぐらいで挫けてられません」


 と今から苦難の茨道いばらみちを辿り、走破して見せると意気込むおとこらしい顔を見せて、僕はこの最初の関門にいざ立ち向かうのだった!!




 ぇ?メルさんお手製のご飯のお味の方はどうだったかって?

 そうだねぇ・・・最初こそは色んな風味が殴り合いした中でも、メルさんが作ってくれた事できっと入ってるはずの愛情が隠し味になって、ある意味新感覚の味わいで、食べられなく無いどころか、美味しく頂けてました・・・まぁ結局の所は、ねこまんまですしね。。。

 でもね、でもね・・・此方を心配そうにチラチラと見てくるメルさんが目に入って・・・目に入って・・・少ししたら何処なく塩加減が出てきて、しょっぱいお味になりました。

 ぅぅっ、メルさん心配してくれるのは嬉しいですが、此方を見るのを止めて下さい・・・このままじゃ僕は塩分過多で高血圧になるかも知れませんので(滂沱)

 ついさっき恋心を得たと思ったら、その想い人に哀れな姿を見られることになろうとは・・・ちなみにですが、その哀れな姿の説明ですが。。。



「あ、あのぉーさじが無いのですが?」


「・・・はぁ?あるわけ無いでしょう??口で食べなさいよ、その口で」


「ぁ、はぃ、そうですね・・・ははっ」


「り、リーファったらもう!・・・ぁ、でも確かにその手先で食べられそうな匙は無いわねぇ・・・本当にごめんなさいアキクン!次からはちゃんと用意して置くわ!!」



 説明終わり・・・もうイやぁあああああああアアアアア!!?

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