13-ケンカするほどと言いますが、当事者達は真剣に鍔迫り合いをしているのですよ?(岡目八目)
「っと待ってぇええええええええええ!!?」
ドズンッ!
「あがっぶっ!」
視界が真っ白になって、急に景色が変わったと思ったら、何やら少し高い位置から顔面スタンプしたみたいです。
「ぅぅっ、痛ぃ・・・な、なにが?・・・ここどこ??」
またしても何処かの場所に居るみたいでし・・・最近と言うかこの世界に来てから、こんなばっかだなぁとやれやれ主人公にはなりたくないであります!
んむぅ。取り合えず前回の事を踏まえて、今度はちゃんと周囲を確認するです!成長期ゆえの著しい才能の開花をご覧あれ♪
さてっと・・・ふむふむ・・・質素な部屋が目の前に広がっていました・・・ぇ?それだけかって?・・・・こ、小奇麗かな?
いやだってホントここ何にも無いんだけど。あるとしたら本棚ぽぃ何かと机とベットぐらい?
ぁ、窓際に花瓶があって綺麗な花が活けられ・・・き、気のせいかな?微妙に揺れてるような・・・ん、見なかった事にしょうそうしよう。
未知なるものには触れないのが世界の常識です。分かりますか?世界はそれほど危険に満ちているのです。。。
ん、だから自己主張するのヤメテ!「目を逸らさないで私を見るのぉ!!」と執拗に僕に向かって来るように揺れる花は、綺麗なんでしょうが、何だか凄く怖いです!!
無視だ!無視!!さてっと・・・ぁ、そっか、ベットがあるって事はもしかしたら誰か寝てるかも?もしかしたらリーファかも知れないな。
ふむ、見てみましょうか・・・とベットの端に手を掛け、ひょいっとよじ登った先に居たのは、はたして・・・
幼女様ことリーファその人でした。
・・・・ハァ~。つまらぬ。普通過ぎてつまらぬよ!
チッ、もしかしたら女神様かも?って少し期待した淡いオトコゴコロ返して!さぁ返してよ!!
これだから世の道理を弁えぬお子様は嫌なんだよねぇーと思いながら、リーファの寝顔を眺めてたら、パチリとまだ幼い中にも勝気そうな眼が開き、コチラの顔をジトっと見始めましたよ?
やっと起きたと思ったら此方の顔を不躾に見ちゃってもう!ここは年長者として朝の礼儀から教えてやりますかね?
「おはようリfぁぐっぎゅぼがばはぁがあああああ・・・っずぶぎゅっ!」
ドンガラガッシャーンと懐かしい音を響かせ、僕は本日二度目の床さんと顔面スライディングキスをしました・・・無機物に愛され過ぎてツラタン。
「な、なんでさ!?なんで今、僕殴られたの?!殴られる事したかなぁ~?って絶対してないよね!ねぇ謝って!!今なら昨日の素直さを思い出す謝罪を見たら溜飲下げてやるからさ!」
「・・・・『おいたわダメよ』」
「ぇ?い、今なんtghばがぐgyらぁあばばばばばばばばばばあb!?」
・・・・・ぐきゅ。。。世の中って理不尽ばっかり。。。。
ドタタタタタタッ・・・バン!
「ど、どうしたのリーファ!ど、泥棒でも出たのぉ!?」
ぁ、女神様だ・・・そのエプロン姿でフライパンを翳し持ってるのグッと来ます。。。最後に良いのが見れてよか・・・がくっ。
アキクンダメぇええええええええええええええ!!?とどこかのにゃんこ嫁の声が聞こえた気がした~fin~
「あ、あらぁ?この子どうしたのぉ・・・ってまたやったのねリーファ・・・昨日あんなに心配してたのに・・・まったくもうぅ」
「う、うるさいわね!きゅ、急に目の前に居たから吃驚しただけよ!!」
吃驚しただけで、人ってか仔竜を痛めつけるの止めてくれませんかね!?
もうホント嫌・・・マジで従魔虐待相談センターはありませぬか・・・はい無いですね。いつの日か絶対に開設してやる!!
使命感に燃えてきたところで、まずは目の前の鬼畜幼女を成敗したいと思います!
「きゅわ!きゅわるるるるぅ!!きゅわわん!?きゅるるるるるぅぅ」
コイツです!コイツがやりました!!この子酷いんですよ!?助けて下さぁあああいぃと女神様に向けて、出来るだけ庇護欲を湧き立たせる様な動きで近づこうとして・・・
「・・・そいつ、昨日も言ったけど、普通に喋れるわよ」
ギクッ!?と膠着する僕ちん。
このぉクソガキがぁと糞幼女を睨みつけようと・・・ってそんな事よりヤバい!このままじゃ女神様に嫌われちゃう!?それだけは絶対に阻止せねば!!
どうにか弁明しようと恐る恐る女神様の様子を窺おうとしたら、
「あらぁ?そうだったわねぇ・・・初めまして。私の名前は、メルデ・シュタット・ルージュブランって言います。気軽にメルって呼んでねぇ♪」
僕の顔を真っ直ぐに見るようにして、そう優しく自己紹介をしてくれる女神様ことメルさんが居ました。
女神様は、やっぱり女神様やったんやぁ~と感動の余り信仰心がうなぎ登りでしたが、ここでふと思い出しました。
ポチたんは「もう大丈夫にゃ」って言ってましたが、神を生んだとか、わけ分からんちんな前科を持ってる身としては、ここは慎重にすべきでは無いでしょうか?
確かに女神様はその敬称に相応しいお方ですが、もしまた神性がどうちゃらとなった場合、女神様ことメルさんに多大なる迷惑を掛けてしまうのではと、珍しく・・いやそんな珍しくないんだけど、冴えわたる頭脳でそう考えに至る僕。
ん、流石僕だね!問題を事前に察知して対策を練るとは・・・これが成長なのだよ諸君?
よし!これからは心の中でも『メルさん』って呼ぼうっと♪本当は『様』も付けたい所だけども何だか危険だしね?
さぁ~て気を取り直して自己紹介だよ!ここはちゃんとしないと・・・その対応次第では、今後、一緒にお風呂とか頼んだりしたりして・・・っていやそこは成り行きで任せるべきかも?ぅんぅん自然の成り行きで、仕方なくお風呂に同行する形が望ましいよね・・・ぐふふっ。
そんじゃ、いっくよぉ~♪♪
「きゅわ。は、はちめまちて・・あ、あきくぅんっていぃま・・・」
「・・・『おいたわd・・・」
「はい!僕アキクンって言います!!以後お見知りおきを!!」
シュタ!!ときちんと自己紹介出来ました!!ですのでその不穏なワードはヤメテくれまいか!?
「ハァ~まったくコイツは・・・」
「うふふふっ。もうリーファったらぁ意地悪しちゃダメよぉ?きっとこの子はねぇ、急に魔物がお喋りして、私が驚かない様にしてくれたのよぉ。魔物がお喋りするのは珍しいから・・・アキクンで良いのよねぇ?ありがとうねぇアキクン」
うわぁ~んメルさん優し過ぎ!!こんな邪な気持ちで自己紹介しようとしてた僕をそんな風に思ってくれるなんて・・・僕のバカ!
ふざけた事はちゃんと謝って、改めて自己紹介しなきゃ自分が許せないよ!
よぉしぃ今度こそはちゃんとするぞい!!
「さ、さっきはごめんなさい。改めて初めまして、アキクンって言います。種族はベビードラゴンですが、中身は元人間です。と言ってもこの世界の人間じゃ無くて、こことは違う世界の者ですけど」
と出来るだけ失礼にならないよう丁寧かつ正直にそう自己紹介をメルさんにしていると、何故かリーファから驚きを隠せない声が聞こえてきた。
「あ、アンタ!そんな事まで言っちゃって良いの!?ま、まぁメルなら大丈夫だと思うけど・・・」
「ぇ?そんな事って?ぁ、元人間で異世界人ってとこか。んーまぁ減るもんじゃないし良いんじゃない?」
「なっ!あ、アンタね、もう少し危機感を持った方が良いわよ!!アンタの居た世界ではどうか知らないけど、この世界には神が居るのよ!ッ、そう言えばそう云った話はしてなかったわね・・・口止めさせて置かないと」
・・・ん?何故にそこで神様の話が出てくるの??
別にこの世界に神様が居るのは、ポチたんの存在で知ってるけど、何故そこまで声を荒げるのか分からない。念のためポチたんとの逢引きの事は伏せつつ、詳しく聞いてみる事にした。
「んー前の世界には少なくとも僕が知る限りで、目に見えて存在する神様は居なかったと思うけど、この世界にはちゃんと神様が存在することは知っているよ?」
「そう、知ってたのね・・・でもその反応を見るとやっぱりこの世界の神の事はあまり詳しくないみたいね」
「た、確かにそんなに詳しくないけど・・・何かあるの?」
「それはね・・・」
とリーファが深刻そうに語りだそうとしたら、僕たちの様子を横で見ていたメルさんが待ったをかけた。
「ちょっと待ってリーファ。もうそろそろ朝食が出来るから、朝食後にお茶の時間を設けて、その時にお話ししたらどう?せっかくのご飯が冷めてしまうわぁ」
「・・・ん、そうする。ほら行くわよアk・・・ふん」
「ねぇ、いま僕の名前言おうとして止めなかった?自分が決めた癖に言うのが恥ずかしいとかじゃないよね?だからあの時ちゃんと決め・・・」
「もううるさいわね!べ、別に言いづらいわけじゃないわ!!あんまりうるさいと・・・『おいたわ・・・」
「だぁもう!分かった!分かりました!!もうこれだからおk・・・待った!まだなにも言って無い!!だからもうそれヤメテ!?」
とリーファと二人で口論しながら部屋から出て、一階にあるらしい台所に向かうのだった。
「ふふふっ。騒がしくなりそうねぇ」




