知りたがり
「あ、灯月!丁度よかった。ちょっとさ、購買、灯月!丁度よかった。ちょっとさ、購買行っていつもの買ってきて。」
「俺と樋口メロンパンで!」
「わかった。」
クラスの中心的存在、山本 蓮人たちに今日もおつかいを頼まれる。これは俗にいう、パシリだということを僕はわかっている。ちゃんとお金を渡してくるあたり、まだ許せる。面倒くさいと思いながらも、仕方なく購買へと向かう。
「灯月君。」
そう誰かが僕の名前を呼んだ。その声に聞き覚えがあり振り返る。
そこにいたのは仲野だった。
「何してんの?」
「購買に行くとこだけど。」
階段の途中で変に止まってしまったため数段下の踊り場まで降りるか、ここで止まっておくか悩んでいると
「私も一緒に行っていい?」
なんて言い出した。
「あー、いいよ。」
なんてことを言うんだ、風間灯月。断れない性格はこういうときいらない能力だと思ってしまう。
一緒に行きたいと言った当の本人は話しかけるわけでもなくただついてきたようだった。いつもとは違う感じに少し緊張してしまう。
購買で頼まれたパンを買い教室に戻る。
「仲野、何も買わなくてよかったの?」
「うん。ただ灯月君がなに買うのか気になっただけ。灯月君って少食なのかと思ってた。パン二つも食べるんだね。」
「い、いや。これは山本たちの分だから。」
苦しい言い訳をしてしまう。
「え、灯月君パシリにされてるの?」
話がややこしくなってしまった。弁明しようにも自分でもこれがパシリなのかわからなかった。
気まずい空気のまま教室についてしまった。
「これ。買ってきたよ。」
「おぉ、サンキュー。」
お弁当を手に取り教室を出る。その間も仲野は後をつけてきた。
「なんか、聞きたいことあるの?ずっと、ついてきてるけど。」
流石ずっとついてこられると監視されているみたいで動きにくい。犯罪を犯しているわけでもないから気にしなきゃいいんだろうけど。
「灯月君のことが気になるんだ。普段どうやって過ごしてるのかなーって。」
「あのさ、図々しいのは本当に承知の上なんだけどさお家行ってもいい?」
「は?嫌だよ。」
何が承知の上だ。僕は仲野みたいに目立っていいタイプじゃないんだ。僕みたいなやつは陽キャから変な噂を回されやすい。
「僕にばっかついてると変な噂されるよ?山本とかに。」
お願いだ。卒業まで何事もなく過ごさせてくれ。
「別にいいよ。私、前の学校で噂回されてたから。だからこっちに来たの。」
あぁ、罪悪感が芽生えてしまった。人生というのはなぜにこんな罠まみれなのか。
どうしよう。物凄く気まずい。
「あ、の。仲野、いいよ。うち、来ても。」
「本当⁈」
さっきまでのしょんぼりした顔が嘘みたいに顔が明るくなった。これでいいなら僕もいい。
「じゃあ、放課後正門に集合ね!」
あ、今日家掃除してないっけ。




