第63話 食後の運動?
俺と千冬は昼食を食べ終わると食後の運動も兼ねて家の地下にある訓練場に来ていた
「病み上がりだからって手加減しないわよ?」
千冬が準備運動で体を伸ばしながら言った
動きやすい格好に着替えたと思ったら学校のジャージか…。本当に雑誌の表紙を飾ったのか疑いたくなるな…
それはそうとして俺のジャージでサイズがピッタリってどういうことだ
「むしろ手加減なんていらないな」
千冬はレベル5だ。手合わせする相手にこの上ない。
「ふぅ〜ん。なら、私に勝ったら1つだけなんでも言うこと聞いてあげるっ!」
「なっ!!」
なんでもだと!?…ということは、あんなことやこんなこと…むしろ、もっと大胆に…
「隙あり!スキル【氷姫】氷帝鮮麗!」
千冬が地面に手をつけると目の前に広範囲の氷が俺に向かって生成された
「おいっ!ずるいぞ!!」
俺はすぐさま後退し、銃を腰から2丁取り構えた
「魔式解除」
千冬の魔法をかき消し氷は消えたのだった
まったく。動揺して演算が遅れたじゃないか。
それにしても最初の氷でのブッパは相変わらずだが、随分と魔法の生成速度が上がってるな。さすがレベル5というとこか
するとかき消された氷の中から千冬が現れた
「そう来ると思ったわ!」
自ら接近戦に来ただと?千冬のスキルは超広範囲攻撃有利なスキルのハズじゃ?
「氷糸!」
細長い氷の糸が俺に向け放たれた
俺は氷の糸を確実に回避していき
「魔式展開 火神楽」
銃を構え火の魔弾を2発放った
「氷壁!」
千冬はすぐ様分厚い氷の壁でそれを防いだ
距離的に5メートルは無いはずなのに俺の攻撃を防げる生成速度とはな
「氷縛!!」
千冬が右手を俺の方に向けた
すると俺の右足に突如氷の塊が現れくっついたのだった
「なっ!?」
空気中の水を氷化させたのか?氷の塊が重くて動けない。まさかこれを狙って距離を詰めたのかっ
「これでもくらいなさいっ!!」
ゴツゴツと氷を纏わせた右腕で俺の腹にパンチを入れた
「ぐぅっ!!」
あまりの重い攻撃に俺は吹き飛ばされた
「いててて。やるじゃないか」
「へへーんっ!まだまだここからよっ!」
なら俺も少し本気を出させてもらうとするかな
「スキル【第六感】完全感覚」
「それがフルセンスね。本当に全くの隙がないわ。けど、いくわよ!氷乱花」
千冬は無数の氷の薔薇が俺に向け放たれた
「魔式展開 魔弾 乱!」
俺は魔弾の乱れ打ちでそれらを全て破壊すると
「魔式展開 火神楽」
「何度も同じ手はくらわないわよ!氷壁!」
俺の火の魔弾を防ぐために氷壁が生成されたが、火神楽は氷壁を貫通した
「嘘っ!?二重氷壁!!」
さらに内側に2枚の氷壁を貼り火神楽を防いだのだった
「フルセンスを使うと威力も上がるのね。侮れないわっ」
千冬がフゥーっと息を整えながら言った
「フルセンスは攻撃力は上がらないぞ?」
俺は何を言ってるのかさっぱりと言う感じで首を傾げた
「えっ?でもフルセンス発動前の火神楽は氷壁1枚で防げたわよ!?」
…なるほど。千冬には俺の攻撃力が上がったように見えたのか
「フルセンスは五感と六感が極限まで研ぎ澄まされた状態だろ?だから氷壁の魔力のムラがある場所に火神楽を打ち込んだ結果だよ」
「…?私、たしか夏が魔法を放った後に氷壁を出したわよね?」
「だから言ってるだろ?五感と六感が研ぎ澄まされていると。演算能力の高い俺がフルセンスを使えば相手の10手先を読むくらいは簡単だ」
と言っても初見の相手ではこうはいかないけどな。長年の付き合いである千冬の行動パターンならそれぐらいは読めるってことだ
「そ、そんなことって…」
千冬が驚いた顔で言った
「ありえるさ。ちなみにだがな、千冬の呼吸や心拍数、視線、体制なんかを捉えれば…!!」
俺は地面を大きく蹴り千冬の背後をとった
「こんな風に動くことも可能だ」
千冬は驚いている様子だったが後ろを振り向かずただ真っ直ぐに立っていた
「速っ!!絶対身体能力上がってるじゃないっ!!」
「上がってないって。千冬の意識外…つまり、意識が薄い部分をあえて通ったからより速く見え、捉えることが出来なかったんだよ。よく言うだろ?相手の虚を着くって」
フルセンスはスキル第六感を全てフルに使うことができる技だ。通常の戦闘では触覚で身体能力を上げたり、視覚で魔力察知したりと場面場面で使い分けている。つまるところフルセンスとは俺のスキルの最高到達点であると言うことだ。無術や火焔崇拝はスキルとは関係なく俺が独自で使っている技ということになる。
「さすがね。本当に強いわ…」
「俺の勝ちだな」
「まだよっ!!千年氷解!!」
すると千冬の体が白く染まり、千冬を中心にパキパキと氷が張り巡らされ床や壁は白く染まった
俺はそれを見てすぐさま距離を取り後退した
「おいおい。何だよこれ」
「へへぇーん!これが私の最強の技よ!この技は氷の温度を操る技。夏なら分かるわよね?氷点下まで耐えられるかしら?」
全く。嵐山といい千冬といいレベル5は環境すら変える力を持ってるのか。校外学習模擬戦で嵐山は風神と言う周囲に強烈な風を吹き荒らす技を出してきた。自身の力で環境を変え自分の得意とする場にしてしまう。もしかするとこれがレベル5に必要な条件なのかもしれないな。
「だが、これは流石にやりすぎだぞ…」
『室内気温低下!室内気温低下!直ちに部屋からの脱出を願います!直ちに部屋かの脱出を願います!』
ほらな。あまりの気温の低下に訓練場の非常アラームが鳴り出した。まぁ、千冬は昔から誰よりも負けず嫌いだからな。勝負に集中しすぎて多分アラームも聞こえてないだろ…
「夏っ!この技の術式内は気温がどんどんと下がっていくわ!だから氷の生成速度も自ずと上がるっ!さぁ、行くわよっ!」
おいおい。まだやる気ですか千冬さん…
はぁー。…視覚で見る限り千冬の外皮には三層の氷の膜が張られているな。きっと一層一層が自身の体温を保つために防寒がわりになっているんだろう。さらには火魔法も微弱ながら纏っているのか。
「よく考えられた技だな」
魔法規模が違いすぎてマナリソルトも使えないな。さてどうするか…
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