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次世代魔法の分家人  作者: めいがしん
〜ダンジョン生活と学園篇〜
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第47話 くつろぎ



俺は盾岡達と分かれ、すぐにスキルで4階層を探知した


ボス部屋の近くに雷豪らしき魔力が感知できる

「急ぐか」


俺はキューブから十士道クロスドの銃を取り出し、鷹白クロフトの銃と交換して締まった


流石にリザードマン程の魔物が現れたらクロフトじゃ、心許ないからな。


俺は取り出したクロスドを腰に下げ、走って雷豪の元へと向かって行った


ボス部屋まで最短で向かっているとはいえ、魔物との遭遇は避けられなかったが、変用銃攻系次式ヴィフィカルと2段階解放したクロスドの相手にはならなかった


ボス部屋の前に到着すると、雷豪が蛇の魔物と応戦していた


「魔弾!」

俺は後ろから魔物の眉間を1発撃ち抜き魔物を倒した


「大丈夫か?」


雷豪は俺の方を振り向いた

「六条…夏。…来たのね」


雷豪の綺麗な長い金髪はボサボサで、大きくくっきりとしていたブルーの瞳は半目となっており、満身創痍の姿で全身に軽い傷を負っていた


雷豪は剣を鞘に収め、壁にもたれかかって座った

「ハァハァ。…フゥー。盾岡達には会ったかい?」


「あぁ。全員ぐったりとしていたから、回復薬を渡しておいた。だから心配はない。盾岡にお前のことを頼まれたよ」


「…そう。ありがとう。」


流石の雷豪でも相当こたえているな

「雷豪は大丈夫…そうじゃないな?」


「フフッ。見ての通りよ。ここまで戦闘が続いたからね、結構きてるわ」


盾岡が言うにはここまでの魔物はほとんど雷豪が倒したらしい。レベル3のAランクとはいえ、無理していたんだろうな

「ほら、回復薬だ」

俺はキューブから回復薬を取り出して渡した


「…ありがとう。盾岡達にも渡したんでしょ?こんなに貰っても大丈夫なの?」

雷豪は飲みながら言った


「ダンジョンは何が起こるかわからないからな。念には念を入れて大量に持ってきておいたから気にするな」

とは言ったものの、自分たちの班と他の班に渡した分で残りは5個しかないがな


「ところで、雷豪は回復した後どうするつもりだ?」


「唐突ね。そうね…六条はこのまま進むんでしょ?なら、私は盾岡達の元に戻るわ」


「そうか。雷豪さえ良ければなんだが、俺と一緒に行かないか?」


「…驚いた。まさか六条にそんなこと言われるなんてね」


「どうゆうことだ?」


「決して悪口じゃ無いんだけど、六条って人に頼らなそうじゃない?なんでも1人でこなしそうだし、完璧人間だと思ってたから」


「そんな風に思われていたのか。なんと言うか…俺は常に冷静に考えているだけだよ。自分の力は過信しないし、仲間の力も過信しない。言うなれば、効率的に考えてるってことだな。その点、雷豪はここまでの魔物をほとんど1人で倒してきたんだろ?俺からしてみれば雷豪の力を認めざるを得ないよ」

それに、雷豪のスキルは使い勝手がいいから一緒に来てくれると助かるって言うのも理由の一つだけどな


「フフッ。六条にそう言われるとなんだか嬉しいな。なら、一緒に行かせてくれ。私も回復薬の借りくらいは返さないといけないからねっ」

雷豪は壁に背中をつけながら立ち上がると、少し膝から力が抜けたように前に倒れ込んだ


「っと!大丈夫か?」

俺は右腕を前に出して雷豪を抱き抱える形で受け止めた


「す、すまない…」


「まだ回復が不十分なんだろ。回復薬を飲んだとはいえ、もう少し休憩してから行こう」


「あ、あぁ…」


?。心なしか言葉数も少ないな…

「顔も赤いが大丈夫か?熱もあるのか?」


「い、いや!問題ない!それより座るから…は、離してくれ…」

そう言って雷豪はすぐさま俺の腕をほどいて、壁にもたれかかって座り込んだ


「…やはり六条は強いわね。ここまで1人で来たのに疲れが見えない。あの仁くんに勝っただけのことはあるわ」

雷豪は綺麗な金髪を顔の方に手で流し、赤くなった顔を隠すように話した


俺も少し休ませてもらうか


隣に座り俺も少しの休憩を取ることにした


「そんなことないさ。それにあの模擬戦は嵐山には勝ってないぞ?」


「結果としては負けたけど、映像見てたわよ。最後負けてあげたんでしょ?」


「み、見てたのか。だが、あれは完全に俺の敗北だよ。嵐山は最後まで諦める姿勢が無かった。心も折れずに俺に立ち向かってきたしな。気持ちで負けてたんだよ俺は」

やはり見られていたか…もう少し上手く負けておけばよかったな。

俺には演技の実力はない様だな…


「その言い回し方、武術の心得があるみたいね」


「なんだ、分かるのか?昔、親の英才教育で少しな。それと中3の半年間に横浜にいる師匠の元で少しやってたよ」

まぁ、幼少期は武術やら作法やら色々と受けていたんだがな


「やっぱり。経験あったのね。ね!六条は十戒じっかいって知ってる?」


…驚いたな。まさか雷豪の口から十戒と言う単語が出るとは


十戒…日本を古来から支えてきた10の家を指す名所のこと。俺は否が応でもそれを知っていた。というより、知るしかなかったの方が正しいか


「あぁ、知ってるよ。十戒がどうしたんだ?」


「私の家系…雷豪家は十戒の1家である、二黄ふたつき家と関係が深いんだ。といっても、かなり昔の話なんだけどね。武術の名家である二黄家に剣術のみ勝ったことがあるとされていて、私も幼少期からずっと剣術を習っていたんだ。物心つく頃には木刀を振ってたよ」


「それが嫌だったのか?」


「いや!全然そんなことはないよ。むしろ、私には剣を振るうことしかできなかった。ただ一つの長所を認めてくれたのが…その…嬉しくて…」


「なんだそうだったのか。こんな俺に認められて喜んでもらえるのも、なんだかこそばゆいがな」

俺は昔から習い事が嫌いだった。なんでそんなことしなくちゃいけないのか、家柄を憎んだ時もあったが、雷豪は俺とは違う感情を抱いて歩んできたんだな…


「フフッ。話した私もなんだかむず痒いな」

雷豪のハーフのように整った顔は頬の赤みと金色の髪、そしてダンジョンの灯りに照らされより綺麗に見えた


雷豪はいつでもキリッとしていて、男の様にスポーティーなイメージがあったが、話してみるとそんなことはなく、1人の女の子なんだなと思わされているほどだ。


ダンジョン内の緊急事態の中、思いがけない安堵な時が流れた。高校生活では人と関わるのを避けてきた筈が、クラスメイトとこうして座り込み、談笑するのも悪くないと思うほど楽しく、濃厚な時間だった。


そんな感情を抱いていれば、不思議と表情にも出てきてしまうものだ。俺と雷豪は10分ほどお互い笑顔で喋っていた


「フゥー。さて、回復もできたし行くとするか」

俺が立ち上がり、座っている雷豪に右手を差し出した


「あぁ。行こう!」

雷豪は俺の右手を握り立ち上がり、俺達は4階層ボス部屋の扉を開いたのだった

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