第43話 夏の校外学習当日
校外学習当日
朝からクラス全員が学校に集まり、学校側で貸し切った超豪華なバスに乗り込んだ
席順はクジで決まったが、なぜか俺の隣には猫頭がいた
「楽しみだね!みんなでダンジョン攻略なんてなかなかワクワクするものがある」
はぁー。茨城の北部までは3.4時間はかかるからゆっくりしたかったのだが。なんとも俺はついていないな。
「猫頭はダンジョン初めてだったな。まぁ、息抜きとはいかないまでも日頃の学務から離れられるのはいいな」
「夏は本当に堅いよねー」
「そういえば、その魔導武具はなんだ?」
猫頭の右腕についた三毛猫柄のガントレットのようなものを指差していった
「あぁ!これね。これはアニマルっていう新しいブランドのテールムだよ!昨日獣化組で買い物行った時に買ったんだ」
「獣化組…」
「兎咲、蛇島、亀井、犬飼、鬼柱、黒鎧と俺でね!アニマルって名前だから、色々な動物の柄や形のテールムがあって買っちゃったよー」
「たのしかったよね!」
俺の後ろからうさ耳のテールムをつけた兎咲がぴょこんっと顔を出した
「私もつい可愛くて買っちゃったの!見てよこのうさ耳!夏君も癒されるでしょ?」
「あ、あぁ…」
「ふっ。分かってないな。男が好きな色は黒!つまりこの光沢に輝いた黒のガントレットを買った俺の方がいいよな!夏!」
黒鎧が右腕につけたテールムを見せてきた
「あ、あぁ…」
「2人ともネチネチと絡むなよ。まぁ、俺はこのテールムの方が似合ってるけどな!」
蛇島が首に巻いたマフラーを見せてきた
暑くないのか?それ
というか、俺の席は獣化組に囲まれていたんだな…
「蛇島、それ少し見せてもらえないか?」
俺はマフラーを指差して言った
「はいよ」
そう言って蛇島はマフラーを渡してきた
ふむふむ。初めて見るテールムだな。見た目はマフラーだが、布よりかは堅いな。肌触りは最高に気持ちがいい。一本一本の繊維が高級品なんだろう。熱がこもりにくそうだな。ここまで柔軟性の高いテールムをよく作ったな。研究室があれば詳しく中を見てみたいものだ
「ありがとう」
俺はマフラーを蛇島に返した
「そんなジロジロみて、夏は魔工師を目指してるのか?」
「あぁ、そうだ。将来は魔法道具やテールム作りに携わりたいと思っている」
「へぇー!意外だね!夏はダンジョン歴が長いからプロの探求者になると思っていたよ」
猫頭が驚きながら言った
「確かにその道もあるけどな。だが、自分で作ったテールムを使ってダンジョンを攻略するのも面白いだろ」
シーカーは今の時代で最も役得がある職業だと思う。プロの中では一年のほとんどをダンジョンで過ごしているというのも耳にするしな。それでもダンジョンで命を落とすものが多い為プロのシーカーはほんのひと握りだ。俺としては一度しかない人生をダンジョンに捧げるのはもったいない精神が出てしまうがな。
車内はクラス全員の話し声でとても歓喜に包まれていた。楽しい時間はあっという間に過ぎ、バスは高速を降りて目的地に向かっていった
バスから見える景色は森や田畑が多く、東京とは比べ物にならないほどの広大な景色が目に入ってきた
「都内と比べると田舎だね」
「そうだな。だが、自然豊かで空気は美味しいぞ。昔からある自然をしっかりと残しているのはいいことだしな」
俺は窓から入ってくる風を浴びながら猫頭に言った
「たしかに。都会の機械音じゃなく、自然の音って感じだね」
バスは山道をくねくねと上り始め山奥へと進んで行った。だんだんと道幅が狭くなり、バス一台がやっと通れる道を30分ほど進むと、ダンジョンが見えてきた
ダンジョンの周りには豪勢な宿屋が一軒建っており、その前で停車した
「よーし。ついたぞ!」
先生の掛け声で全員が降りて行き、宿屋の前で並んだ
聞いていた話じゃ、ダンジョンはDランクなのに随分と良い宿が建っているな
「さて、長いバスで疲れただろう?ごくろうさん。ここが校外学習の場所である【竜神ダンジョン】だ!一般の立ち入りは禁止しているから、3日間シュレイト高校の貸し切りになってるぞ。そして、学校側が急遽用意してくれた簡易宿に3日間滞在する。校外学習のしおりを開いてくれ」
先生に言われるままクラス全員が携帯をタップし、目の前に電子画面が現れた
「ここに書いているように、ダンジョン探索は朝7時から夜の19時までだ。大浴場は2つあり男女別になっているから、就寝の22時までには入るようになるな。部屋割りだが、各班の男女別で一部屋ずつ取ってある。部屋番号は各自のしおりに転送しておいたから間違えないように。では、荷物を置いたら早速ダンジョンに向かうぞ!準備を整えて30分後にダンジョンゲート前に集合!」
簡易的に作った宿がここまで豪勢になるのか…
部屋割りか、てことは俺は猫頭と2人部屋か。まぁ、知った仲だからいいか。
俺と猫頭は部屋に向かい荷物を置いて、探索用の服に着替えた
「夏の服おしゃれだね!」
「猫頭も一緒に買ったパーカーが似合ってるじゃないか。着心地もいいのか?」
「そうだね!夏の言った通り動きやすいよ!」
猫頭は肩を回しながら言った
「そうか。ならよかったな。そろそろ、時間になるな。先に行って千冬達のことを待ってるとしよう」
俺はショルダーバックを背負った
中には亜空と協力して作ったキューブと念のために十士道魔導銃も入れてある。腰には鷹白の銃を2丁下げているので、クロスドは本当に念の為だ
俺と猫頭がダンジョンゲートに向かうと、クラスの大半が集まり終わっていた
「夏、おそーい!」
千冬がせかしながら言った
「猫頭くん、テールム買ったんですね。…かわいい」
梵さんが言った
「ちょっと!六条君!あれだけ大きめのバックとか言って今のに、そのショルダーバックしか持ってきていないの!?」
朝日さんが俺の方を見て言った
「あぁ。良いものが手に入ったんでな」
たしかに、クラスのみんなはそこそこ大きいリュックを背負っているから逆に目立つな…
「よし!全員揃ったな。では、これよりダンジョン探索を始める。この前の模擬戦の結果にともない嵐山班、六条班が先に入ってもらう。その30分後に4班が順番で入ってもらうぞ。この竜神ダンジョンは未開拓のダンジョンだ。事前に渡したマップを使って隅々まで探索するのも良し、先に進むも良し。それぞれの班は充分に探求できるように進んでくれ。それと攻略されているのは1〜3階層までなので、階層転移魔法は3階層までしか使えない。まぁ、初見のダンジョンなので最初はつかえないのだがな。この3日間で有意義な校外学習にしてくれ。シーカーとしては初めての者もいる、班のリーダーはしっかりと先導するように!では、嵐山班、六条班。いってこい!」
「よし!嵐山班いくぞ!」
嵐山の掛け声と共に5人はダンジョンゲートをくぐっていった
「じゃ、いくか」
「そんなんじゃしまらないわよ!夏!」
「はいはい。…全員の安全は俺が保証する。しっかりついてきてくれ。時間が許す限り存分に楽しむとしよう。いくぞ」
そう言って、俺たちはダンジョンに入って行った
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