第21話 夏と深緑ダンジョン②
2階層に入った俺は1階層と同じく隅々まで探索した、そして大量の魔核とアイテムを手に入れ、3、4、5、6階層と順調に歩みを進めていった
ダンジョン攻略開始から約14時間が経過し、俺は15階層あるうちの9階層までたどり着いた
「順調だな。最初にパーティーで入っていった探求者達も7階層で追い抜いたし、人が少なくて助かるな。」
パーティーは足並みを揃える必要があるため、攻略スピードが遅くなる
まぁ、その分火力が上がるからモンスターとの戦う時間も少なくなるがな
「俺のお目当てのモンスターは最下層だから、今日はもう少し潜ろうかな?」
俺は左腕のケータイで時刻を確認した
今は22時か…。
夜になれば他の探索者も宿に帰るはずだし、今のうちに進めるだけ進みたいんだが…
俺はアイテムが入ったバックの中を確認した
「ここまでほとんど魔核しか取ってきてないから、まだ大丈夫かな?」
魔核だけで持ってきたバックの半分は占めていたが俺はそのまま探索を続けることにした
9階層を探索し終わりボス部屋への通路に入ると、目の前に大きな荷物を背負った小柄な男が歩いていた
その男はフラフラと歩き、今にも倒れそうだった
俺はすぐに肩を貸した
「大丈夫か?」
「あっ。す、すいません。」
「どうしたんだ?そんなに大荷物で。どう見ても体に対して過重だろ。」
「い、いえ。このくらいの荷物なんともありません。」
「本当か?それより、1人で探索してるのか?」
「あ、いえ。パーティーメンバーは僕に荷物を預けて先に歩いていっちゃって。ヘヘヘへ。」
おいおい、笑い事じゃないだろ
確かに効率のいいパーティーに荷役はいるが
1人で抱えられる量じゃない
「そうか…。なら、肩を貸すからパーティーのところまで一緒に行こうか」
「そ、そんな!僕なんかの為にそこまでしてもらうわけには!」
「どっちにしろ、この先のボス部屋に用があるんだ。ついでだから気にするな。俺の名は六条だ。君は?」
「本当にすみません。僕は仁松です。」
「仁松くんか。よろしくな。…1つ聞きたいんだが、どうしてダンジョンに来たんだ?はっきり言って仁松くんにこんなに大量の荷物を持たせるパーティーメンバーにはいい気がしないんだが」
「こんな僕を気にかけてくれて本当にありがとう。…僕は平凡な家に生まれて平凡な人生を過ごしてきました。ですが父の会社が倒産してしまい。借金を返済するために探求者になったんですが…。ランクもあげられずにいまして、先週探求広告で高額の荷物持ちが掲載されてたので、ここに来てみたのはいいんですが。戦闘では僕は使い物にならなく、僕のことは犬扱いで大量の荷物を持たされたと言うわけです。スキル【減重】で物体の重さを少し軽くできるのでなんとかなりますけどね。ヘヘヘ。」
なるほどな。パーティーの中に攻略するダンジョンと同じランクの者がいれば下位のランクでも入れる
だが、高ランクのダンジョンモンスターを下位のランク探求者が倒せるわけがない。たとえ荷物持ちだとしてもパーティーで協力するのが当たり前だと思っている
それを大量の荷物を持たせて、自分たちは攻略の為先に行くだと?それじゃ、奴隷と同じだ
「そうか。ならこれが終わったら、そのパーティーとは縁を切ることをオススメする。仁松くんならもっといい探求者になれるはずだ」
これは励ましで言った言葉ではない
本当にそう思っているからだ
話を聞く限りスキル減重は物体の重さを軽くするということらしいが、自信を軽くすれば速さが上がるし、岩などを投げてスキルを解除すればそれなりの脅威になる。用は使いようだ。
「ハハ。六条くんは優しいですね。ありがとうございます。両親が買ってくれたこの赤のスカーフに誓って僕もがんばります!あ、ボス部屋が見えてきましたよ!」
ボス部屋の前には3人の探求者達が集まっていた
「おい!おせーぞ!荷物持ち!」
「早くー。もう私眠いんだからー。」
「ちっ。だからランクCは困るんだよなー」
なんだこいつら。仁松くんを名前で呼ぶこともしないだと?腹立たしい。
だが、俺が介入したらややこしくなるからな。抑えておくか。
「す、すみません!…それじゃ、六条くん。ここまでありがとうございます。またどこかで会ったらその時はよろしく!」
仁松くんは俺の肩から離れ、仲間達の元に駆け足で向かった
「あぁ!気をつけるんだぞ。がんばれよ!」
そしてパーティーはボス部屋の扉を開き入っていった
ボス部屋の扉は先に入ったものが次の階層に行かないと開かない
その為俺は扉の前で待つことにした
数十分たち、扉が開いた
それと同時に先程入っていったパーティーがボロボロになりながら走って出てきたのだ
「ハァハァ!に、逃げろー!」
「なんだあの化け物!勝てるわけがねー!」
「ま、待ってよ!」
そこに仁松くんの姿はなかった
俺は急いで部屋に入り、仁松くんの救出に向かった
だが、そこにはボロボロの赤いスカーフが落ちており、魔物が口を血だらけにしながら咀嚼する姿が見えた
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