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Lost19 ブレイダス防衛戦  作者: JHST
第二章 最悪の現実
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①王国騎士団の本隊にて


――――――――――


 常に定時連絡を絶やさなかった銀龍騎士団からの連絡が断って、四日が経った。

 

 白凰騎士団の団長であり、王国騎士団を統べる騎士総長でもあるシーダインは、野営のテントの中で銀龍騎士団の到着を待っている。

 初めはさほど心配していなかった彼だったが、流石に数日続くと何かがあったと疑うしかなかった。


 シーダインは木の椅子に腰かけると、机の上に広がっている地図に目を向ける。

 先発隊として数日早く出発し、さらに身軽な彼らは行軍距離を誰よりも稼ぎ、ついには本隊と四日の差をつけてゲンテの街へと到着した。最後の連絡はそこで終わっている。本来ならば、今頃銀龍騎士団が東の集落の騎士団と合流し、本隊が到着するまでに橋頭保を構築しているはずである。

 本隊は彼らとの連絡が途絶えても行軍を続け、ついにブレイダスを通過。ゲンテの街から半日程度の距離、中間地点の見開きの良い場所で野営を開く事にした。慎重すぎると周囲から言われたが、彼はゲンテの街に到着後に連絡が途絶えた以上、情報を集める為にも、街の手前で止まるべきだと判断した。


 時刻は昼。まもなく太陽は天頂に至る頃である。


「失礼します」

 白い鎧を着た騎士が入ってくる。短く整えられた金色の髪、長身で細身の青年は絵本に出てくる理想の騎士そのもので、騎士総長の前に立つと、右手を胸の前に付けて敬礼する。

「どうした副長」

「定時連絡です」

 心配なシーダインの表情を余所に、副長と呼ばれた青年は真面目な顔でありきたりな内容を正確に報告する。

「後方から送られてくる物資は計画的で、特に問題はありません。騎士達の休息も順調で、まもなく交代の時間となります」

「………索敵に向かった者達からの報告は?」

 重要な事は後方ではなく前にあると、シーダインは語気を強めた。

「近隣に不審な姿はありません。ゲンテの街に向かった斥候が戻ってくるのは半日後になります」

 

 蛮族の姿が未だ影すらなかった。シーダインは銀龍騎士団の連絡が途絶えた事と蛮族との戦闘を一つの可能性として考えていたが、結果の矛盾に未だ答えを見い出せずにいた。

 シーダインはゆっくりと立ち上がると、副長の横を通り過ぎる。

「………まだ銀龍騎士団(彼ら)からの連絡がない事を、気にしておられるのですか?」

 金髪の副長は眉をひそめ、自分を素通りしようとした上司の後ろを不満顔で追いかける。

「特に気にする事はないかと。もしかしたら、故意に報告を遅らせ、自分達だけで蛮族を倒してしまっているのではないのですか?」

 副長の言葉に団長の足が止まる。

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