060 夢に向かって①
時は過ぎ、本番の日となった
本番の衣装は金もないのでそのままのつもりだったが、張り切った夜華が発注してくれる話となり、当日本番で届くことになった。
「ど〜お! 芸能人のヨルカが集めてあげたわ」
「統一性ねぇな」
「もっと早く言ってくれたら準備できたんだけど、問題ないでしょ」
楽器組の和彦と平原さんは白を基調したタキシードスーツ。
全部借り物と言っていたが普通に買おうとするとめちゃくちゃかかりそうだ。
「こんな綺麗な服着たの初めてだよ」
「和彦っちよく似合ってるじゃん。あたしもどお?」
「う、うん。凄く似合ってると思うよ」
楽器を持つ様はとても似合っているといえる。
そして次は機嫌が悪そうな表情の姫乃の姿だった。
「何で私はドレスなんですか」
「だって姫乃は姫って呼ばれてるんでしょ」
「それに肩とか胸元とか開いていて恥ずかしいですが」
「でもお兄ちゃんおっぱい好きでしょ」
「それはそうですが」
「おい、なんか話題が脱線してんぞ」
「燐くんどうですか?」
どうですかと言われると……ピンク色のドレスに姫らしいティアラを金色の頭につけている。
胸元は大きく開いており、こんな姿で構内を歩いたら釘つけになってしまうだろう。
「凄く綺麗で似合っている」
「……」
ほんのりと頬を赤らめ無言で照れた様子を見せた。
ぐぅかわいいというのはこういうのをさすのだろう。
「こういう格好ならお姫様プレイとかできちゃうんでしょうか」
「たとえば敵国の姫を捕まえて、動けない状態にして尋問とかかな」
「何だかそそりますね。夜したくなってきました」
最近シチュエーションプレイにハマってたりする。姫乃は演技派というか結構成り切るんだよなぁ。
早く夜になりたい。
「二人とも何の話してんの?」
「ごほん。燐くんの格好はなんでしょうか」
「パフォーマーって感じだよな」
俺が着ている服は人気ユニットの一つ、ボーカルとパファーマーで構成されるユニットの衣装だ。
これかなり貴重なんじゃないか。
「ヨルカがいったら快く貸してくれたわ。今度食事行こって誘われたけど」
「おいおい、大丈夫なのか。兄としては適当な男と一緒にいて欲しくないだが」
「大丈夫よ一人で会うわけじゃないし、ヨルカ14歳だからって言えば相手から逃げてくわ」
未成年に何かすると逮捕される世の中だからな。夜華は身長も高いし、気が強くてしっかりしてるから大人に見られがちだ。
「今のお兄ちゃんなら良く似合ってると思う。朝くんと見劣りしないわ」
「フィギュア界の貴公子にねぇ」
「燐くん凄く良いです。ちょっと乱暴されたいかも」
「姫乃、しばらく会わない内になんか変態になってない?」
誰のせいだろうね。
「お、おまたせ」
「お〜〜、鈴ちゃんめっちゃ似合ってるじゃん」
ボーカルの鈴華がやってきた。
煌びやかなアイドルの衣装に身を包んでいた。なんと夜華はスタイリストを呼んで化粧までさせたのだ。
お金は夜華が持ってくれるそうだけど文化祭の演目にここまでやる必要あるんだろうか。
いや……しかし。
「めちゃくちゃかわいいな」
「り、燐! もう、ありがとう」
元々顔立ちは超級だったからアイドル映えするというか。
すっげー人気出るんだろうな。何となく金髪でお姫様っぽい姫乃より、鈴華の方が親しみがある気がする。
実際は鈴華の方が本家の令嬢なんだけど。
いよいよ、公開まであと少し。
学園の運動場に作られた会場は規模的にも最大だ。
すでに多くの有志の生徒たちが演目を終えている。
今は俺たちは控え室に指定された教室にいる。
学園のお姫様が参加する演目。しかもバンドなのだから集客力は大きい。
姫乃は澄ました顔でいて、場慣れしている平原さんや和彦は楽器の最終チェックを行なっている。
そして何より緊張してるのが……鈴華だった。





