後日談 バレンタイン狂騒曲
「行ってくる」
「おお、頑張ってこい」
「うん。応援してる」
「頑張って」
「おう!」
佐藤君は昨日と違い。ため息は吐かない。
「モテるのも考えものだな・・・・」
「・・・・そうだね」
三船君の呟きに酒井さんが同意する。
その目は確かな悲しさを感じさせた。
「でも、佐藤君なら大丈夫だよ」
彼は前に進める人だ。
「ああ、彩人なら大丈夫だな」
「そうかな・・・・」
酒井さんはまだ心配のようだ。
手を少し強く握り締めている。
「酒井さんの心配はわかるよ。でも佐藤君は決して人の思いを無駄にはしない。彼なりにうまく消化しようとしてるんだと思う」
「うん・・・・そうだね」
彼は彼なりのやり方や考え方で生きている。
私はそれを今まで見てきた。
私が知ってる彼なら問題ないはずだ。
「なあ」
「なに?」
「もし、俺があの子たちみたいな立場ならどうしてると思う?」
三船くんの声は低く重い。
まるで救いを求めているような縋りすら感じる。
「どう答えて欲しいの?」
私はそれに極めて冷たく答える。
なぜなら、それは考えたくなかったからだ。
そんな彼らを考えたくなかった。
「・・・・・・すまん。忘れてくれ」
彼は自分が何を聞いているのか思い出したかのように顔を俯かせる。
「・・・・・・私はわからないけど、三船くんならきっと自分で答えを出すよ」
「そうだな・・・・・・」
彼の顔はなにか覚悟したようなそんな顔だったのをよく覚えている。
その覚悟が何に向いているのか、私は聞かなかった。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
この作品は、派手な答えを出す物語ではありません。
それでも、もしどこか一行でも引っかかるものがあったなら、
それはこの物語が、ちゃんと届いている証だと思っています。
評価やブックマークは、
続きを読んでいく目印として受け取っています。
無言でそのまま進んでも大丈夫ですが、
もし残してもいいと思えたら、そっと置いていってください。




