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異世界転生したら、世界の敵になりました。【続】  作者: 篠原 凛翔
【第1部】 うつろう世界

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【1-8-4】

 その後道中は無事に進んでいく。目的地が湿原であり徐々に近づいているためか、湿気が増えてきているように思う。じんわりと汗が身体に滲んだ。


「……暑い」

「……暑いですね」


 モノが露骨に機嫌を悪そうにしている。ジーもまた暑さが苦しいのか耳がぺたりと折れていた。


「……じゃあとっとと倒して帰ろうか」


 私達は目的地につき奥へと進んでいた。周りには独特の草花が生えており、生態系もまた今まで私が見てきたものとは異なるようだった。


「気候の関係かな? 湿度が高いとこういう風になるんだね」

「ええ。そのようですね」


 別に直射日光を浴びているわけでもないのにひたすらに暑い。水分を帯びた空気が肌に張り付く。草花は一様に大きくまた毒々しい色をしていて、シダ類が多いのかツタが行く手を阻でいた。足元は至るところがコケに覆われていて、水分を多く含んでいるのかフカフカとしている。言ってしまえば前世のジャングルと大差ない光景だ。


「……どうもモンスターも多そうですね?」


 ジーが周りを見ている。確かにいろんなところに獣やモンスターの気配がした。この辺りに生息しているとなるとどんな生き物が多いのだろうか。


「ちなみに、この辺りはトード類やスライム、ウルフのような獣達もいるみたいです。特に毒を持っているモンスターが多いのだとか。ですから念の為気をつけていきましょう」


 ジーはこちらを見て『まあ貴方は何も心配いらないでしょうけども、一応ね?』なんて言っていた。いやはやホントに優秀な事で頭が下がる。


 そして私達は湿地帯の中へと進んでいく。


「で、そのヒュドラってのはどこにいるのかな?」

「この森の中の中心の辺りにいるらしいです。そもそもがそんなに広くはないので程なくして着くはずですよ」

「ふーん。でも何で二人がこのクエストに参加することになったの?」

「……お金」


 ジーが答えるが、……え゙。そういうこと? まさか家が燃えた関係ということか? じゃあ私のせいでもある言えちゃうような……。


「こら。モノ違うでしょ」


 ポンとジーがモノの頭を叩く。ゔーとモノが唸っていた。


「今回のクエストはヒュドラの素材にご主人が目をつけましてね。参加して調達してくるように言われたのですよ」


『まーお金も入りますし、一石二鳥というわけでもあるのですが』という事であくまで主目的はヒュドラらしい。


「そっかそっか。で、そんなヒュドラさんはどんなやつなのかな?

 実際こっちは全然情報がない。いやまあ事前に聞いておきなさいという話ではあるのだけれど。


「ヒュドラって、モンスターの中でも相当上位に君臨してるんですよ。しかも割と凶暴で人間も捕食する。だから見つけ次第討伐するのが通例ですね。ただ……」


 そこでジーは言葉を止めた。どうしたのだろうか?


「……今回のヒュドラはどうも普段のものとも違うようですね」

「あ、なんか強いんだっけ?」


 そんなことをマーニャさんが言っていた気がする。


「ええ。普通のヒュドラよりもさらに獰猛みたいですね。しかも、普通ヒュドラは氷系の魔法に弱いのですが今回の標的にはどうも効かないようで」

「へー、亜種みたいなものなのかな?」


 時にはイレギュラーな存在も現れるということだろうか。


「そうかもしれませんね。ただ従来の対策が意味をなさない、ということでギルドとしても困っちゃったみたいです」

「それで二人を呼んだってわけだ」


 そういうことだとジーは頷く。


「さて、そろそろ着きそうですよ?」


 目の前には水場があり、熱から水蒸気と化した水分が自分たちの身体に触れる。目的であるヒュドラは水場の真ん中辺りに巣を構えているようで、既にこちらに気づいているのかグルルルと唸り声をあげている。


「まあ助っ人も来てくれましたし、サックリと倒しましよー?」


 助っ人とは言うまでもく自分のことだ。勿論私もただ見ているわけにもいくまい。可能なお手伝いはさせてもらおう。


「リーザは少し離れてて?」


 彼女はフルフルと首を振る。


「ね、大丈夫だから」


 彼女は自分の首元の短剣を握りしめてこちらを見つめる。私はそっとリーザの肩に手を置く。


「アイツは、ちょーっと難易度が高そうだからさ。ここはひとまず任せておいてよ。でももしピンチになったらリーザの助けを借りようかな?」


 ねー? と彼女に言い、再度ヒュドラに向き合う。


「うーん。改めて見るとちょっと気持ち悪い造形……」


 なんだろう。その見た目はムカデ? の巨大バージョンという具合だろうか。毒々しい色合いと捕食するための口元には、側から見ても鋭利な牙が見え、身体からは何本もの蔦状の触手が粘液と共にウゾウゾと動いている。いやホント、これ一部の女の子は見ただけで泣いちゃうんじゃ。


「じゃあ始めましょうか」


 ジーの言葉にモノがコクリと頷く。そしてあの大剣を構えている。この二人と一緒に戦うなんて本当にいつぶりだろうか。


「んー、スーニャはひとまず見ておいて貰えますか?」

「え、そなの?」


 いつも通りに特攻させられるのかと思っていた。


「ええ。あのヒュドラは毒性が強いらしいんですよ。貴方は毒に対する耐性ってお持ちじゃないでしょう?」


 そう言われると確かに確証はなかった。今まで毒性を持つ相手と対峙をした事がなかったわけだし。


「とはいえ結局回復することはするんでしょうが、今回は念の為にそうしておきましょう」


 私も別に無理に戦わせてくれと言うつもりもない。『それに、あの子の事もあるからね?』と言われ、チラリとリーザを見る。彼女は私からは少し離れた距離でこちらの様子を見ていた。 


「それなら、今回はお願いしようかな」

「ええ。もし危なくなったらお願いしますね?」

「それは勿論」


 まあそんな事ほとんどあり得ないだろうけども。


「ちなみにさっきの話だと、モノもジーも毒に耐性があるってこと?」

「あれ? 話してませんでしたっけ? 私達もご主人の作品の一つだってこと」

「あーそれは聞いてたよ。でも毒とかは聞いてなかったかな?」


『ああそうでしたっけね?』なんて言っている。そして彼女は事もなげに言い放った。


「私達は見ての通りに獣人族がベースですが、様々な種族の遺伝子要素を持っている。毒に耐性があるのはその一環です」


 咄嗟に反応できない私を横目に『じゃモノ始めるよー』と彼女達はヒュドラへ向かっていった。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

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