↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
PR
47/114

35.あの日見た言葉を、今度は自分の声で ― 3度目の投稿を前に

夕方。


尚人は、スマホの画面に向かっていた。


そこに映っていたのは、

今日撮影した1枚の写真。


やさしさを込めた、静かな一枚――


完璧じゃない。

でも、このキャラを、そして“誰かの心をふっとゆるめたい”という想いを、

今の自分なりに、精一杯写し込んだ写真。


尚人は、そっと心の中でつぶやいた。


(この写真、出してみよう)


でも――


問題は、「言葉」だった。


尚人の頭の中には、あの日見た姉の投稿が浮かんでいた。


「あなたが疲れたときに、ふっと力を抜けるような、

そんな写真になれたらって思って撮りました。」


尚人は、スマホを握る手にほんの少し力を入れて、

ゆっくりと文字を打ち始めた。


「同じように、誰かの背中をそっと撫でるような、

そんな一枚になっていたら嬉しいです。」


「このキャラがくれたやさしさを、

今度は誰かに渡したくて――

その想いを込めて撮りました。」


読み返してみる。


姉の言葉と、確かに似ている。


でも――

そのどれもが、ちゃんと「尚人の声」で紡がれていた。


尚人は深く息を吐いて、

スマホの投稿画面を見つめる。


@trace_nao

投稿数:2 → 3


投稿ボタンの上に指を置きながら、

小さく呟いた。


「姉ちゃんと“同じ場所”に、一歩近づける気がする」


「……行ってこい、俺のやさしさ」


“投稿する”


ボタンを押したその瞬間――


画面には、やさしい笑みを浮かべたキャラの顔と、

尚人のあたたかいことばが、静かに並んだ。


投稿一覧には、新たに3枚目の写真が加わる。


尚人はスマホをそっと置いて、

目を閉じながら、心の中でつぶやいた。


「俺も、“伝える側”になれてるのかな…

姉ちゃん、どこかで見てくれてたら、ちょっと嬉しいな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。