27.もう一度、“好き”を伝えたくなる ― 次の投稿を考えた夜
夜。
デスクの上には、あの日と同じノート。
その隣にはスマホが置かれていて、
画面には、ひとつのコメントが表示されていた。
「キャラの雰囲気、すごく伝わってきました。
好きって気持ち、大事にしてるのが写真から分かります☺️」
尚人は、その一文を何度も何度も読み返していた。
(“気持ちが伝わった”って、こんなに嬉しいんだ…)
言葉って、すごい。
そして――
“また言葉を添えて、好きな気持ちを届けたい”
そう思わせてくれる魔法でもあるんだ。
尚人は、ノートの新しいページを開いて、タイトルを書く。
【次の投稿、どうする?】
その下に、箇条書きで思いつくことを綴っていく。
もっと表情のバリエーションを出してみたい
キャラの“優しい一面”を表現できる写真が撮りたい
コメントくれた人が、また見てくれるかもって思うと…がんばりたい
「なりきり感」を意識して、ポージングも工夫してみよう
それから、スマホのギャラリーを開く。
前に撮っていた、少し雰囲気の違う自撮りたち。
少し笑っているカットや、
小道具を手元に寄せた、さりげないショット。
尚人の指が、ふと一枚の写真の前で止まった。
完璧じゃない。
でも、まるで“あのキャラがふっと誰かに優しく話しかけている”ような――
そんな空気が、そこにあった。
(これ、出してみたいかも)
まだキャプションは決まっていない。
投稿のタイミングも、もう少し考えたい。
でも――
「また誰かに見てほしい」
そう思えたこと自体が、何よりの進歩だった。
尚人はノートの最後に、そっと記す。
「“好き”を表現することは、
伝えることの、一番やさしい形かもしれない」
そして静かに、ページを閉じた。




