我が家の誕生日の儀式
「あ゛ーん、もぉっ!!」
曲がるハズの道を間違え通り過ぎた。
どうしてイライラしてたのか。
今となっては思い出せない。
きっと大した事のない事だ。
ここから行けるかね、?
あからさまに細い道。
軽なら行けるか。
正直微妙なライン。
引き返そうにもUターンは出来そうにない。
必要の無さげなガードレール。
きっとあれが無かったら通れた。
キィ、ィーイ、
高い擦れる音と引っ掛かる様な振動。
「あ~ぁ、」
通れはしたが、ご覧の有り様だ。
綺麗な横線に、擦れた白い塗料。
ふと視線を戻すと民間の1階の窓から、
半身を外に出した男の人が居た。
見せもんじゃねーぞ、コラ。
車に戻り後にしようとした時。
男の人「ウチの敷地で擦っといて逃げるんかい!?」
半ギレの声が響いた。
この人の敷地??公道じゃ、ねーのか?
とりあえず悪気はあったので路肩に車を停め、
その人の家の前までヘコヘコしに行った。
「、すいません。」
男の人「すいませんじゃねーだろうに!
お前さん、ウチが声掛けて無かったら、
逃げてただろうに?!」
まあ、、
「すいません、」
とりあえず謝って、
警察に連絡して。帰ろうとした時。
男の人「あんちゃん。ちょっと寄ってけや?」
えっ?
男の人「今日。ウチの者が誕生日なんよ。
一緒に祝ってやってくれないかね?」
普通なら断るだろう。
普段なら、断る。
だが、事が事だ。
明らかにヤバそうな人だ。
自分の子供が誕生日だからって、
見ず知らずの人をいきなり招き入れないだろう。
それに、さっきあんだけキレてたのに。。
「はい、、」
男の人「ほれ、入れ入れ!」
男の人はニコニコしながら手を招いた。
「お邪魔します、、」
男の人「御馳走沢山あるからね。」
ベンチ?腰掛け?に靴を脱いで上がる。
家に入ると、正面は広い部屋で、直ぐ右。
男の人の後ろには部屋があり、ご馳走があった。
男の人「旨そうだろう?
先に【御祝い】が終わったらな?」
そう言うと扉を閉めた。
閉まると同時に辺りが暗くなった。
昼間だというのにカーテンが閉まっている。
今更になって恐くなって来た。
変な【宗教】じゃないだろうか。
大丈夫だ。
今入って来た窓に手を触れている。
何かあったら直ぐ逃げよう。
日の光が強く、隙間から日差しが入って来る為。
不便無く、視界は良好だった。
ただひとつ。"異様さを除いては"
視線を感じ先を見ると親族だろうか。
ざっと2組居た。
子供は小学生の高学年と低学年くらいで。
別の家族みたいだ。
「おっ、おめでとうございます。」
軽く会釈すると、向こうからも会釈が返って来る。
『誕生日』
と、聞いたけど、
何だか喪服の様な格好をしている。
男の人「それでは今から"祝い事"を始める。」
右側の閉ざされた食卓?の扉が開き、
男性が入って来る。
男性「どうぞ、どうぞ、」
押される様にして奥に誘導される。
何処からか太鼓の音がして、
男性「頭を下げて?」
言われるがまま、されるがままに、
頭に手を置かれ、下げる。
扉がゆっくりと開く音がした。
あぁ、ヤヴァイヤツかも。コレ。
いよいよ逃げなくてはいけないと思った。
男の人「決して頭を上げてはならん。」
ドン!ドン!!
太鼓の音がすると、
ドタドタ、ドタ。
足音が床に響いた。
気になって視線をゆっくり上げる。
目の前には大きなキツネが2匹居た。
左には、白い女性のキツネ。
右には、黒い男性のキツネ。
まるで、結婚式かの様な格好だった。
それがゆっくりと出てきて、目の前を周り始める。
ドン、!ドド、ドン!ドン、ドドン!ドン!
獅子舞の様に、
おっきいキツネを、何人かが動かしている。
黒いキツネ「何を見ているんだ!!無礼者!」
見ているのがバレてしまった。
男性「あちゃぁ、」
男の人「何をやってるんだ!!」
案の定キレられた。
男の人「【人形】を持って来い!」
両脇を抱える様にして立たされ、
暫くすると目の前に人形が差し出された。
男性2「この人形を斬って下さい。」
「、斬る?」
木製の剣を手渡される。
男性2「えぇ。ざっくりと。」
木製のヒトガタの人形には、
オレンジの模様があった。
「よいしょ、」
頭部からざっくりと斜めに沿うように斬ると、
ヒトガタのオレンジ模様が、
無地だった木製の剣の方へと流れて来る。
男性「これは、これは、、」
歓声「おぉお!!」
気付けば皆がそれを見ていた。
要領は分からなかったが、
特別な事だという事は分かった。
その後は皆で御馳走を食べた。
何の事もない。
少し変わった誕生会だった。
しかし、その日を堺にオキツネ様を見る様になり。
今ではあの時の家族と親族になった。




