土手沿いでよく合うおじさん
いつもの様になんとなくテレビを付けた。
内容なんてどこも殆ど同じだ。
代わり映えのしない番組ばかり。
「つまらない。」
そうチャンネルを変えた時。
近くの事件のニュースが流れた。
「嘘、、」
似てる人かと思った。
けれど違った。
そこに映ってたのはあの、おじさんだった。
人生は上手く行かない。
一生懸命やっても成果なんて大して出やしない。
やり方が間違ってるとか。
向いてないとか。
いろいろ意見があると思うけれど。
それでもやらなくちゃいけない事は変わらない。
要は、やりたくないんだ。
でも、そうもいかない。
ぱーっと。気晴らしが出来る程、
金がある訳でも無い俺は。
日常の景色を目に入れたくなくて、
土手沿いの道をただ、歩いて居た。
目的地がある訳じゃない。
飽きるまで、自分のペースで。
ゆっくりと、歩いた。
「気持ちが良い。」
川の水が光に反射し。
キラキラと揺れる。
そこに建物は無く。
あるのは小さな自然が広がっていた。
鳥の鳴き声や、虫が自由に飛び。
その世界観を羨ましく思った。
「こんにちはー」
スレ違う人々は挨拶を交わし。
いつもの自分の周りの日常の異常さに気付かされた。
口を開けば悪口や陰口。
そうもしてまで。
何で。
ここで働いて居るのだろうか、、
だが。分からなくもない。
そこにしか。そこでしか。
生きられないのだ。
自分も、また。
その中の、ひとりだから。
「、、はあ。」
「あら。また疲れるまで。かい?」
聞き慣れた声がする。
「ええ。気分転換に。」
聞き慣れた声「そうかい。気を付けてね?」
「ありがとうございます。」
聞き慣れた声「じゃ、また。」
「はい、」
暇なのか。誰かと話したいのか。
そのおじさんは会う度に話し掛けて来た。
それを何回か繰り返す内に。
顔見知りになった。
「暑いですね、」
おじさん「本当だよ。嫌になっちゃうね。」
「はははは」
大した話しはしない。
スレ違う時に少し会話するだけ。
それは決して悪くは無かった。
本来の人と人とのコミュニケーションとは。
こういうものなのかも、知れない。
日常のあの息苦しくなる様な環境のが。
きっと。おかしいんだろう、、
ある程度同じ場所を通って居ると。
大体。同じ人が居る。
おじさんが、そのひとりだった。
幸せそうな老夫婦を見て。
俺は羨ましくも思った。
結婚なんて、、
周りは結婚をし。
子供が出来。
家を買い。
そんな当たり前のレールを。
さぞ、当然かの様に進んで行く。
しかし、俺にはそのレールが無かった。
何をすれば良かったのか。
何をしたら正解だったのか。
そんな人生を送って居た。
もしかしたらあのおじさんも。
俺と同じだったのかも知れない。
そして。こうなってしまった。
テレビ「男性は河川敷沿いの草木の生い茂った所に、
男女の遺体を埋めた。と、証言しており。
それ以外は黙秘してると言う事です。
警察は殺害された遺体の身元を調べる方針です。」
レールは思いのよらない場所へと続き。
人々を過ちへと誘うのかも知れない。




