青白い手としわしわの手
俺は、少し前まで。
幽霊とかそんなのは信じないタチだった。
そういう経験が無い訳じゃない。
でも。信じなかった。
何故なら俺には見えなかったからだ。
、、それが。
ある体験をきっかけに、変わる事になる。
昔ならそんなに問題は無かったが、
今は心霊スポットと呼ばれている廃墟や病院は、
勝手に入ったりする事に対して厳しくなっている。
そもそも勝手に人様の家や土地に勝手に入る事が、
基本的にはアウトなのだが、な。
昔はなあなあにされたんだ。
勿論ドヤされたりする事はあった。
あれも駄目。これも駄目。
度胸試しや怖いもの見たさは、下が底上げされ。
やれる事の最初は犯罪紛いのモノになった。
大変な時代だ。
話が逸れたが、そういう場所に行っても。
俺には何ともならなかった。
だからそいつらは居ないと思っていた。
ある日。
配信サイトにアップロードされていた動画を聞いた。
信じてはいないが興味はあったからだ。
人のくだらない話を聞くよりは断然面白い。
何の話に対してそれが作用したのかは分からないが。
夢?を見た。
沢山の手が掴む訳でも無く。
俺の頭の方へと手を伸ばす。
身体は動かなく、そこが何処だかは分からない。
目の見える範囲には、腕の元が見えない青白い手が。
気持ち悪いくらいに伸びて来る。
一本や二本ではない。
沢山あった。
その日はそれで終わった。
しかし、それからその夢?は続き。
ある時からしわしわの手が俺の口を塞ぎ始めた。
相変わらず動けない俺は呼吸がしずらくなり。
何と無く次は鼻が塞がれる気がした。
殺しに来てる、、
そう、思った。
夢?から覚めた俺は全身に汗がびっしょりだった。
青白い手達としわしわの手が。
どうして俺にそんな事をして来るのかは、
分からなかった。
何か目的があり、言いたい事でもあったのか。
でも俺も限界だった。
その夢?のせいでまともに寝られないからだ。
夢?と言っているのは実際にあったのか。
それとも夢なのか分からないから、
一応、こう表現している。
それくらい、リアルだった。
俺は考えた。
次に口に手をやったら。
その手を噛んでやる。
馬鹿な手はワンパターンに同じ事を繰り返した。
こっちは鼻を塞がれたら死ぬ。
やられたらやりかえさないといけない。
いつもの様に手を口に持ってきた時。
俺はおもいっきし噛んでやった。
それはもう、噛み千切るくらいに。
ウギャァアアア!
女の悲鳴の様な声がすると。
しわしわの手は何処かへと消えた。
相変わらず身体は動かず。
青白い手達は、ゆらゆらと動いていた。
それ以来。しわしわの手は出て来なかったが。
たまに青白い手達は出てくる。
相変わらず身体は動かないが。
この奇妙な現象にも慣れた。
青白い手達はたまに俺の髪に触れるが。
掴んだり引っ張ったりする事はない。
病は気からと言うが。
幽霊も。
案外、こっちが気を張ってれば。
向こうからやって来る事はないのかも知れない。
だからそれからは、
少しは居るのかも知れない。
くらいの認識ではいる。
今更ながらに、もしかしたら。
見たい。
と思ったから。
青白い手もしわしわの手も。
わざわざ出て来たのだとしたら。
俺は悪い事をしたのかも知れない。
怖いもの見たさも、ほどほどに。な?
といった実体験による、説教だ。




