無垢が故に
ほんの気分転換だった。
「嫌よ。
そんな所わざわざ行かなくても良いじゃない。
お家でゆっくりしましょう?」
そういう彼女の言う通りに。
彼女のしたい事をさせてあげれば良かった。
『月と太陽が沈むまで側に居てやるよ』
「クソ!!」
何様だよ。
馬鹿みたいな台詞と引き替えに。
"僕は大事な彼女を喪った"
この世界には、
【本当に行ってはイケナイ場所】
というのがある。
最近のホラーはつまらない。
内容が紙っペラで、効果音で脅かせば良い。
グロければ尚更良い。
「つまらね。」
ホラーという【概念】。
ホラーという"ジャンル"そのものが。
根本から腐敗していた。
自分の埋まらない隙間を無理矢理埋めるかの様に。
手当たり次第に【物語】を追った。
動画サイトで心霊スポットへ向かう作品も。
あらかた見てしまった。
「つまらない、、」
まあ、そう簡単には欲求は満たされ無かった。
けれど変なよく分からない映画よりは、
よっぽど良かった。
人が創ったモノに対し。
何を偉そうにそう上から言っているのだろうか。
きっとこの頃から。
既に、何かに取り憑かれて居たのかも知れない。
ある日。
ネットサーフィンで心霊を漁って居た時。
何かを感じる様な内容のモノを見付けた。
ようやく掘り出し物に出会えた。
そんな風に思っていた気がする。
その廃墟では"行方不明"になるという事件があった。
それからそこは曰く付きな場所となり。
数々の奇怪な現象が多発していると言う。
893や半グレ。それらが関わる説。
ホームレスが住み着いて居て、
住み家を荒らされて仕返しをしたという説。
新興宗教の儀式の生け贄となった説。
どれもありそうな話。
けれど確証は何処にも無い。
それもそうだ。
行方不明になった者が。
「こうやって行方不明になりました。」
何て言う訳も無いのだから。
そもそも行方不明になったのかもすらが不明だ。
行方不明となった理由。
そこに至るまでの原因が。
要因が不可欠だ。
いや。もしかしたら異世界モノの様に。
この世界の常識や理など存在しないのかも知れない。
【恐怖】を感じれば。
それだけでホラーになるのかも知れない。
こんなどうでもいい話なんてどうでもいい。
これを見てる者は、
どうなったか。
が知りたいだけなのだから。
結論から言えば。
彼女とその場所に行った。
元が何だったのかは分からないが。
中はだいぶ荒らされていた。
彼女「ねぇ。もう帰ろう??」
服の端を握る彼女が可愛くて。
それがつい、愛おしく思えた。
「来たばかりじゃないか。」
彼女「何かここ。
すごく嫌な感じがするの。」
「そうか?」
確かに彼女が言う様に。
気持ちの良い場所ではなかった。
壁に落書き等は無い。
それが逆に違和感を感じさせた。
こんな状況なら普通はあってもおかしくはないのだ。
彼女「ねぇ、帰ろうょ、?」
何かの存在に脅えるかの様に。
彼女の言葉は震えていた。
「写真だけ撮ったら。な?」
ある場所で写真を撮る。
そうすると怪奇現象に合うと。
彼女「もぅ。良いでしょ、?」
彼女は本当に嫌そうだった。
「分かったよ。
じゃあ。撮るからな?」
彼女「私を撮るの??
私は良いから。あなたを撮ってあげる。
、、変なの写っても。知らないんだからねっ。
いくよ??はい、チーズ、。」
ウィーン、、
カメラは写真を撮ると。
下からそれが出てくるやつだった。
彼女「何か変じゃない??」
ウィーン、、
彼女から受け取ったカメラを見る。
そうして見ても分からない原因を見付ける。
ウィーン、、
写真はなかなか出なかった。
彼女「もう良いでしょ?帰ろうよ??」
ギィイイー
カメラはおかしな音を立てながら、
ようやく撮った写真を出した。
カメラ吐き出す様に写真を床へと落とした。
それを彼女が拾う。
彼女「、、いゃっ!!」
写真を見た彼女は写真を投げ捨て、走り出した。
「ちょっと待って!
走ったら危ないからっ!」
落ちてる写真を拾い。急いで彼女の後を追う。
車に着き、急かす彼女の言うままに車を出す。
途中でコンビニに寄り、飲み物を買った。
、、彼女は泣いていた。
「悪かったって、。」
ポケットに入れた写真を見ようとすると、
彼女「ここで見ないで!」
そう強く言われてしまった。
仕方なく車から出てから写真を見た。
そこにはあの場所と自分の姿があった。
街灯の明かりで変に反射する写真を曲げながら見た。
「何だ、、こりゃ。」
自分の足元の右側に。
お面の様なモノが2つ。
あそこにはそんな物は無かった。
それが、地面から這い出ようとするかの様に。
顔を動かしている所が撮られていた。
「、、すげぇ。」
本物だ。
そう思った。
車に戻ると少し落ち着いた様子の彼女が居た。
彼女「お祓い。行った方が良いよ?」
「そうだね。」
家に帰り、ゆったりとする。
まるでさっきの出来事が何も無かったかの様に。
いつもの見慣れた景色があった。
彼女「ねぇ?」
そう言い、彼女が手を握って来た。
「ん?」
彼女「側に。居てくれる、?」
彼女の震える手を強く握り返す。
「怖い思いさせてごめんな?」
彼女「ぅん。」
「月と太陽が沈むまで側に居てやるよ」
彼女「うん。」
疲れて居たのか。
その後彼女は直ぐに寝てしまった。
彼女の寝顔はとても可愛かった。
幸せだと思った。
そうして、気付いたら俺も寝ていた。
目が覚めた時。
彼女はそこに居なかった。
その日から。
彼女は帰って来なかった。
こうして行方不明者のリストに。
彼女の名前が記された。
警察にも行った。
彼女の親にも頭を下げに行った。
あの場所にも。何回も行った。
しかし未だに彼女は見付からない。
ふと。写真の事を思い出して、見た。
あの顔は消えていて。
かわりに僕の顔が。
酷く。歪んで居た。
怖いもの見たさで。
自分が本当に求めていた恐怖は。
最悪の形として返って来たのだった。




