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見感語  作者: 紀希
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32/60

義母と生クレープと知ら番



「いらっしゃい」


感じの良いおばさんが、


店に入るなり出迎えてくれた。


それに俺は軽く会釈をする。



俺は休日の唯一の楽しみを過ごす為に。


今日も、とある和菓子屋さんに来ていた。



ここは、和菓子も有名なのだが。


中でも、【生クレープ】が有名なのだ。



定番のどら焼きに、大福。


目移りしてしまうくらいに誘惑が多く。


本当なら、全て買いたいくらいだ。



だが、しかし。


それをぐっと堪え、我慢する。



「えと。


生クレープ、2つ下さい。」


おばさん「今から包むから、少々。お待ち下さい?」


「あっ。はい。」


そう言うと、暖簾の奥へと向かった。



待っている間にショーケースの和菓子達は、


俺の脳内にお茶との最強コンビネーションを、


まるでテレパシーを送るかの様に連想させた。



「やっぱり大福だけでも買えば良かったかな、、」



おばさん「お待たせしました。」


「いえいえ。」


おばさん「なんとなしに作ったクレープが。


まさかうちの看板商品になっちゃうなんてねぇ。


まあ、うちはお客さんが喜んでくれるなら、


それで良いのだけども。



何だか先代に悪い気がしてねぇ。」


そう言いながら、壁に飾ってある写真に目をやった。


「じゃ、じゃあ。


大福と、どら焼き。ひとつずつ頂けますか?」


おばさん「あら。


何か誘導しちゃったみたいで悪いわね、??」


「いえいえ。


待ってる間にずっと悩んでて。」


おばさん「どら焼きも大福も。


うちの人気商品なんですよ。」


「えぇ。


楽しみです。」


再び暖簾の奥へ行く。


おばさん「お待たせしました。


お会計は、、」


ピッピッ、ピ。


ショーケースの上に乗せられた商品とは別に。


紫と緑の二層の和菓子が置いてあった。


レジの金額を見て財布の中の小銭を探していると。


おばさん「あの。」


「はい。?」


おばさん「会ったばかりの人に。


こんな事を言うのも、失礼な話なんだけど。


ちょっと今手が離せなくて。


これからお店を出なくちゃいけないのよね。


でも近所のこのお店に、


この和菓子の様な色の商品を頼んでて。


ちょうど用事が重なっちゃってね。


これを持って行けば分かると思うんだけど、、



良かったら、頼まれてくれないかねぇ?」


近年の人間社会ではあまりない。


懐かしい感じのヤツだ。


「あ。はい。


大丈夫ですよ。」


特にこれと言って用事がある訳ではない。


おばさん「本当に!??


いやぁ、助かるわあ?



あっ、そしたらその和菓子は食べちゃって良いから。


おつかいのお礼で。」


「あっ、はい。」


もしかして元々渡すつもりだったのか???


「ちょっと待ってね、?」


そんな事を考えていると、


おばさんは紙に手書きの地図を書いて、俺に手渡した。



「あの、何かあるとあれなんで、


一応。電話番号だけ教えておきましょうか?」


おばさん「良いの?助かるわあ。」


「えと、0、、」



おばさん「因みになんだけど、、


おばさんの余計なお節介なんだけどね??


気を悪く思わないで欲しいのだけれども。



今の恋人さんは、



『運命の人』



では無いわよ、?」


「ぇっ、、。」



俺は目を覚ました。



何だ。夢か。



その後。


夢で会ったおばさんの助言通りに。


俺は長年付き合っていた彼女とは別れた。



"自然消滅"ってやつだ。



元々趣味や好みが違ってて。


それが互いに時間と共に、少しずつ。


ストレスへと、変わって行ってしまったのだと思う。



少し時が流れて。


夢の事をうっすら忘れかけていた時。



知らない番号から電話が掛かって来た。



いつもなら出ない知ら番だが。


なんと無く出てしまった。


「はい。」


携帯「あの。


電話していいかずっと迷って居たんだけど。


せっかく教えて貰ったから、良いかな?って。」


「えと。


間違い電話じゃないでしょうか、?」


携帯「あっ。


自己紹介からだわよね??


私。夢の中で知り合った和菓子屋のおばさんなんだけど。」



その時。


忘れかけていた記憶が、ふと甦った。


「あぁ!」


おばさん「思い出してくれた!??」


「ええ!


美味しそうな生クレープの!」


おばさん「そうそう!


人の"緣"ってのは、不思議なモノね。」



こうして夢の中で出逢ったおばさんは。


いろいろあった先に、今や俺の義母となった。



義母「悪いんだけど。おつかい頼めるかしら?」


「はーい。」


義母はよく俺におつかいを頼む。


勿論。ご褒美付きで。



おばさんの娘との話は、俺の気が向いたら話すかな?


いや。嫁さんがきっと嫌がるからやめておこう。



世の中には、不思議な現象が。


わりとすぐ近くに、あるみたいだ。

































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