その九 「着付け」
詩織と弥生は嬉しかった。突然、巫女装束を着れる事になったからだ。この時、なぜ着せてもらえるかの意味までは深く考えていなかったが、とにかく目の前の装束に夢中になっていたのだ。しかし、着物といえば成人式か入学式の時に着る振袖が今では一般的だが、二人とも着たことは無かった。普段の生活では無縁のものであったからだ。
「お二人さん、着物を着たことはないんだね。なら仕方ない私が着付けてあげるわ」といって妙子は着付けを始めた。まず腰巻と肌襦袢を取り出して「今の若い娘は勘違いしているけど、着物の下着はこれなんだよ。さ、寒いだろうから早く羽織ってね」とバスタオルを取った二人の裸体を覆っていった。
二人は妙子の肌襦袢を取る手を見て、本当は自分達の母親と変わらない年齢のはずなのに、どうもお姉さんぐらいの歳にしか見えないぐらい、瑞々しい肌をしていると感じた。後で美肌の秘訣でも教えてほしいと思っていた。
しかし不思議なことに他の衣装が新品のようだったが、それに比べ肌襦袢だけが相当古そうだった。しかも着物のはずなのに何の素材で出来ているのかわからなかった。でも着てみると二人とも経験したことの無い気持ちよさを感じていた。
その後、妙子はものすごくテキパキと動いて、二人の肌襦袢のうえに白衣を羽織らせたり帯を巻いたりして、ついに緋袴を着せてくれたが、なぜか股の割れているタイプだった。それに対し弥生は疑問をぶつけた。
「スカートのようになった緋袴じゃないのですね、ここのものは妙子さん」
「そうだよ、これからあなた達にお願い事をしてもらおうとしていることに必要だからね」
「お願い事? なにか手伝うことがあるのですか」
「お二人さん、話を聞いていないのかね? あなたたちはたった今から女神大祭の巫女に選ばれたのだ。なにせ代々の巫女が着る伝家の肌襦袢が受け入れてくれたのだから?」
「どういうことなのよ? それって」
それまでしゃべっていなかった詩織も一緒になっていった後。肌襦袢を見ようと白衣の下を覗こうとした。しかし何故か肌襦袢は身体に癒着したようになっていた。まるで生命体のように皮膚になろうとしているかのようだった。
「それはね、女神に祭りの間ご奉仕する巫女が必ず着るものなのだ。もし条件に合わなければ着ることも叶わないが、お二人さんとも男の人と契りを結んだことの無い処女ということだ。だから選ばれたということだよ。これからする事はあなたたちが一緒に来た人の前で説明するからね」
二人は、妙子の言葉に耳を疑っていた。巫女装束を着せてもらうだけと思っていたのに、本当の巫女にしたというからだ。しかも件の肌襦袢は巫女装束の下でボディスーツのように素肌を覆っていた。心地よい拘束感を与えながら・・・




