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OTRA VIDA  作者: 杜松沼 有瀬


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6.幻獣と加工と調剤と変人 11

 何が起きたのかわからなくて呆然としてる僕と違って、最中(モナカ)さんと生姜(ジンジャー)さんは当たり前のことみたいにしてる。どういうことなの、これ。そう思ってると、こっちに気づいた生姜さんが少し不思議そうにしながら。

「カナカくん、どうかした?」

 なんて聞いてきた。なんだろう、僕の反応がおかしいのかな。

「キュイ、キュキュイー、キュイッ?」

 なんか、ニニにも不思議そうにされてる。これは僕の反応だけおかしいやつだ。

「おん? 何をしとるんだ、お前ら」

 拠点の脇の方からそんな声が聞こえてそっちを見ると、伐採にでも行ってたのか、斧を肩に担いだ四月朔日(ワタヌキ)さんがいた。

「あれ、四月朔日どっか行ってたの?」

「おぅ、真鯛(マダイ)に言われて裏にバーベキュー用の鉄板台とピザ用のドデカい石窯を作らされとったわい」

「お、昼はバーベキューかピザかな」

「バーベキューは夜だと。今、昼用のピザを大量に焼いとるよ」

 呆れたように肩をすくめてみせた四月朔日さんに、最中さんと生姜さんは「真鯛だからねぇ」と返してるので、真鯛の刺身さんは料理が本当に好きなんだろうと思う。

 なんだか、僕の疑問は解決されることはなさそうな気はするけど、それはそれとしてピザってお店以外でも作れるんだっていうことに感心しちゃったや。僕の知ってるピザは、お店に頼んで届けてもらうものだったし、今の施設では出てこない料理だから、不思議な感じがする。

 四月朔日さんがやってきた方向を見ると、もくもくと煙が立ち上ってるのが見える。火を使うとやっぱりあんな風に煙がすごいのかな。そうなると、これから金属を使うってなったら熱で加工する必要があるから、火を使うわけで。その時にあんな風に煙が立つなら、結構大変かもしれない。どうしようかなぁ。工房内が煙で充満したらちょっと困るかもしれない。

「で、カナカ坊はどうした? なんかなやんどりゃせんかったか?」

 帰ってから、工房にもう備え付けられてた炉と、その炉を使うときのことについて考えこんでいたら、四月朔日さんにそう声をかけられた。……カナカ坊っていうのは、初めて呼ばれたけど。

「ん、光ったら拠点前にいたの、何だろうって」

「……おぅ?」

「あっ、もしかして帰還魔法が初めてだった? 普通の街間転移と同じだけど、転移先指定しなくても自動で拠点設定してる場所に飛べるんだよ」

 僕の言葉を聞いて、不思議そうな四月朔日さんの代わりに生姜さんが答えてくれたけど、チンプンカンプンなんだよなぁ。

 ただ、一つだけ理解できたのが、この不思議現象が魔法ってやつなんだということだけ。ガイカンテンイとか、テンイサキシテイとか、そもそも単語の意味が理解できないんだよねぇ……。

 テンイって転移なのかな。たしか、場所が変わるとかそういう意味だったよね? 場所を移動する魔法なのかな? 後でHELPで調べてみればわかるかな。

「帰還魔法は、まぁ珍しいじゃろな。少なくとも、今のところ生姜とグリグリのラプンツェル以外は取得できとらん特殊スキルじゃからな」

「……?」

 ぐりぐり? らぷんつぇる? またよくわかんない単語が出てきた。ただ、話の流れからして、後者はなんとなく人の名前なのかなって思う。ぐりぐりっていうのは、もしかしたらパーティーの名前とかなのかも。カササギさんのこのパーティーも「厨二病上等」って名前だし、それと同じ感じなのかもしれない。

 ……そういえば、このパーティーの名前の「()()()」って何だろう。後ろの「上等」は、良いものとかの上等でいいと思うんだよね。だから、その前の「厨二病」が良いものとかって意味だと思うんだけど。「病」ってついてるから、これって病気のことなのかな。でも、カササギさんって一応お医者先生みたいなもんなのに、病気を良いものとか言わない気がするんだよね。あそこでカササギさんに診てもらってるほかの子は、僕よりもひどい子がいっぱいいるし。

 っていうか、パーティーの名前って自分で決めるのかな。それともなんか勝手についたりするのかな。まあ、このパーティーってアクセサリーを作るだけなら特になくても問題ない気がするから、そこまで気にしなくてもいいのかな。ま、あとでこれはカササギさんに聞いてみよ。

「……あんたたち、なに揃いも揃って拠点の玄関前でたむろしてるんだい? 邪魔だからさっさと入りな」

 そんなことを考えてたら、煙が立ってた方から真鯛の刺身さんが腰に手を当てながらこっちを見ていた。改めて今いる場所を見回して、僕も含めて四人が拠点の入り口である玄関扉の前に固まってるのは、確かに邪魔だよね。

「ごめんなさい」

 真鯛の刺身さんに謝って、僕は扉の前から一歩退く。すると、真鯛の刺身さんは扉の前に立ったままだった最中さんと生姜さんを蹴り飛ばして扉の前からどかすと、僕の手をつかんで扉を開けて中に引っ張りこんだ。

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