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番の瞳  作者: 言葉
第八章:望む未来への道程
314/641

314.アリア≠アリア


離宮のアリアの部屋で、アリアはテーブルに並んだチョコレートを食べていた。

今朝、理由は分からないが、『今日から暫く学院を休むように』という兄からの言伝を持った侍女が来た。

勉強なんてなんの価値もないと思っているアリアにとって、兄からの言伝は願ったり叶ったりだった。


『!?』


「どーしたのぉ?」


突然何かに驚いた様子の相棒に、のほほんと問いかけたアリアが、また1つチョコレートを頬張る。


『結界に囚われたわ…しかも多重結界!?』


「結界?そんなのいつも城に張られてるじゃない。小煩い家庭教師が言ってたわ」


『あんな結界とは比べ物にならない結界よ!アナタもあたしもここから出られないのよ!1歩も!』


「え〜?別にアリアはチョコレートがあれば出なくてもいいわ。レオナルド様が来るわけじゃないし」


この短い会話の間にも、テーブルのチョコレートは次々とアリアの胃袋に消えている。

母であるアリシアに太ったと言われてから、さらに肉付きが良くなっている。


『あたしが困るのよ!ちょっと調べるから、代わりなさい』


「え〜、嫌よ。まだ食べてるもの」


『そもそもアナタだってその身体は借り物じゃないの。それに、それ以上太ったら、麗しのレオナルド様に捨てられるわよ?』


「なっ…もう!わかったわよ!貸せばいいんでしょ、貸せば!早めに終わらせてよ」


『ええ、代わるわよ』


アリアのダークブルーの瞳が、瞬時に赤みを帯びた。


「結界の魔力の感じからして、3人分、かしら?…これはマズイわね。解くには骨が折れそうだわ。あの子たちには一応指示は出しておいたけど…」


『まだぁ?』


「盗聴が怖いけど…念話を送るしかないか…っ!念話もダメなの!?どんだけよ、この結界!あー!ムカつく!」


『アンリ〜?』


「煩いわね、今戻るわよ!」


アリアの瞳がダークブルーに戻り、忌々しげに歪んでいた顔に笑みが浮かぶ。

その視線の先の焦げ茶色のチョコレートに、またアリアの手が伸びた。


「ふふっ、美味しい!」


『ムカつくくらい呑気よね…』


アリアとしては今日からは大嫌いな学院に行かず、大好きなチョコレートを延々と食べれる生活が続く事に、満足しかない。


「だって、甘くて美味しいのだもの。アンリも代わった時に食べたことあるでしょ」


『あたしは美貌に響く食事はしないのよ。あなたと違ってね、()()()


「もう、その名前で呼ばないでって言ってるでしょ」


()()()と呼ばれたアリアが、口を尖らせたが、目の前に睨む相手が居ないため、すぐにまたチョコレートを口に放り込む。


『とりあえず、貴方が寝たらまた借りるわよ』


「はいはい。寝てる間なら御自由にどーぞ」


アリアは手を伸ばした先にあったチョコレートが、残り1つと気付き、侍女を呼ぶためにベルを鳴らした。


『(そういえば、ミモザの身体に保管していた()()()()()はどうなったかしら…まぁ、もう輪廻の輪に戻ってるわね、きっと…)』


「なに?考え事?」


『何でもないわ』


部屋のドアが開き、侍女が来た。

その手には既にチョコレートが載せられたプレートがあった。


「さすがクレアね!ついでにホットチョコレートもお願い!」


満面の笑顔で言われたクレアは、感情のない声で「かしこまりました」と言うと、すぐに出ていった。


ようやく、この話を書くまで来ました!

長かったよー。

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