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番の瞳  作者: 言葉
第八章:望む未来への道程
313/641

313.攫われた2人。離宮の結界。


湿り気を帯びた空間が充満した部屋に、頼りない灯りがひとつ。

そこに3つの人影があり、ひとつは簡易ベッドに寝かされていた。

やがて、そのうちの1つが声を上げた。


「アンリエッタ様に起こす様言われたが…中々難解な眠りの魔法だな」


それに答える、もう1つの影。


「ああ、せめて魔法ではなく魔術ならばここまで手間取らなかったろうに…くそっ」


「なぁ、この術式…古の魔法じゃないか?こんな複雑な術式なんて、書物でしか見た事ないぞ?」


この2人はアンリエッタによって呪言と催眠を掛けられ、攫われた3人の魔術師のうちの2人。

そんな2人の視線の先には、眠ったままのサウルがいた。


「確かに…アンリエッタ様の話だとこれをかけたのは殿下らしいが…帝国一の魔術師というのは単なる噂では無かったんだな」


「お前、殿下の魔術見たこと無かったのか?殿下は相当な使い手だよ。ついでこの魔法を見るに、魔法に関しても帝国一かもしれないな。忌々しい事だ」


ハーレイを心底忌々しい、と語る2人は、数日前までは心からハーレイを尊敬し、敬っていた。

そんな尊敬の念もアンリエッタの呪言と催眠下にある今はきれいさっぱり消え、2人はそれすら覚えていないし、気付いていない。


「なんとかアンリエッタ様が来るまでに解かなければな…なぁ、アンリエッタ様が来るのはそろそろじゃないか?」


魔術師の1人が、暗闇で目を凝らして時計を見た。

アンリエッタが来訪する時刻は夕方だが、予定の時間は既に過ぎていた。


「城でなにかあったのかな?アンリエッタ様が来れなくなった時の指示は伺っているか?」


「ああ、1人はサウル様に掛けられた魔法を解き、もう1人はできるだけ多くの従魔を放ち、交互に2人を探せとの事だ。従魔は普通の闇系統の従魔でいいだろう。場所は魔の森の北側と聞いている」


「分かった。なら俺が先に従魔を放とう。サウル様とまではいかないが、なんとか魔力ギリギリまで頑張ってみるよ」


2人は頷き合うと、1人が部屋から退出し、階段を登っていく足音が響いた。




その頃城では、ハーレイとエヴァとミカエル、補助としてクラウスが離宮に結界を張る準備に取り掛かっていた。

アリアは帰宅前にサウル達と接触してしまうのを防ぐ為、学院は休ませ、ラングストンが学院に休学の申請を出した。

おそらくアリアがアンリエッタと離れない限り、アリアはこのまま学院には戻れなくなり、退学になるだろうが、事態が好転したらアリアがマトモになるかもしれない、と希望的観測で休学とした。


やがて多重結界の準備が終わり、タイミングを合わせた3人が、同時に結界を展開した。


主要キャラのいる場所が、ほぼ全員バラけているせいで、時間軸がズレすぎないようにとか、辻褄が合うようにとか、めっちゃ頭使ってます。

知恵熱でそう…!


間に合えば後でもう1話上げます。

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