第69話 秘密の告白・・
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僕は皆の方を向くと、
「実は僕のスキルについていろいろと説明することがあるのだけど、まずは見てもらった方が分かりやすいかな?」
というと、先ほど下処理を終えたターゲットに手をあてて、
「アイテムボックス」
とつぶやき、アイテムボックスに収納する。
この様子を見ていたチャロンを除く3人は、
「消えちゃった!」
と、目を丸くして驚く。
そりゃいきなり眼の前から消えたらびっくりするよね(汗)
「なくなっていないから大丈夫だよ。
今のは僕のスキルのアイテムボックスを発動して別の空間に収納しただけさ。」
「アイテムボックス!!」
と、3人がまた驚いて声をあげる。
「うん、まあ順を追って説明するから皆落ち着いてね。
その前にアカネちゃん悪いんだけど周囲に誰か潜んでいないか探知してくれないかな?
危険な生き物がいると落ち着いて話しができないし、もしかしたらお城からスパイが尾行しているかもしれないしね。」
「わ、わかりました!」
と言うと、アカネちゃんは気配察知スキルを発動して周囲を探索する。
「うーん、強そうな魔力は感じませんが、街の方向に向かって100mほど先に魔力の気配を感じますね。
誰かがこちらを伺っているようにも思えます。」
「ふむ、じゃあちょっと追い払っておくかな?
魔物だったら嫌だしね。」
と言うと、アカネちゃんが指を差す方向に向かって適当に狙いを付けて矢を放つ。
弓の仰角は先ほどターゲットキルした時と同じくらいで。
矢は放物線を描きながら静かに草むらに吸い込まれる。
「あ、気配が遠ざかって行きますよ!
矢に気がついて逃げて行ったようです。」
「了解だよ。ありがとう。
話を始める前に、立ち話もなんだから腰をかける場所でも作ろうかな。
チャロンは悪いけど「土いじり」のスキルで座れそうな高さの台を作ってくれるかい?」
「わかりました!」
と、チャロンが早速作業に取り掛かる。
ちょっと高さのあるお風呂の椅子のようなものをどんどん作って行く。
僕はそのあとを追うように「物体作成」スキルで椅子っぽいものの表面を固めてなめらかにする。
女の子達の服を汚すわけにはいかないからね!
そんな僕達の様子を女子3人は呆気に取られながら眺めている。
椅子っぽいものが5つ輪になってできたところで、
「さあ、みんな、大事な話をするから座ってもらえるかな?」
そう言うと僕は一番近くの椅子に座る。
両隣りにはチャロンと亜季ちゃんが座り、アカネちゃんと楓ちゃんが対面に座る。
どうでもいい話だけど亜季ちゃんはいつも僕の隣りのポジションを確保してるよね。
何か拘りがあるのだろうか?
皆が着席したのを見届けると、
「さあ、話を始めよう。
端的に言うと、僕のスキルの秘密についてだよ。
皆、僕のスキルが「お手伝い」で、ちょっとばかり要領よく他人のお手伝いができるって思ってるよね?」
「はい。スキル確認の儀式の際にそういう話をされてましたから。」
と、亜季ちゃんが答える。
「そうだね。それは正しいのだけれど、実はスキルの説明には続きがあってね。
どうやらあの時の鑑定士には見えなかったらしいんだけど。」
と言って、サブスキルの説明と、スキル確認の儀以降の僕の行動について説明する。
僕がこれまでに皆に教えてもらったスキルのほとんどを取得したこと、付与魔法を使って魔導具作成ができるようになったことなどを順を追って説明した。
ちなみに、僕とチャロンが使っている弓も照準機能などが付与された魔導具(上級)であることを説明したらとても驚かれた。
女子3人は信じられないといった顔をしながら話を聞いていたけれど、ふと我に帰ると、
「それって異世界召喚チートじゃないですか!」
「羨ましい!」
「タク先輩だけ不公平です!」
と口々に叫ぶ。
まあそうなるよね(汗)
「まあ、考えようによってはそうなるかもね。
その気になればどんなスキルも取得可能ってことだからね。」
「もしかして、スキルの儀式の前にクレア王女が言っていたレアスキル持ちって実はタク先輩のことでは?」
と、亜季ちゃんが聞いてくる。
「その可能性は高いんだよね。あの時も王国史上初って言ってたしね。
聖ちゃんの聖女スキルもレアっぽいけど。」
「でもそんなにすごいスキルなのにどうして黙ってたんですか?
クレア王女が聞いたらとても喜びそうですけど。」
「うん、そこが問題なんだよね。
普通の勇者のように戦闘系スキルや攻撃魔法に特化していたら、適当に5人パーティーを組まされて旅に出される流れになると思うんだけど。
僕のスキル、特に魔導具を作成可能な一連のスキルの事がバレたら、お城のスタッフとして雇用するという体で、お城に軟禁されるんじゃないかと思ってね。
各種属性魔法と付与魔法の両方を使える人はかなりレアらしいんだよ。」
「ああ、それはわかる気がしますね。
私がクレア王女でも囲い込むかもしれません。
魔導具を量産させて売却すれば大儲けですからね。」
「そうなんだ。だからスキルの件は内緒にしていたんだよ。」
と、一連の説明と質疑応答を終える。
「で、ここからがお願いと大事な話なんだけど・・、」
と、続きを話し始める。
「まず、お願いとしては僕のスキルの件はここだけの話で内緒にしておいて欲しいんだ。
もしクレア王女にバレると2度とお城から出られなくなるかもしれないからね。
そうなると元の世界に戻る以前に、魔王に会うための旅に出ることすらできなくなっちゃうからね。」
「それはそうですね。ご安心ください。
私達は後輩として、同じ被召喚者としてタク先輩の秘密を話したりはしませんから。
でも他のメンバーには伝えるのですか?」
「うん。機会があれば僕から伝えるから今のところは内緒にしておいて欲しい。
聖ちゃんや萌ちゃんはともかく、あの騎士と格闘戦士のコンビならどこかでうっかり話してしまいそうだからね。」
「そうですね、聖達はともかく、あの2人には知られないほうがいいでしょう。
お願いの件は承知しましたが、大事な話とは何ですか?」
と、亜季ちゃんが聞いてくる。
「うん、それなんだけど。
スキルの事は内緒にしているにも拘らず、趣味の料理やデザインの方で結構目立ってしまっているのは知っているかな?
近いうちにケン君の発案でこちらでデザインした服や道具の展示会をする計画なんだよ。
お城の各工房と商業ギルドが提携してお城のスタッフや一般への販売も検討中らしいんだ。
そうするとスキル云々に拘らず、お金を稼げる便利なヤツとしてお城に囲われる可能性も出てくるんだよね。
もしそうなったら、僕とチャロンは1ヶ月の訓練期間中にこっそりとお城から旅立つつもりなんだ。」
と、お城脱出計画があることを3人に伝える。
「「「ええっ!!」」」
と、3人ともとても驚いた様子である。
まあ、そうだよね。
「タク先輩は魔王に出会う旅に出かけないのですか?
魔王に会わないと元の世界に帰れませんよ?」
と、亜季ちゃんが質問してくる。
「うん、それなんだけど、僕はチャロンとも一緒に過ごしたいしね。
それにせっかくの異世界だから、ゆっくりとあちこち旅をしながら巡ってみるのも悪くはないかなと思ってね。
魔王に会って功績を認められたら、自分の望む過去の時点に戻して貰えるって話だし。
それに5人一組でパーティーを組んで魔王に会いに行けって言ってたけど、今回の召喚メンバーじゃないとダメ、とは言ってなかったからね。
もともと僕は1人余分に召喚されて余り物候補者だから、こちらの世界で気の合う仲間を見つけて旅をするのも悪くないかなって思ってるんだよ。
まあ、今のところは全く具体的なプランはないけど、冒険者をしながらあちこち旅をする予定さ。」
と言うと、3人は俯いて静かになってしまった・・。
特に亜季ちゃんは明らかに不機嫌そうである。
亜希ちゃんは振り絞るように声を出すと、
「タク先輩の事情はわかりました・・。
確かにお城に軟禁されるくらいなら、こっそりと抜け出したほうがいいかもしれませんね・・。
でもそうなるとこっちの世界では2度とタク先輩に会えなくなるかもしれません・・。
なのでもし旅立つ計画を発動する場合は、私達にも声をかけてもらえませんか?
あいさつもせずに会えなくなるのはイヤですから・・。」
と伝えてくる。
僕は、
「もちろんだよ。皆に黙って出ていくことはないさ。
少なくともこのメンバーには事前に伝えたうえで出発するよ。
なので、今は野外訓練のメニューをしっかりとこなしておこう。
訓練期間は残り20日しかないからね。
遅かれ早かれ出ていくことには変わりはないさ。」
と答える。
そうなのだ。
どちらにしろ旅立つ必要があるんだから訓練期間中にできるだけ経験を積んでおかないとね!
亜季ちゃん達は顔を上げると、
「そうですね!今できることをやりましょう!」
「私も早くパートナーをテイムしますから一緒に探してください!」
「弓術の修行はまだまだ始まったばかりです!」
と元気よく返事を返してくる。
うん、調子を取り戻してくれたようだ。
じゃあ、皆にはご褒美を兼ねて元気がでるプレゼントをしようかな?
「皆がやる気を出してくれて嬉しいよ。
実は皆に渡そうと思っていたプレゼントがあるんだよ。
受け取って元気を出してくれると嬉しいな。」
と言って、予め準備しておいた魔道具のセットをそれぞれに配布する。
各人用のバッジの魔道具と、「点灯」「点火」「放水」の魔道具のセットだ。
亜季ちゃん達は受け取った魔道具を不思議そうに見ている。
ここは説明が必要だね。
「まずはバッジの魔道具を説明するね。
もうチャロンと僕は着用しているけど、これはいろんな機能を服に付与する優れものの魔道具なのさ。」
と言って、各機能と使い方を説明する。
早速皆にバッジの魔道具を戦闘服の胸に着用してもらって、魔力を流して魔道具を起動してもらう。
すると「汚れ除去」「破れ防止」「耐火」「耐熱」「耐寒」「内部快適温度・湿度」「防水・透湿」の効果がすぐに現れたようで、みな「おおー!」と驚いてくれる。
「タク先輩、これはいいですね!
服の中とブーツの中が一気に快適になりました。
これはもう野外行動の必需品ですね。特に暑い季節と寒い季節は重宝しそうですよ!」
と亜季ちゃんが絶賛する。
楓ちゃんとアカネちゃんもウンウンと頷いている。
「しかも、ちゃんと私達のスキルに応じたデザインになっているあたりがスゴイですね。
こういう気配りが嬉しいですね。」
と、亜季ちゃんが付け加える。
残りの2人も同じく頷く。
「なら、残りの魔道具も喜んでもらえるかもね。
これらは「点灯」「点火」「放水」の3点セットだよ。
屋外のキャンプできっと役に立つと思うよ。」
と言って、使い方を実演する。
それぞれの魔導具から光や種火や水が発生するのを見た3人は、「おおー!」と驚きを隠せない様子である。
「タク先輩!!これはキャンプには必需品のギアですね!!
まさにこんな道具が必要だと思っていたんですよ!
元の世界と違ってこういった便利グッズが全く見当たらなかったのでどうしようかと思ってたんですよ!
最悪は木を擦り合わせて火をおこすしかないと思っていたので。」
と、アカネちゃんが3点セットを絶賛する。
「この世界には生活魔法があるからね。
魔法がある分だけ道具作りが発展してなかったかもしれないね。
でも皆は生活魔法が使えないといろいろ困ると思って作っておいたんだよ。
まあ使ってくれると嬉しいな。」
「もちろんですよ!大切に使わせていただきますね!!
ああ、でもこんな便利な道具なら、売りに出せば購入者がたくさんいると思いますよ。」
「うん、僕もそう思っていて、旅に出たら様子を見ながら販売しようかなと思っているんだよ。
商業ギルドに売り込んで著作権登録とかもするつもりさ。」
「それがいいですよ!
こんなのを見ていたら早速使ってみたくなりました!」
「いいね。じゃあちょっと早いけどお昼ごはんにするかい?
一仕事終わってちょうどいいタイミングだしね。」
「「「「賛成です!」」」」
と、女子4人が元気よく答える。
「じゃあ、早速準備しよう。
異世界初のキャンプ料理はプチナンドックと野菜のスープでも作ろうかな。」
と言うとアイテムボックスからパン生地や野菜などを取り出す。
「じゃあみんなでキャンプクッキングだ!手伝ってくれるかい?」
「「「「はい!」」」」
と、みな元気よく答える。
うん、若いうちは食べることにはポジティブだよね!
それでは早速異世界キャンプ飯を楽しもう!
最後までご覧頂きありがとうございました。
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