第22話 異世界初の剣術訓練
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慌ただしい午前中であった。
ハンバーグをたくさん作って、ハンバーガーも食べることができて気分もお腹も満足である。
ちょっと遅めの昼食後にお城の中庭でチャロンにお茶を淹れてもらって休憩中である。
「ふー、肉料理のあとはさっぱりしたお茶が美味しいね。」
「午後は何の訓練をしますか?」
「そうだね。昼食のボリュームが多かったから次は体を動かしたいね。」
「では、騎士団の訓練場で剣術とか体術の訓練でもしますか?」
「いいね。お茶を飲み終わったら案内をお願いするよ。」
「了解です。私もちょっと支度してきますね。
ゆっくりお茶を飲みながらお待ちください!」
というと、チャロンは風のように去っていった。
いったい何の準備をしに行くのだろうか?
◇◆
10分ほど経ってからチャロンが戻ってきた。
が、何故かメイド服から騎士団が着る訓練用の服に着替えている。
僕が今着ているものと同じやつだね。
昨日チャロンが持ってきてくれたやつ。
「どうしたのその格好?」
「もちろん私も一緒に訓練しますよ!」
「え、チャロンも剣術とかできるの?」
「もちろんです!
コヨーテ族は肉食系ですから狩猟や戦闘に関する技能は1通り子供のうちに親から習うのですよ。
ちなみに私は武器は短剣と弓が得意ですが、片手剣と短槍も使えますよ。」
「チャロンって、できること多すぎない?」
「お城勤めに採用される女性は皆ある程度の戦闘技能はありますよ。
いざとなったら王族の護衛や城の防衛のために戦いますからね。
なのでメイドだと思って下手に手を出すと痛い目をみる場合がありますよ。
気を付けてくださいね。」
うん、気をつけます。
なんかメイド服のスカートの中に暗殺用の武器とか仕込んでそうで怖い(汗)
「では訓練場にいきましょう!」
チャロンはそう言うと僕の手を引いて歩き出した。
また手つなぎスタイルで城内をうろつく感じだね。
すれちがう他のメイドさん達が生暖かい目でみている。
うう、恥ずかしいが気にしないでおこう。
勇者たるもの堂々とせねば!
「着きました!」
騎士団の訓練場にはすぐ到着しました。
生暖かい視線のせいで、やたら長く感じたが・・・。
騎士ボーイと格闘戦士ボーイは今日も訓練していた。
うむ、真面目で良いことだ。頑張ってくれたまえ。
彼らのような前衛タイプが成長すれば旅の道中も安全だろうからな。
僕は、僕とチャロンの身を守れるようにこちらの世界の剣術と体術を身に付けよう。
まあ、ほどほどにね。
「さあ、早速始めましょう。タクさんは武器は何にしますか?」
「うん、そうだね。
こちらの世界で一般的な武器って何かな?
旅に出るなら入手しやすい武器がいいと思ってるんだけど。」
「それでしたら両刃の片手剣ですかね。
長さもほどほどで扱いやすいですし、持ち運びもかさばりませんからね。
強度もあるので魔物や肉食動物相手に戦っても折れたりしませんから。
勇者様方の中にはカタナという片刃の反りのある両手剣を選ぶ方もいますが、使い方にコツが必要なのと、旅先で手入れ等ができないので、パーティーメンバーに鍛冶士がいないと苦労するらしいですよ。」
「じゃ、片手剣でいいね。」
「それでは、片手剣サイズの木剣を持ってきますので少々お待ちください。」
チャロンが木剣を取りに行ってる間に剣士ボーイの訓練を見てみると、騎士相手に模擬戦をしていた。
相手の騎士はなかなか強いようで、剣士ボーイは防戦一方になっている。
うん、がんばれ。強くなって吟遊詩人に吟われるくらいの剣士になるのだ。
応援はしよう。
「木剣を持ってきましたよ!さあ、訓練開始です!まずは素振りからいきますよ!」
チャロンのかけ声に合わせて、左右の切り降ろし、切り戻し、横なぎ、付き等の基本の型の素振りする。
うん、見よう見まねで振ってたら動きがスムーズになってきた。
スキルの効果だね。
「次は防御の練習です。
私が見本を見せますから、先ほどの型のとおりにゆっくり切りかかってきてください。」
僕は切り下ろし、切り戻し等でゆっくり切りかかると、チャロンが受け、払い、いなし等の型を実演してくれる。
攻めと受けを交代して僕が防御の型を練習する。
うん、これも見よう見まねだが、2~3回くり返すとスムーズになってきた。
「いいですね!タクさんはセンスがありますよ!何をやってもコツをつかむのが早いですね!
次はゆっくりと乱取りしましょう。
攻めと防御を交互にリズムよく繰り返すイメージですよ。」
うん、いいね。気分が乗ってきたよ。
昔、剣道の道場に通っていたころを思い出すね!
切る、受ける、突く、いなす、を交互に繰り返しているとリズムよく打ち合えるようになった。
チャロンがどんどんスピードを上げてきたが、頑張ってそれについていく。
気がつけば、訓練場にいた騎士たちも僕たちの乱取りをチラチラ見ているようだ。
まあ、かわいいチャロンがバシバシ打ち込んでたら気になるよね。
「ふう、いい感じですねタクさん!
あとは毎日コツコツ繰り返せば型が身に付きますから、しっかり訓練しましょうね。
といっても旅の途中の護身なら既に十分かと思いますが。
私のスピードについてこれる盗賊はめったにいませんしね。」
「え、盗賊なんているの?」
「いますよ。人気のない街道や山道で襲ってくる冒険者崩れの盗賊がたまにいるんですが、所詮は冒険者としてやっていく実力がない連中ですので、たいしたことはないですよ。」
「因みにやっつけた盗賊はどうするの?」
「街の入り口にいる衛兵につき出すと褒賞金をもらえますが、そんなに多くないですし、連れていくのも大変なので、大体は殺してしまうか、身ぐるみ剥いでしまって縛って放置ですね。
どちらにしても魔物や野生の肉食動物が処理してくれるので、その方が楽ですね。」
「盗賊は殺しちゃっても問題ないの?」
「はい、放置しておけば善良な旅人が殺されちゃいますし、向こうもこちらを殺すつもりで襲ってきますから、慈悲をかける必要はありません。」
「なるほど、そりゃそうだよね。」
うん、盗賊に関してはテンプレでした。
まあ、確かにそれが適当だよね。
下手に生かしておいても扱いに困るだろうしね。
でもそんな物騒な連中がいるなら護身できる程度の戦闘力は身に付けないとね。
かわいいチャロンにもしもの事があったら大変だからね。
などとチャロンと雑談していたら、見知らぬちょっと大人の騎士?が声をかけてきた。
「失礼。そちらの召喚勇者殿は剣士のスキルをお持ちなのか?
あ、私は騎士団第1中隊第1小隊長のタスカという者です。」
「初めまして。タスカ小隊長殿。私はタクと申します。よろしくお願いいたします。
残念ながら私のスキルは剣士ではなく、ただの『お手伝い』ですよ。
自分の護身くらいはできるようにこちらのチャロン先生から手ほどきを受けていただけです。」
と回答する。
チャロンとの乱取りが思いがけず目立ってしまったので、本物の騎士が絡んできてしまったようだ。
まさか異世界テンプレの絡まれデビューが騎士団からだったとは。
ここは謙虚に実力無しをアピールして早々にお引き取り願おう。
「ふむ。見る限りただのお手伝いではなさそうでしたがな・・。
鍛えれば上級の剣士になれる素質をお持ちのようだ。
もしよろしければ我々も訓練に協力しますので、何時でもお立ち寄りください。
騎士達も勇者様方との手合わせを楽しみにしておりますので。」
と、タスカ小隊長はいやらしい半笑いを浮かべながら後ろを見た。
ふと向こうを見ると、騎士ボーイが大の字になって伸びていた。
横には彼が使っていたであろう両手剣の木剣が転がっている。
うん、これはいわゆるあれだな。やっかみから来る”かわいがり”ってやつだな。
てゆうか、騎士ボーイ、君は剣道部じゃなかったっけ?
勇者が1ヶ月後に旅立って、基本的に戻ってこないのをいいことに、実力がつく前に訓練と称した洗礼を浴びせるってやつだな。
クレア王女は城のスタッフは勇者の訓練に丁寧に対応すると言っていたが、中には気にいらない者もいるのだろう。
いろんな点で特別扱いされているからね。
普段ならトラブルを避けて通るところだが、あからさまに下に見てくる態度も気にいらないし、高校の後輩である剣士ボーイもシゴかれちゃったようだしね。
ここは一つ釘を刺しておくところかな。
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