表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/147

第20話 解体を学ぶ

いつもご覧いただきありがとうございます。

 気を取り直して工房めぐりを開始することにした。


 まずは料理関連の作業場を見て回ることにした。

 毎日おいしい食事ができてるから気になるよね。


「それでは料理関連の作業場を順番に回っていきましょう。

 まずは解体の作業場からですね。」


 おお!解体!

 やはり異世界といえば狩猟からの解体が必須だよね。


 元の世界では動画投稿サイトでジビエ系の動画をよく見ていたものです。

 いつかハンターになりたいな〜と思ってたからね。


「おお!いいね!是非お願いします!」

 とチャロンに先導をお願いした。


 チャロンに案内された解体作業場は思っていたより小ぶりだった。


 使用人等が食べる分はだいたいは街の精肉業者が捌いたものを納入してくるので、ここで一から解体するのは王族等のVIP向けの高級品だけらしい。


 今日は王族の夕食のシチュー用の獲物を解体するとのこと。


 なんでも高級品のフワフワウサギ(なんか毛皮がやけにモコモコしたウサギ)が納入されたので解体作業場のチーフが自ら解体するとのことである。


 ふむ、ちょっと目利きをしてみようと思い、作業台の上に乗っているフワフワウサギに「目利き」とつぶやき、スキルを発動する。


・フワフワウサギ:肉も毛皮も高級品。

         ただし警戒心がとても強く相当腕のよい狩人じゃないと捕獲できない。

         その分高く売れる。


 おお、ちゃんと目利きできた!


 旅の途中でこいつを発見したら忘れずに捕まえよう。

 弓でしとめるのかな?

 あとでチャロンに聞いてみよう。



「チーフ、おはようございます。邪魔にならないように見学させていただきますね。」


 と、チャロンに断ってもらってから解体の見学に入る。

 

 手順は元の世界とそうはかわらないようだ。

 吊り下げ台に吊るして毛皮を丁寧にはいでいく。

 毛皮も装具等に利用するそうだ。

 

 服を脱がすようにスルンと毛皮が剥がれていく。

 ナイフの先から風魔法で風を出すと剥ぎやすいらしい。

 圧縮空気を吹き付けてめくっていく感じか。フムフム、参考になるな。


 あっという間に身ぐるみ剥がれたフワフワウサギのお腹を割いて中身を取りだし、手足と頭をカットして、まな板の上に乗せると素早く部位別にカットされた。


 熟練の早業である。さすがはチーフ。


「たいへん参考になりました。ありがとうございましたチーフ。」


 とお礼を述べる。


「おう、チャロンのお願いなら問題ないぞ。参考になったのなら何よりだ。

 おめえも解体手伝ってみるか? 

 今日はたまたま弟子の訓練用に普通のノウサギとかニワトリとかも仕入れてるから練習がてらにやってみろ。

 解体ができると旅に出たら便利だぞ。」


 なんと、やらせてもらえるようだ。

 このチャンスを活かすしかない。


「是非お願いします!」


「おう、となりの部屋にいる弟子に声をかけて一緒にやってやってくれ。

 チャロン、案内頼んだぞ。」


「はい、チーフ!」


 チャロンはそう答えると僕を連れて移動する。

 フムフム、使用人用はお弟子さんが修行がてらに担当するのね。


「タクさん、ノウサギとかニワトリの解体なら私も得意ですから一緒にやってみましょう!」


 そういうと、チャロンはお弟子さん達にことわって道具と場所を貸してもらう。

 

「さあ、習うより慣れろ、です。私と同じようにやってくださいね。」


「チャロンも解体できるの?」


「もちろんですよ。

 コヨーテ族は肉が好きですからノウサギくらいなら自分達で取って捌くのは基本ですね。

 小動物の解体は成人前までに必ずできるように仕込まれますね。」


 おお、そうなんだ、さすが肉食系獣人・・。

 兎族の獣人はどうなんだろうと思ったが、さすがにノウサギを解体しながらは聞きにくいな。


 チャロンの手元を見ながらナイフをノウサギに当てて皮を剥いでいく。

 うん、見るのと実際にやるのとでは違うね。

 ナイフの刃の当てかたにコツがいるのかな?


 見よう見まねで『吹き付け(ブロア)』の魔法を発動し、ナイフの先から風がでるように調整する。

 その状態で刃先を皮と肉の間に差し込むと楽に剥げるようになった。

 おお!いい感じだぞ!


 なんとか、一頭丸ごと皮をはいで、中身も除去できた。

 

 次に部位毎に切り分ける。

 部位の境目が分かりにくいが、チャロンが見分け方やナイフの入れ方を教えてくれたので言う通りにしてみると上手くできた。


 うむ一丁上がり。

 いや一匹?それともウサギだから一羽かな?


 感覚を忘れないうちにもう2、3回やってみよう。

 

 今度はチャロンに見守ってもらいながら自分なりにやってみる。

 たまにチャロンにアドバイスをもらいつつ何とか一人でできるようになった。

 これで旅にでてもウサギなら何とか自分一人で捌けるだろう。

 

「次は鶏をいってみましょう!」


 とチャロンがまるっと太った鶏が入ったカゴを持ってきた。

 よく見たらまだ生きてないかい?


「活きがよさそうな雄鶏達ですね、ジュル・・。」


 とチャロンは既に食べる気マンマンです。さすが肉食系・・。


 結局、絞める⇒羽を毟る⇒解体⇒部位分けまでチャロンの指導のもと訓練し、一人でできるようになった。


 元の世界の動画で知識があったとはいえ、やはり「お手伝い」スキルの効果は大きいね。

 作業のコツが見てるだけで何となく掴めるし、解体作業にも違和感を感じないしね。

 生きたまま絞めたりするときも。



「ついでに魚もいっときましょう!」


 と、チャロンがザルに入ったニジマス?のような大きな淡水魚を運んできた。


「ニジマスですね。近くの湖で養殖してるんですよ。

 養殖も過去の召喚勇者様が導入された事業です。

 あまり大量ではないんですが、王族や王都に住む貴族の家庭で消費できるくらいの出荷量はあるんですよ。」


 なるほど。このような社会の発展に繋がる技術や文化の導入を王族は望んでいるのか。

 僕には何かできるだろうか?


 てゆうか、魚の名前はニジマスだったのか?

 そのままじゃん!


 まあ、まずは目の前の魚達を捌いていこう。

 魚は料理部やボーイスカウトで捌いてたから大丈夫だろう。


「3枚におろせばよいかい?」


「はい、多分ムニエルなんかにすると思いますので、3枚下ろしで結構です。」


 チャロンと一緒にどんどん3枚におろしつつ、トレーに並べていく。

 城の使用人のみなさんの昼食の分くらいは十分にあるだろう。


「タクさんは魚の捌き方は既にご存じだったのですね。いい手際でしたよ。」


「元の世界でもちょっとやってたからね。チャロンもいい手際だったよ。さすがだね。」


「解体はこれくらいにしておきましょう。

 あ、解体作業後は全身に『汚れ除去クリーン』の魔法を忘れずにかけましょうね。

 匂いや汚れが残ってると衛生上よくないですからね。」


 うん、確かに。血や生臭さが残ってるといろいろ良くないよね。

 

 チャロンは種族的に匂いに敏感そうだから気をつけておこう。


 臭い、とかって言われて嫌われたくないからね(汗)。


最後までご覧いただきありがとうございました。


感想など頂けると幸いです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ