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白いカーネーション

第三十話(最終話)


 ◇◇◇◇◇


2022年1月


年が明けても、私たちには何にも

関係ない、本当の年明けがくると

信じて過ごしていた。


病院食は一応、お節らしき雰囲気だったが

美佳はほとんど食べれない


体重は10kgは減り、

髪の毛は無い

私はウィッグを買ってきたが

似合わないからいいと言って

一度もした事がなかった。

美佳らしい

それでも寒いのでニット帽を

かぶっている


 ◇◇◇◇◇


2022年2月


一年で一番寒い2月

雪が何度も降り、積もっていた


楽しみにしていた、積もった雪も

見ることはなく


美佳はそんな寒い辛い冬を耐え忍び


もうすぐ春が近づいていた•••


 ◇◇◇◇◇


2022年3月


「あの震災からもう27年も経って

 しまったんだね」

 とベッドに横たわる君のよこで

 そっとつぶやいていた。


窓からは春先の優しい風がながれ、

カーテンが揺れていた。


あの時桜を見にいこうと言った日と同じ

もうすぐ桜の季節、窓から見える

あの木もきっと

綺麗な花をさかせるんだろうね・・


「心地よい風だね?大丈夫?

 寒くないか?」と

 たずねると目はとじたまま

 ちいさく美佳はうなずいた。


きっと窓からの日差しが

眩しいんだろう、

うっすら目をあけて外を眺めて

美佳も27年前の事を思い出していた。


顔色はよくなっていた

副反応からは逃れられないが

抗がん剤治療の効果が出ているのか



先生が来られ

『弓弦さん、明日検査をしますね』

『いつものMRIとPETもしましょう』


「美佳、きっと良くなってるよ」

「顔色もいいからね」

 過度な期待をさせない程度にポジティブに言った


「そうだといいけどね」

「体調と身体の中はなんともいえないからね」



翌日、検査のあと結果を聞いた


『弓弦さん』


『肺腫瘍は他には移っていません』

 それと、遠隔転移もありませんでした


抗がん剤治療は頑張ったおかげで

小さな癌細胞もほぼ無くなっています

PETでも出なかったので大変良い状態と言えます


この状態でしたら、抗がん剤も投薬に変え

通院での治療が可能です

もちろん、しばらくは3か月毎の検査は必要です


「先生、退院できるのでしょうか?」


そうですね、

『来週には大丈夫だと思います』


部屋に戻り、2人は抱き合って

喜んだ、大泣きしていた


「美佳やったね」頑張ったかいがあったよ」


「うん、良かった」


「本当に帰れるだね」


「このまま、病院で

 終わっちゃうかもってずっと思ってた」


「ほんとよかった」



退院の日


「最後の診察に行って、それから退院だね」


「昼ご飯は出てるから

 それをいただいてから帰ろう」


『弓弦さん』

『そうしましたら、2週間後に予約して

 来て下さい』


「はい、ありがとうございました」


「美佳、ご飯食べている間に少し

 買い物行ってくるね」


「食べ終わる頃には戻ってきます」


「行ってらっしゃい」

美佳の元気な声が戻っていた


「行ってきます」

そう言って真は病室を出た

プロポーズの花を買いにいったのだ

 


「それを3本下さい」

支払い、お店を出て早く戻るため

急いでいた



信号は赤

信号を待ちながら真は考えていた


27年前の住吉駅のあの言葉

「パパずっと一緒にいて」

 の返事をしていなかった

 あの時は気づいてやれなくてごめん


「美佳 一緒にずっといて欲しい」


それと今まで言ってはいけないと

言い聞かせ一度も言っていなかった


「愛しているよ美佳」


 を早く言いたかった


この花を渡して直接言おうと思った



信号が青に変わり

美佳にもうすぐ帰るよとメールを送信し

急いで病院に戻ろうとしたとき


右から来たワンボックスカーに

衝撃とともに跳ね飛ばされ宙に舞った

目の前がゆっくりと360度回転するのが

見えた、次の瞬間向かいから来た車にひかれ

即死だった……


真のからだの遠くに、靴とスマホが

落ちていた、手に握っていたメモと

白いカーネーションが

赤く染まっていた••



桜を見にいく事はできなくなったね……




「パパ」

「桜の木の横にある

 木蓮の花が咲いているね」

「真白で綺麗だよ」


        「そうだね、美佳」


「うしろを振り返る」

「あれパパがいたような気かしたのに…」


「もうすぐ帰るよってメール来てたから

 帰ってきてたと思った」


「パパ遅いね……」

           


•••••          


誰からも望まれない恋をすると

周りの人たちは苦しみ、悲しみ、

恨みを持ち不幸になる


ただそれ以上に辛い思いをしたふたりを

許してやって欲しい

悲しみを背負い生き続けていく苦しみを

罰だと思わなければいけない辛さ

誰を恨む事も出来ない……


               •••••



   白いカーネーションの花言葉

       「純粋な愛」

     「私の愛は生きています」






これで完結となります。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


ご感想、ご評価いただけますと幸いです


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― 新着の感想 ―
[一言]  私小説とのことですが、不倫をして別れてお互いに配偶者と離婚した。また巡り逢った、でも添い遂げる事は出来なかった。因果と言えば因果かもしれません。  いわさきさんの中の人が真なのか美佳なの…
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