27話 地下室内
地下に部屋は、一見普通の石でできたような部屋だった。
地下に行ってから俺たちはもう小一時間ほど調べるが、隠し部屋はなかなか見つからなかった。
魔力隠蔽が丁寧すぎるのか、それとも俺達が鈍いだけなのか。
まあ後者に関しては俺はともかくミスラは元死神だからないと行ってもいいだろうが。
「ふう、全然見つからないな」
「そうだね......魔法で作った部屋なら絶対魔力隠蔽がかけられてるはずなんだけどなあ」
「ここらで少し休憩にしないか?」
「見つからないのは少しもどかしいけど......そうだね、休憩にしよう」
ゴトンッ
俺が休憩をしようと壁に手をつくと、その場所にあった二メートル×二メートルくらいの石の壁が五十センチメートルくらい奥に入った。
「っと、なんだこりゃ」
ヒュッ!
と言ったのが先か、この地下室の床が全て消えて俺たちは空中へ投げ出された。
「うおいマジか!」
「ちょっ、ユズキなにやってるの!」
「ごめんて!俺もまさかこんなことになるとは.......」
謝罪する時間すらも存在してしまう滞空時間。
しかし、二言目を発しようとしたその時、その滞空に終わりが来た。
ボヨンッと大きく音を立てて跳ねると、何度か同じように跳ねたのちに少しずつ跳ねは収まりらやがて完全に止まった。
下にあったのは、部屋一つ分くらいはあろうかと言う大きなキノコだった。
どうやら、キノコはキノコでも魔素による成長を受けたキノコがこうなるそうだ。(ウィンドウペディア調べ)
「あ、ミスラあれ」
「ん?ホントだ、穴みたいなのがある」
と、キノコの傘の一番端の方に穴のようなものを見つける。
よくよく見てみればそれはどうやら通路のようで、ご丁寧に梯子まで付いていた。
梯子を降りると、幅が四メートルくらい、高さが三メートルくらいの通路に出た。
その通路からは部屋につながるらしきドアのようなものが複数見える。
俺は取り敢えず部屋に入ってみて人がいるかどうかの確認がしたかったため前に進んだのだが、進まなかった。
正確に言うと、進めなかった。
二メートルくらい歩いた地点で、見えない壁に阻まれたようでそれ以降歩けない。
どうやら結界が張られているようだ。
と、ここでウィンドウ。
「結界...中級魔法の一つ。
基本的には魔法、物体の侵入を阻止する魔法。
術者次第では指定物体を通すことも阻むことも可能。
また、結界は破壊か術者による許可か解除が無ければ通れる事はない」
つまり術者が見当たらない今、これを俺たちは壊さなければいけないようだ。
と、ミスラを見てみるがミスラはゆっくりと首を振る。
「ボクは目が覚めてから力があんまり出ないんだ。今は下級結界でも壊せないんじゃないかな」
とのことだ。
と言っても、俺も今[上級封印]をかけられている身として、大規模魔法は使えない。
という事で破壊が厳しいのだが......
それにしてもいい案はないか、などと考えていた所で俺に電流が走る!
いや、電流が走ったというわけでもなく、ただミスラが「下級魔法の[圧迫]使ったら?」と言っただけである。
しかし[圧迫]か。
俺は使ったことが無いが、一点を対象に圧力をかける魔法らしい。
俺はミスラに言われるままに[圧迫]を使うが......
結界はビクともしなかった。
おそらく一点であの威力では足りないのだろう。
そしてここで俺に電流が走る!
いや、本当に今回は電流が走った。
[雷罠]の[集中]と[網状化]を[圧迫]にかければ力をかける面積の増加、力量の増加により壊れるのでは無いか。
[集中][網状化]についての補足。
[集中]は2秒ほどの”溜め”を入れることにより魔力の消費と同時にかけた対象の魔法の威力が四倍になる魔法である。
[網状化]はその名前の通り魔法を網状に広げる能力である。
そして、[圧迫]にこの二つをかけて結界に当てた結果......
結界はパリン、と音を立てて壊れた。
下級魔法で何故壊れるのかと言えば、俺が魔法を三種類同時に魔法陣展開したからであろう。
この世界の本(宿に置いてあった)曰く、この世界の人間は大抵同じ魔法の多重展開ならいざ知らず、違う魔法の多重展開は二重が限界とのことだ。
昔伝説になった魔法使いも八重が限界だったそうな。
それも昔の話で、今の時代では宮廷魔導師ま二重が限界だという。
「おい!誰だお前たち!」
「そこで手を上げて膝をつけ!」
と、音を立てて割れた結界に駆けつけた二人の男に俺たちは槍を向けられホールドアップさせられるのだった。




