表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶え損ないの人類共  作者: くまけん
第一章 チェルド大陸編
48/1030

第44話 「お屋敷調査」

 俺はまず庭に出て、件の防犯装置について調べてみた。

 ソフィーに尋ねた所、この屋敷にはいくつかのセキュリティシステムがあって、エリックが発見したのもその一つらしい。

 屋敷中を一通り見て回ったが、侵入経路として使えるのは正門と裏口だけのようだ。石壁を登って侵入しようものなら、目に見えない光線(業界ではインフラレッドレイズというらしい)に探知される。

 正門と裏口には厳重な施錠がされており、力ずくで侵入することは不可能だ。ソフィーが鍵を開けないと入れない。

「……ん?」

 ちょっと待て。犯人はどうやってこの庭に侵入したんだ?

 調べた情報が確かなら、ソフィーの許可無しで庭に入ることは出来ないはずだが。

「聞いてみるか」

 俺はソフィーを探した。ソフィーは屋敷内の調理場で、子供達の夕食を作っている所だった。

「ソフィーさん。事件当日に、犯人を屋敷に招いたりしましたか?」

 ソフィーは調理の手を休めることなく、返答した。

「……何言ってるんですか。そんな訳無いじゃないですか」

 まあ、そうだろうな。ソフィーは犯人を「見知らぬ男」と言った。そんな男を屋敷に招いたりしないだろう。

「そうですか」

 うーん。では犯人はどうやって庭に入ったのか。


 ソフィーがオーブンを使っている時に、そのアクシデントは起きた。

「あら?」

 ソフィーはオーブンのボタンを何度も押しているが、オーブンはうんともすんとも言わない。

「壊れたのですか? この前買ったばかりなのに」

 ソフィーはオーブンをぺしぺしと叩いているが、やはり反応は無い。

「お困りのようですね」

 いつの間にか調理場にいたエリックが、ソフィーの元に近付いた。

「壊れたんですか?」

「はい。そうみたいです」

 するとエリックはオーブンを触り、まじまじと観察した。

「俺が直しましょうか?」

「え! いいんですか!」

「お任せ下さい」

 エリックはポケットからスパナとドライバーを取り出し、オーブンの一部を分解し始めた。

「こう見えても俺は工場長なんでね。電化製品の修理なんてお手のもんですよ。10分くらい待ってて下さい」


 エリックが自信満々に修理を始めてから10分後。修理を終えたエリックが、オーブンのボタンを押した。オーブンは軽快な機械音を鳴らし、正常に作動した。

「はい、直りました」

「すごい! ありがとうございます!」

 ソフィーは頭を下げ、ポケットから財布を取り出した。

「あ、いいですよお金なんて」

 エリックは手を前に出して代金を断った。

「でも……」

 ソフィーは申し訳なさそうにエリックを見る。

「お気になさらず。これもアイズの活動ですから」

 エリックは「それでは」と言って調査活動に戻っていった。

 流石はエリックだ。やはりあいつは、機械を弄っている時が一番輝く。

 前に聞いた話だが、エリックはチェルダード王国で市販されている全ての電化製品の構造を把握しているらしい。

 俺には想像も付かない知識量だ。エリックのそういう一面は尊敬に値する。

「すごいですね、エリックさん……」

 ソフィーが感嘆の声を漏らし、エリックをじっと見つめていた。


 捜査がしばらく続き、夜が近くなった頃。

 ソフィーが俺達全員に声をかけた。

「今日はもう遅いので、よかったら泊まっていかれませんか?」

 別に宿に困っている訳ではないが、折角のご好意は受け取っておくか。

「では、お言葉に甘えさせてもらいます」

 まだ調べたいこともあるしな。

 庭で調査していた俺は、屋敷へと向かった。

「クロム隊長」

 ミミが俺の袖を引っ張り、引き止めた。

「どうした、ミミ」

「さっき庭の家庭菜園を見たんですが……。あそこ、毒草が栽培されてました」

 ミミの報告に、思わず息を飲んだ。

「どんな毒だ」

「筋肉の動きを鈍くする毒ですね。一定量摂取すると、まともに体が動かせなくなります。あと、神経を敏感にする効果もあります」

 あまりいい使い方はされなさそうな毒だな。

「一応警戒しておくか」

「はい。念のため、これを皆に配っておきます」

 ミミはポケットから錠剤カプセルを一粒取り出し、俺に手渡した。

「お気をつけて」

 そう言ってミミは屋敷に入っていった。

 カインズやエリック、ユリーナも屋敷に入った。

「……何も無いといいが」

 クライアントのことは信じているが、警戒を忘れるつもりは無い。

 俺は錠剤を握り締め、屋敷へと足を踏み入れた。


 俺達は夕食をご馳走になり、風呂が用意され、個別の寝室まで用意された。至れり尽くせりである。

 息子がいなくなって傷心中だろうに、子供達や俺達に心情を窺わせない振る舞いは、流石だ。

 この屋敷にはたくさんの個室があり、その内の5つを貸してもらった。一人一部屋だ。

 ちなみにこういった個室はあと10部屋あるらしい。多いな。

 「今後家族が増えることを考えて、個室を増設したんです」とソフィーは語っていたが、そんな大家族を作るつもりなのか。現時点でも7人の子供を育てるシングルマザーだというのに。


 ふと気付いたんだが、ソフィーの子供達は皆、髪の色が違うな。

 赤、青、緑、黄色、ピンク、黒。リオン君の髪の色は知らないが、屋敷にいた子供達はそれぞれ違う色だった。

 ソフィーの薄黄色の髪とはあまり似てなかったな。

「………………ん?」

 そんなことってあるだろうか。あの子達の父親が、例えば赤の髪だとしたら、赤や薄黄色に近い色の子供だけが生まれるはずだ。あんなカラフル兄弟にはならないだろう。

 もしかして、父親がそれぞれ違うのか?

 複雑な家庭事情があるのかもしれない。この時代には珍しいことではないが。


「ボクはパトロールに行ってきますよ。犯人が戻ってくるかもしれないし」

 カインズが、皆が寝ている間に屋敷の周辺をパトロールすると言った。

「ああ、頼む。何かあったら知らせてくれ」

 俺、エリック、ユリーナ、ミミの4人は、それぞれ寝室に入っていった。

 空は暗く、屋敷は静寂に支配されていた。


 明日は街に行って聞き込みだな。今日手にした情報を元に、捜索を進めていくとしよう。

 俺はベッドに潜り、大して深くない眠りについた。


              *   *   *


 ふーっ、今日も疲れたぜ。

 この屋敷は無駄に広いから調査が大変だな。

 俺はベッドに体を預け、リラックスして目を閉じた。

 人の家でくつろぎすぎだが、別にいいだろ。ソフィーさんがいいって言ったんだからよ。「エリックさん、今夜はベッドでゆっくりお休み下さい」って言ってくれたんだからよ。

 そう言えば、あのオーブン修理は楽しかったな。機械を弄ってる時のワクワクはいつまで経っても衰えねーぜ。見たところ、あれは新品のオーブンだったが、内部の配線がちょっと駄目になってたな。ま、俺にかかればすぐ直るんだがよ。

 へへっ。クロムの前でいいとこ見せてやったぜ。あいつも俺の機械知識は認めてるからな。


 寝室でくつろいでからしばらく経った頃。

 トントンと扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞー」

 誰だ? クロムか? クロムが夜に寂しくなって俺に会いたくなったとか?

 いや、ねぇな。あいつはそんな女じゃない。妄想はこのくらいにしておこう。

「失礼します」

 俺の部屋に入ってきたのは、ソフィーさんだった。ソフィーさんは丁寧かつ静かに扉を閉めた。

「どうしたんですか?」

 俺に何か用だろうか。修理のお礼とか? お気持ちだけで嬉しいですよ。

「あの……。ちょっとエリックさんにお願いがありまして……」

 ソフィーさんはそっと扉の鍵を閉めた。

 ん? 鍵を閉めた? 何故に?

 俺が戸惑っていると、ソフィーさんは急にポケットからハンカチを抜き出し、俺の顔に押し当てた。

「んんー!?」

 鼻を突く嫌な匂いがした。ハンカチに何か液体が染み込んでいる。

 まさか……毒か!?

 気付いた時には、俺の体は動かなくなっていた。

 ソフィーさんは動けない俺をベッドに押し倒し……。


 服を脱ぎ始めた。


「……んんっ!?」

 驚きを表そうにも、声が上手く出せない。口が動かないのだ。

 ソフィーさんが下着姿になり、綺麗でエロい肉体をさらけ出した所で、ソフィーさんは俺の服も脱がし始めた。

 ヤベェ! 抵抗出来ねぇ!

 耳元で、ソフィーさんのいやらしいボイスが聞こえた。


「エリックさん……わたしを孕ませて下さい……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ